第1539回 フランスカップ準決勝への道(1) 下位リーグ勢に順当勝ちしたベスト16決定戦の1部勢

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■今季の国際試合が終了したフランスサッカー

 3月下旬から前回までフランス代表のワールドカップ予選(グルジア戦、スペイン戦)、チャンピオンズリーグ準々決勝のパリサンジェルマン-バルセロナ戦という国際試合を取り上げてきた。代表チームは次のワールドカップ予選は9月6日にアウエーのグルジア戦、チャンピオンズリーグはパリサンジェルマンがアウエーゴールの差で敗れてしまったため、フランスにおいて今シーズンの国際試合が終了したことになる。
 インターナショナルマッチデーの日程が決まっている代表チームの場合は仕方がないが、今年も4月初めでフランスのチームが欧州の舞台が去ってしまったことに寂しさを感じるファンは多いであろう。

■フランスのファンの関心は国内のタイトルに

 フランスのファンの関心は一気に国内タイトルに移る。国内リーグについてはパリサンジェルマン、マルセイユ、リヨンが勝ち点38で並んで折り返したが、第32節を終えた時点でパリサンジェルマンが首位であり、2位マルセイユに差をつけている。最終節の第38節は5月26日に行われるが、それ以前に優勝が決まる可能性もあるであろう。フランスカップの決勝は今年は5月31日であり、一番遅く優勝の決まるタイトルである。逆に最初にタイトルが決まるのが、リーグカップであり、4月20日の土曜日にサンテチエンヌとレンヌの間で決勝が行われる。
 さて、パリサンジェルマンが敗れ去った直後の週末にはリーグ戦の第32節が行われたが、さらにその翌週の半ばにはフランスカップの準々決勝があり、パリサンジェルマンも出場し、3週連続して週の半ばに試合を行うことになる。
 本連載では第1500回から第1502回にかけて1部勢が参戦したベスト32決定戦の模様を紹介したが、今回からはベスト16決定戦、ベスト8決定戦、準々決勝の模様を紹介していこう。

■ジャイアントキリングが続出したベスト32決定戦

 年の初めに行われ、年末年始の中断明けということで例年ジャイアントキリングの起こるベスト32決定戦である。近年は上位の1部勢も年末年始にコンディションを整えて臨むようになってきたが、やはり今年もジャイアントキリングは起こり、前年優勝のリヨンはナショナルリーグのエピナルに敗れ、準優勝のレンヌも2部のRCランスに敗れるなどし、1部勢6チームが2部以下のチームに敗れている。今年は1部勢同士の対戦がなかっただけに1部勢にとっては組み合わせに恵まれたかに見えたが、その逆で荒れる新春となった。

■アフリカ選手権で主力を欠くブレスト、エビアンをはじめ1部勢順当勝ち

 続くベスト16決定戦は1月23日の水曜日を中心に、その前後の22日と24日あるいは1週間後の30日に行われた。本連載の読者の皆様はこの時期にアフリカ選手権が行われたことをご存じであろう。今回もフランスのクラブから多くの選手がアフリカ選手権に出場している。アフリカ選手権に多数の選手を送ったクラブは本連載第1506回で紹介したが、ブレスト、エビアン、アジャクシオといったリーグ戦で降格争いをしているチームと、リーグ戦の折り返し時点で4位だったレンヌである。アジャクシオとレンヌはすでにベスト32決定戦で敗れており、ブレストとエビアンは主力を多数欠く状況でベスト16をかけて戦うことになった。ブレストもエビアンも組み合わせに恵まれ、ブレストは2階級下のリーグのナショナルリーグのCAバスティア、エビアンは4階級下のCFA2部のUSSAベルトゥとの対戦となった。いずれもアウエーゲームであったが、自力に差があり、アフリカ選手権による主力の離脱があっても1部勢としての面目を保ちベスト16に進出した。
 ブレストとエビアン以外にも下部のリーグのチームと対戦した1部勢はロリアン、トロワ、サンテチエンヌ、ボルドー、リール、マルセイユと6チームあったが、いずれも勝利している。しかも延長戦にもつれ込んだ試合はサンテチエンヌが6部に相当するDHのモーアカデミー相手に無得点のままPK戦で勝利した以外の5チームは90分間で勝利を収めているのである。(続く)

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