第1519回 ヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦(2) 厳しい組み合わせになったフランス勢

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■期待が持てる今季のフランス勢

 前回の本連載ではヨーロッパリーグが、チャンピオンズリーグに比べてフランスのクラブ、フランス人選手のプレゼンスが小さいこと、昨季はフランス勢で決勝トーナメントに進出したチームがなく、ベスト32に残ることができなかったことは35年ぶりという悪い成績であったことを紹介した。
 しかし、今季のヨーロッパリーグは期待が持てそうである。今季のヨーロッパリーグに出場しているフランス勢は昨季のリーグ戦4位にしてフランスカップの勝者であるリヨン、リーグ5位のボルドー、リーグカップ優勝のマルセイユと力のあるチームばかりである。そしてボルドーはプレーオフから、マルセイユはプレーオフのさらに前の段階の予備戦から参戦しているが、プレーオフ、予備戦を勝ち抜き、グループリーグに残っている。
 3チームのグループリーグでの戦いぶりであるが、マルセイユはグループリーグで敗退したが、リヨンは独走状態、ボルドーは終盤に勝ち星を重ね、この2チームが首位で通過し、決勝トーナメントに挑むことになる。
 国内の戦いでも決勝トーナメント第1戦が始まる段階でリヨンは2位、ボルドーは7位と上位を争っている。2月10日に行われた第24節で両チームとも敗れていることは気がかりであるが、グループリーグでの戦いぶりを見ればチャンピオンズリーグに参戦してもおかしくない。

■1回戦でトットナムと対戦するリヨン

 注目の1回戦、2回戦の組み合わせであるが、なかなか厳しいものになった。まずリヨンの1回戦の相手はイングランドのトットナムである。そして2回戦はイタリアのインテル・ミラノとルーマニアのCFRクルージュの勝者と対戦する。トットナムは昨季イングランドのプレミアリーグで4位、インテル・ミラノはイタリアのセリエAで6位になり、ヨーロッパリーグに出場してきたが、トットナムもインテル・ミラノもこの時点で国内リーグで4位、欧州のメジャーなリーグで優勝争いをしているチームである。また、CFRクルージュはチャンピオンズリーグのグループリーグで3位になり、ヨーロッパリーグに転戦してきたが、グループHで首位がマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)にもアウエーで勝利しており、3位とは言っても2位のガラタサライ(トルコ)とは勝ち点で並んでいる。CFRクルージュはガラタサライとの直接対決は1分1敗でチャンピオンズリーグ出場をガラタサライに譲ったが、総得失点差や総得点ではガラタサライを上回っていた。

■ディナモ・キエフと対戦するボルドー

 一方のボルドーは1回戦でウクライナのディナモ・キエフと対戦、2回戦はドイツのレバークーゼンとポルトガルのベンフィカの勝者と対戦する。ディナモ・キエフは本連載の読者の皆様ならばよくご存じの通りチャンピオンズリーグのグループAでパリサンジェルマンと対戦している。ディナモ・キエフはグループAで首位パリサンジェルマン、2位ポルト(ポルトガル)に次ぐ3位になっている。2回戦で対戦する可能性のあるレバークーゼンは昨年はドイツのブンデスリーガで5位になってヨーロッパリーグに出場し、現在の国内リーグでの順位は3位である。そしてベンフィカはチャンピオンズリーグのグループGでバルセロナ(スペイン)、セルチック・グラスゴー(スコットランド)に次いで3位になっている。3位とはいえ2勝2分2敗という成績であり、2位のセルチック・グラスゴーとは勝ち点2差、最終節を迎える段階ではベンフィカが2位であり、最終節がアウエーでのバルセロナ戦(0‐0のドロー)が重い対戦となった。

■過去の実績があるチャンピオンズリーグからの転戦組

 ヨーロッパリーグの決勝トーナメント1回戦は32チームが出場するが、このうち8チームはチャンピオンズリーグのグループリーグから転戦してきたチームであり、過去の優勝チームの4割はこの転戦組である。1回戦、2回戦の組み合わせが決まったが、4チームずつの2回戦まで組み合わせのブロックが8つあるが、4チーム中2チームがチャンピオンズリーグのグループリーグから転戦してきているブロックはこのボルドーの入ったブロックを含め2つしかないのである。(続く)

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