第1557回 2012-13フランスリーグフィナーレ(1) レイ競技場の最終戦でリヨンと引き分けたニース

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■パリサンジェルマンの優勝とともにマルセイユの2位も決定

 パリサンジェルマンが19年ぶりの優勝を果たした今季のフランスリーグ、欧州でナンバーワンと言われる補強を行い、2試合残しての優勝となった。リヨンがパリサンジェルマンに敗れたことにより、パリサンジェルマンの優勝だけではなく、マルセイユの2位も決定し、チャンピオンズリーグの本戦出場2チームが決定した。

■3位、4位争いをするリヨン、リール、ニース、サンテチエンヌ

 さて、残る2節はチャンピオンズリーグの最後の1つの椅子と、ヨーロッパリーグへの1枚の切符、そして2部降格争いに注目が集まる。
 上位の欧州への争いであるが、第36節を終えた段階で3位リヨンが勝ち点63、4位リールは勝ち点60(得失点差+19)、5位ニースも勝ち点60(得失点差+9)、5位サンテチエンヌが勝ち点59とここまで来季の欧州の舞台に立つ可能性がある。この中でサンテチエンヌはすでにリーグカップで優勝しており、リーグ戦の順位に関わらずヨーロッパリーグに出場できるが、もちろん逆転して3位以内に入り込みたいところである。また、フランスカップの勝者もヨーロッパリーグに出場できるがこちらは第36節終了段階で8位のボルドーと17位のエビアンが決勝に残っている。

■歴史を背負って戦う古豪ニース

 第37節からは全試合が同時にキックオフされる。この第37節で上記の3位、4位争いに関わるチームのカードは、ニース-リヨン、サンテチエンヌ-マルセイユ、モンペリエ-リールの3試合である。
 この中で注目はニース-リヨン戦であろう。ニースは直前の本拠地でのエビアン戦で0-4と敗れたが、リーグ戦で上位をキープしており、もしも4位以内に入り、来季のチャンピオンズリーグあるいはヨーロッパリーグに出場すれば、リーグ戦上位として欧州カップに出場するのは1976年以来実に37年ぶりの歴史的偉業となる。ニースはこのリヨン戦が今季ホームでの最終戦となるがぜひとも勝ちたい。その理由はニースでは2016年に開催される欧州選手権に向けて新たな競技場が建設され、現在使用しているレイ競技場での試合はこれが最後となるからである。長い歴史を誇る早慶戦が、今年は国立競技場での最後の開催になり空前絶後の盛り上がりを見せている日本の皆様であればよくお分かりであろう。
 またニースとリヨンの間では選手の移籍がしばしば行われ、両チームを知る選手も少なくない。そして何よりもニースの監督はクロード・プエルであり、2008年から2011年までリヨンの監督を務めていたのである。

■豪雨で1日順延された試合はクレマン・グルニエのロングシュートでドロー

 ところがこれだけ注目を集めていた試合であったにもかかわらず、ニースを襲った豪雨のために試合は翌日に延期されてしまったのである。気勢をそがれた形の両チームとなるが、土曜日の夜には予定通り他の9試合は行われた。4位リールはモンペリエと対戦し、苦戦しながらもアウエーゲームでスコアレスドロー、リールは勝ち点を1点上積みし、暫定的ではあるがニースを勝ち点で1点リードした。
 そして熱心なファン同士の戦いとなったサンテチエンヌ-マルセイユ戦であるがサンテチエンヌが地元ジェフロワ・ギシャール競技場での最終戦ということもあり、ボール支配率では劣勢であったが、2-0で勝利した。この結果、5位サンテチエンヌは勝ち点を3加えて、リール、ニースをかわして暫定3位に浮上したのである。
 豪雨から一夜明けた5月20日15時5分にニース-リヨン戦はキックオフされた。この試合、先手を取ったのはニース、後半に入ったばかりの47分にダリオ・チビタニッチが倒されて得たPKを自らが決めて先制。ニースがこのまま逃げ切るかと思われたが、76分にゴールから35メートル離れた位置で得たFKをリヨンのクレマン・グルニエの蹴ったボールは直接ゴールイン。この1本のロングキックがリヨンを救った。ニースは長年住み慣れた本拠地での最終戦を勝ち星で飾ることができず、引き分けに終わったのである。
 注目の3位、4位争いは、3位リヨン(勝ち点64)、4位サンテチエンヌ(62)、5位リール(61、得失点差+19)、6位ニース(61、+9)となり最終節を迎えるのである。(続く)

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