第1569回 フランス代表、南米遠征(8) 復調狙う両チームの先発メンバー
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ブラジル戦の前日に行われたラグビーの試合は逆転負け
サッカーのフランス代表とラグビーのフランス代表はいずれも今年に入ってから苦しい戦いが続いているこの王国への遠征でいずれも本来の姿を取り戻したいところであるが、一足先にオークランドのエデンパークで王国に挑戦したラグビーのフランス代表はフォフォナが先制トライをあげ、試合を支配し、現在監督を務めるフィリップ・サンタンドレが現役時代の1994年7月以来のオークランドでの勝利を期待させたが、前半の終盤に2トライを許し、逆転負けとなった。
■ウルグアイ戦とメンバーを大幅に入れ替えたフランス
そして今度はサッカーの番である。ウルグアイ戦では第2GKのスティーブ・マンダンダにポジションを譲ったウーゴ・ロリスも戻ってきてキャプテンマークを腕に巻く。また、シーズン終了が遅かったためにチームへの合流が遅れたスペインリーグに所属する選手も満を持しての登場である。
フランスの先発メンバーはGKは主将のロリス、DFは右にマチュー・ドビュッシー、中央にアディル・ラミとママドゥ・サコ、左にジェレミー・マチュー、MFは3人で中央のジョシュア・ギラボギが低い位置に入り、高い位置には右のヨアン・カバイエ、左にブレーズ・マツィディが入る。FWは3人で右はマチュー・バルブエナ、左はディミトリ・ペイエ、中央にカリム・ベンゼマという布陣である。ウルグアイ戦と先発メンバーが8人も入れ換わっただけではなく、ウルグアイ戦までは4-2-3-1というシステムであったが、この試合は4-3-3に近いシステムとなる。合流の遅れたスペインリーグ勢はラミ、マチュー(以上バレンシア)、ベンゼマ(レアル・マドリッド)と招集された3人全員が先発メンバーとなった。また、ウルグアイ戦ではエリキアム・マンガラ、アレクサンドル・ラカゼット、ギラボギ、クレマン・グルニエの4人が代表にデビューしたが、その中でギラボギだけにブラジル戦先発という大仕事が回ってきた。
■世界ランキング22位に落ちたブラジル
一方のブラジルであるが、この試合時点の世界ランキングはフランスの18位を下回る22位である。過去10試合の戦績は3勝5分2敗とおよそ王国らしからぬ成績である。3勝はイラク、日本というアジア勢と南米のボリビア相手の勝利であり、イラク戦は6-0、日本戦は4-0、ボリビア戦は4-0と一方的なスコアの試合でミスマッチに近いと言えるであろう。5分の相手はコロンビア、イタリア、ロシア、チリ、そして直近の6月2日に対戦したイングランドである。また2敗は昨年11月のアルゼンチン戦と今年2月のイングランド戦である。昨夏以来のブラジルとフランスがともに対戦しているのは日本とイタリアであるが、ブラジルは中立地で日本に勝利し、フランスはホームで日本に敗れている。またブラジルはアウエーでイタリアに敗れているが、フランスはイタリアにアウエーで勝利しており、対照的な結果になっている。
■36年ぶりに来訪したフランスを迎え撃つブラジルのイレブン
史上最弱とも言われるセレソンを率いるのは1994年ワールドカップの優勝監督、フェリペ・スコレーリ監督であるが、直前のイングランド戦は引き分けに終わり、欧州勢相手に地元で2試合勝ちがないようだと、王国のファンは納得しないであろう。ブラジルはコンフェデレーションズカップの開幕を控えてはいるが、次のような布陣で36年ぶりに訪問してきたフランスを迎え撃つ。GKはジュリオ・セザール、DFは右からダニエウ・アウベス、チアゴ・シウバ、ダビド・ルイス、マルセロ、MFは低い位置の右にルイス・グスタボ、左にパウリーニョ、トップ下にネイマール、FWは右にオスカル、左にフッキ、中央にフレッジとなる。この中でブラジル国内のクラブに所属しているのはコリンチャンスのパウリーニョとフルミネンセのフレッジだけであるが、2人とも欧州のクラブに所属した経験がある。
代表出場試合数が30を超えるのはフランスではロリスとベンゼマの2人、ブラジルはジュリオ・セザール、チアゴ・シウバ、ダニエウ・アウベス、ネイマールの4人しかいないというのも両国の現状を表しており、15年前のワールドカップ決勝カードも世界ランキング20位前後の対戦となった。どちらが勝利を得て復活の道をたどるのであろうか。(続く)