第1526回 ボルドー、ベンフィカに敗れる(2) ホームでフランス勢との無敗記録を伸ばしたベンフィカ
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■チャンピオンズリーグから転戦してきたベンフィカ
5週連続して週に2試合戦うハードスケジュールのボルドー、国内リーグでは4連敗という中でヨーロッパリーグの決勝トーナメント2回戦を迎える。2回戦の相手はベンフィカ(ポルトガル)である。
ベンフィカは本連載第1519回で紹介したとおり、昨季のポルトガルリーグの2位としてチャンピオンズリーグに出場し、グループリーグではバルセロナ(スペイン)、セルチック・グラスゴー(スコットランド)、スパルタク・モスクワ(ロシア)と同じグループGでセルチック・グラスゴーと同勝ち点ながら3位に甘んじている。ヨーロッパリーグの初戦となる決勝トーナメント1回戦ではドイツのレバークーゼンに対してまずアウエーで1-0と先勝し、ホームの第2戦でも先制し、いったんは追いつかれたものの決勝点をあげて2-1と連勝している。チャンピオンズリーグのグループリーグの3位チームは過去のヨーロッパリーグ(UEFAカップ)でも実績を残しているが、今回は転戦組8チーム中2回戦に進出したのはベンフィカとチェルシー(イングランド)だけである。
■ディナモ・キエフに続いてチャンピオンズリーグからの転戦組を連破したいボルドー
一方のボルドーが1回戦で倒したのはチャンピオンズリーグのグループリーグからの転戦組であるディナモ・キエフ、リーグ戦では不振であるというものの、1回戦に続き2回戦でも欧州のビッグクラブと切磋琢磨してきたチームを破りたいところである。
■対戦相手の国のチームに相性のいい両チーム
実はこの両チーム、1986-87シーズンのカップウィナーズカップの2回戦で対戦している。この時はボルドーがアウエーで引き分け、ホームで勝利し、勝ち抜いている。ボルドーはグループリーグでもマリティモに1勝1分とポルトガル勢に対して相性がいい。
しかし、ベンフィカもボルドーとの直接対決こそ譲った形になるが、それ以外のフランス勢との対戦は圧倒している。記憶に新しいのは2年前のヨーロッパリーグ決勝トーナメント2回戦、パリサンジェルマンと戦ったベンフィカはリスボンで先勝、第二のホームともいえるパリで引き分け、準々決勝に進出している。そして歴史をさかのぼること23年前、チャンピオンズカップの準決勝、マルセイユとの対戦はベンフィカのホームとなった第2戦の後半、バータの神の手によるゴールでベンフィカが決勝に進出している。ベンフィカはホームではフランス勢に7勝4分と無敗であり、フランスでの試合は3勝2分6敗と負け越しているが、フランス勢に対しては相性がいいようであり、特に決勝トーナメントではフランス勢と4回対戦し、4回ともベンフィカが勝ち抜いている。
■不運な失点を跳ね返すことができなかったボルドー
このようにお互いに得意意識を持った中での対戦となり、第1戦の舞台はリスボンのルス競技場、かつては北半球有数の大規模スタジアムであったが2004年の欧州選手権に合わせて近代的な競技場となりサイズそのものは小さくなったが、収容人員は6万5000人を誇る。ボルドーはボールをよくつなぎ果敢に攻める。ボール支配率はほぼ五分の試合であったが、ボルドーの方がシュートに対する意識が高く、ベンフィカゴールをしばしばボルドーの攻撃陣が襲う。
しかし、先制点はベンフィカ、ボルドーにとってはやや不運な失点であった。21分にベンフィカは左サイドからクロスをあげる。ゴール前での混戦となり、ロドリゴがシュート、このシュートはバーをたたき、跳ね返る。しかしそのボールが跳ね返ったところにあったのがボルドーのGKセドリック・カラッソの両手であった。ボールはカラッソの両手に当たりゴールに入ってしまう。カラッソのオウンゴールと記録され、ボルドーは1点を追う展開となる。ボルドーはルドビック・オブラニアックを中心に反撃を試みるがCFに起用したディエゴ・ロランが不発、結局無得点となり、0-1と第1戦を落とす。ベンフィカは欧州カップのフランス勢とのホームでの成績を8勝4分と無敗記録を伸ばしたのである。(続く)