第1521回 ヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦(4) 試合終了間際に追いつかれ、姿を消したリヨン
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■国内外で3連敗中のリヨン、敵地でボルドーに大勝
ガレス・ベイルの2本の見事なFKでトットナム(イングランド)がリヨンを第1戦は下した。リヨンはトットナム戦の前に行われたリーグ戦ではアジャクシオとリールに連敗しており、3連敗となってしまう。その1週間後に舞台をリヨンのジェルラン競技場に移して第2戦が行われるわけであるが、その中間となる週末にもリーグ戦が行われ、2月17日の土曜日に第25節が行われた。
リヨンの相手はボルドー、すなわちヨーロッパリーグにフランスから参戦しているライバルチームである。この段階のリーグ戦の順位であるがリヨンは2位であるが、連敗したことによってパリサンジェルマンとの勝ち点の差は6に開き、ボルドーは7位であり、ヨーロッパリーグ、チャンピオンズリーグ出場も十分に可能な位置にあり、両チームの勝ち点の差は7である。ボルドーとしては上位チームであるが、調子を落としているリヨンを迎えて、勝利し、上位進出の足掛かりとしたいところである。しかし、大方の予想に反し、リヨンはクレマン・グルニエが2ゴール、グエイダ・フォフォナとアレクサンドル・ラカゼットがそれぞれ1ゴールと合計4点をあげ、4-0と大勝する。今季リヨンにとって4点差の勝利は初めてのことである。
■1-0で勝利すればいいリヨン
国内外で3連敗からこのボルドー戦の大勝で息を吹き返したリヨンへの期待が高まる中で試合はキックオフされる。スタンドにはミッシェル・プラティニ、フランス代表監督のディディエ・デシャン、ジネディーヌ・ジダンというメンバーの姿も見える。前回の本連載で紹介したとおり、45年前の対戦でリヨンはアウエーゴール2倍ルールで勝ち抜いている。リヨンは第1戦で敗れたとはいえ、アウエーで1-2というスコアであることから、ホームの第2戦を1-0で勝利すれば、アウエーゴール2倍ルールで2回戦進出が決まり、ボルドー戦のように4点もいらない。
この日もトットナムのGKはブラッド・フリーデルであり、ウーゴ・ロリスはベンチに控える。リヨンのファンにとっては少々残念なスターティングラインナップとなったが、試合の方はファンの期待通りの展開となった。ボルドー戦で活躍したグルニエがゲームメーカーの位置に入り、ゲームを組み立てる。
■クレマン・グルニエのFKを鮮やかにヘディングしたマキシム・ゴナロン
前半17分にリヨンは左サイドの好位置でFKのチャンスを得る。7連覇中の時代であったならば、この位置からのFKはブラジル代表のジュニーニョに任せていたが、この試合ではグルニエが蹴る。グルニエのFKにニアポストのマキシム・ゴナロンが走り込む。ゴナロンは見事にヘディングでゴールネットを揺らし、リヨンは先制点を奪う。
先述の通り、この試合でリヨンは1-0というスコアで勝利すればいいわけであるが、試合終了まで75分近く残っている。リヨンは守りに入ることはせず、攻撃を続けるが、なかなかトットナムから追加点を奪うことができない。トットナムのGKフリーデルもあわやPKというきわどいプレーでゴールを死守する。
■終了間際に痛恨の失点、期待のリヨン、姿を消す
そして時計の針は90分、このままリヨンが1-0で逃げ切るかと思われたが、トットナムのムサ・デンベレがボールを持って攻め上がる。マークしていたのはリヨンで得点を決めたグルニエ、しかしグルニエが転倒、マークが外れたデンベレは25メートルの位置からシュートを決める。リヨンのGKレミ・ベルクートルも及ばず、リヨン痛恨の失点。2試合合計スコアでリヨンは2-3と敗れてしまったのである。
国内リーグ戦では2位のリヨンも、今季はそれ以外の国内タイトルでは初戦で姿を消している。10月31日のリーグカップではニースに1-3と敗れ、1月6日のフランスカップではエピナルにPK負けとなっている。リヨンに残されたタイトルは国内リーグだけ、フランスリーグで優勝あるいはチャンピオンズリーグ出場を目指すのである。(続く)