第1538回 バルセロナ-パリサンジェルマン第2戦 (2) パリサンジェルマン、優勝候補と互角の戦い
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■負傷者、出場停止で注目の先発メンバー
優勝候補のバルセロナ(スペイン)が優勢に試合をすすめながら、バルセロナの戦いをよく研究したパリサンジェルマンはロスタイムに追いつき、2-2というスコアで第2戦を迎えることになった。
バルセロナのノウ・カンプ競技場、バルセロナは紺とエンジのファーストユニフォーム、パリサンジェルマンは白で胸に赤い帯の入ったセカンドユニフォーム、まずは注目のスターティングメンバーである。
前回の本連載で紹介したとおり、両チームとも負傷や出場停止により、多くのメンバーを欠く中で第2戦を迎える。豊富な資金量を誇る両チームであるが、特定のポジションに負傷者、出場停止の選手が集中した。バルセロナに関してはストッパーであり、パリサンジェルマンは守備的MFが注目のポジションである。さらにバルセロナとしては第1戦のハーフタイムで負傷のため退いたリオネル・メッシが出場するか微妙である。
■強行出場のアドリアーノとチアゴ・モッタ、ベントスタートのリオネル・メッシとデビッド・ベッカム
結局、バルセロナはストッパーにはアドリアーノを強行出場させ、ジェラール・ピケとコンビを組む。またメッシはベンチスタートとなり、トップには直前のリーグ戦でハットトリックを決めたセスク・ファブレガスを起用する。パリサンジェルマンもチアゴ・モッタを強行出場、マルコ・ベラッティとイタリア代表同士で守備的MFのコンビを組み、ベッカムは控え、新旧のスターはベンチでキックオフを迎える。
■シュートに難のあるバルセロナに対し、パリサンジェルマンが先制
フランス人選手がクリストフ・ジャレ1人というパリサンジェルマンが狙うのは1-0の勝利である。第1戦の戦いからさらに積極的になったパリサンジェルマンはラインを押し上げて前線で勝負する。第1戦とは逆に最初の得点チャンスは2分のバルセロナであったが、その後は攻撃に精彩を欠く。パリサンジェルマンとは逆に先発11人のうち9人がスペイン人で全員が代表選手というバルセロナはスペインらしく、パス回し中心の試合展開となる。そしてシュートまで持っていくが、枠に入らない。ボールを支配するものの得点につながらないかつてのスペインサッカーを再現するような展開である。
逆にパリサンジェルマンはボール支配率もシュート数も少ないものの、チアゴ・モッタとベラッティを攻撃の起点とし、枠内シュート数はバルセロナと互角であり、パリサンジェルマンのゲームプラン通りの試合になった。そしてパリサンジェルマンはボール試合率も40%に近く、第1戦よりも良い内容の展開であり、ハーフタイムまで無失点で乗り切り、値千金のゴールを期待して後半が始まる。
後半に入ったばかりの50分、パリサンジェルマンが先手を取る。センターサークル付近でズラタン・イブラヒモビッチとハビエル・パストーレがワンツーパス。ボールを受けたパストーレがドリブルで走り込み、ペナルティエリアに入ったところでシュート、スピードに乗ったドリブルからのシュートをGKのビクトル・バルデスは止めることができず、パリサンジェルマンが目論見通りの先制点を奪ったのである。
■リオネル・メッシ投入で変わったリズム
ここでバルセロナはメッシの投入に動く。メッシが入ったことにより、攻撃がパスだけではなくドリブルが加わる。リズムが代わり、パリサンジェルマンの守備に穴ができ始める。71分、メッシがゴール前のダビド・ビジャにパスし、ビジャからのバックパスを受けたペドロ・ロドリゲスがシュート、パリサンジェルマンのGKサルバトーレ・シリグは及ばず、ゴールネットが揺れる。バルセロナのパスに十分対応できていたパリサンジェルマンの守備陣であるが、メッシ投入後のリズムの変化に対応できず、痛恨の失点となった。
残り20分、パリサンジェルマンがゴールを狙い、バルセロナがボールをキープするという構図が続く。ケビン・ガメイロ、ベッカムを投入するが、ゴールは遠く、1-1のドロー。2試合通算で3-3となったが、アウエーゴール2倍ルールでパリサンジェルマンは準決勝進出をバルセロナに譲ったのである。(この項、終わり)