第1525回 ボルドー、ベンフィカに敗れる(1) 過密スケジュールで国内リーグ4連敗のボルドー
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■5週連続して週に2試合戦うハードスケジュールのボルドー
前回まではチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦でパリサンジェルマンが勝利したことを紹介した。パリサンジェルマンはバレンシア(スペイン)と第1戦を2月12日、第2戦を3月6日に対戦したが、ヨーロッパリーグは1回戦が2月14日と21日に行われ、2回戦は3月7日と14日に行われる。ヨーロッパリーグの決勝トーナメントにはフランスからボルドーとリヨンが進出し、ボルドーはディナモ・キエフ(ウクライナ)と1勝1分で2回戦に進出したが、リヨンはトットナム(イングランド)に1分1敗で敗れたことは本連載第1518回から第1522回にかけて紹介したとおりである。
ボルドーはディナモ・キエフとの連戦の翌週はフランスカップを週の半ばにフランスカップのベスト8決定戦が控えており、ボルドーは5週連続して週に2試合というハードスケジュールになった。
■ディナモ・キエフとドローの第1戦の後、リヨンに今季最多失点の大敗
もちろん週末にはリーグ戦も行われており、この5週連続の週2試合というハードスケジュールは厳しいようである。ディナモ・キエフとの第1戦の後のリーグ戦の戦績であるが、2月17日の第25節、ヨーロッパリーグでトットナムとのアウエーゲームを落としたばかりのリヨンをホームに迎え、なんと0-4という大敗を喫する。ボルドーにとって4失点は今季初めてのことであり、今季のこれまでの大敗はチャンピオンズリーグのグループリーグでアウエーのマンチェスター・ユナイテッド戦で0-3というスコアで負けたのが最多失点、最多得点差での敗戦であった。
■下位のブレスト相手に得点を奪えず、リーグ3連敗
そしてディナモ・キエフとの第2戦にホームで勝利し、2回戦進出を決めた3日後にボルドーは今度はブレストをホームに迎える。前週に大敗したリヨンはリーグ2位でありヨーロッパリーグでも決勝トーナメントに進出した強豪チームであったが、ブレストはこの段階で16位、降格ラインのすぐ上の順位のチームであり、ファンは前週のリヨン戦のようなことはないだろうと楽観していた。試合はその予想の通りボルドーがボールを支配し、次々とシュートを放つが、得点をあげることができない。逆に終始劣勢のブレストは19分、思わぬ形で先制点を奪う。ブレストの攻撃陣が敵陣でボールを回し、ボルドーの左サイドDFのブノワ・トレムリナスがクリアすべきところをゴールに蹴り込んでしまった。まさかの失点でシャバン・デルマス競技場は静まり返る。ボルドーは攻め続けるが得点には至らず、逆に終盤の82分、ストッパーでセネガル代表のラミン・サネがペナルティエリア内でブレストのギニア代表のラルセン・トゥーレを倒してしまいPKを献上する。ブレストはこのPKをモロッコ代表のアーメド・カンタリが決めて2-0とする。アフリカ選手権帰りの選手たちが試合を決定する2点目を作り出し、ボルドーは0-2とブレストに敗れ、リーグ順位はついに2ケタの10位に落ちてしまったのである。
■フランスカップで格下相手に苦戦、3連勝中のリールに敗れ、4連敗
ボルドーは欧州の戦いは厳しい相手が続くが、続くフランスカップのベスト8決定戦ではくじ運に恵まれた。フランスカップのベスト16の内訳は1部勢が11チーム、2部勢が2チーム、3部に相当するナショナルリーグ、4部に相当するCFA、5部に相当するCFA2部からそれぞれ1チームである。1部で首位のパリサンジェルマン、上位のマルセイユ、サンテチエンヌというチームが残っている中でボルドーの相手は下から2番目、CFAのラオン・レタップである。リーグ戦での3連敗(ボルドーはディナモ・キエフ戦の直前に行われた第24節でもリールに敗れている)から切り替えるには最適の相手であったが、厳しい展開となる。58分に先制するも追いつかれて延長戦に入り、延長前半に失点し、リードを奪われる。ボルドー敗退か、と思われた延長後半の114分、PKを獲得し、シェイク・ディアバテが決めてPK戦にもつれ込む。PK戦でボルドーは全員が成功させ、ようやく勝利したのである。
この長い戦いの4日後、リーグ戦でリールに乗り込む。相手のリールは年が明けてから立て直し、3連勝中で順位を8位まで上げた。ボルドーはPKで先制するが、後半に2点を奪われ逆転負け、国内リーグ4連敗という状況でヨーロッパリーグ2回戦を迎えるのである。(続く)