第1570回 フランス代表、南米遠征(9) フランス完敗、南米遠征は連敗

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■主将のチアゴ・シウバはパリサンジェルマンに所属

 今年に入って不本意な結果の続くブラジルとフランス、ブラジルは黄色、フランスは水色のユニフォームでこの一戦に臨んだ。ブラジルのメンバーはスター選手ぞろいであるが、その中でも特にフランスのサッカーファンにとってはおなじみの選手がいる。
 まずはチアゴ・シウバ、ブラジル代表の主将を務めるストッパーはパリサンジェルマンに所属しており、パリサンジェルマンの19年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。思えば19年前にパリサンジェルマンがリーグ優勝した際のストッパーを務めていたのがブラジル代表のリカルド・ゴメスであった。リカルド・ゴメスもかつてブラジル代表の主将を務めており、チアゴ・シウバの姿にリカルド・ゴメスを重ね合わせるファンも少なくないであろう。

■リヨンの黄金期を支えたフレッジ、明日のパリサンジェルマンを担うルーカス

 そして、トップを務めるフレッジはフランスのファンにとっては懐かしいメンバーである。2005年から2009年までリヨンに所属、リヨンの7連覇の後期を支えたFWである。2009年にブラジルに戻り、フルミネンセに所属している。この日のブラジルのフィールドプレーヤーの中ではダニエウ・アウベスに次いで年長の29歳。代表に入って8年であるが、このフランス戦で自らをアピールしたいところである。
 また、ベンチにいるルーカスもパリサンジェルマンの選手である。サンパウロから今年初めにパリサンジェルマンに移籍、20才でありながら代表出場数は24試合とフレッジを上回る逸材である。
 ベストメンバーではなかったとはいえウルグアイに負けているフランスはブラジル相手には勝利したいところである。その中でも闘志を燃やしているのがカリム・ベンゼマであろう。フレッジがリヨンを去ったのはベンゼマの成長が理由である。ベンゼマも1トップとして長く君臨しているが、最後にゴールをあげたのは昨年6月5日のエストニア戦である。それ以来11試合、時間にして1000分以上無得点が続いているのである。4つ年上のフレッジと同じピッチに立つのは久しぶりのことになるが、この2人のゴールを狙う戦いは注目であろう。

■激しい展開の中で後半の序盤にブラジルが先制点

 試合の方は親善試合とは思えない激しい当たりの試合となった。立ち上がり早々にフランスはピンチを迎え、フランス守備陣のミスに付け込んだフレッジとネイマールがフランスゴールを襲うが、ウーゴ・ロリスが防ぐ。その後もフランスが守勢に回り、ロリスの活躍で失点を防ぐ。またブラジルのエースであるネイマールをマークしたマチュー・ドビュッシーもよく健闘し、失点を防ぐ。ブラジルが優勢に試合を進めたわけであるが、フランスにも少ないながらもチャンスはあった。特に前半の10分から20分にかけてはフランスの時間帯であった。ジョシュア・ギラボギのヘディングシュートはゴールからわずかに外れる。そしてフランスのファンを失望させたのがベンゼマである。最前線に位置し、多くのボールタッチの機会がありながら、シュート数はわずかに1本、これではゴールは奪えない。
 親善試合の場合、後半開始時に選手交代があることが多いが、この試合は両チームとも選手交代はなく、それだけ親善の度合いの少ない試合である。前半はそれでも何とか無失点に抑えたフランスであるが、ついにゴールを許す。54分、マチュー・バルブエナがボールを失い、フレッジがペナルティエリア内のオスカルにパス、オスカルがシュートしてブラジルが先制する。地元のポルトアレグレを本拠地とするインテルナシオナルの所属選手の先制点にライバルのグレミオ競技場は沸く。

■遅れた選手交代、次々と追加点を許したフランスが完敗

 リードされたがフランスのベンチの動きは遅く、守備的な選手交代によりフランスは後手をとる。同点に追いつくことはできず、さらに84分にはネイマールからのパスを途中交代のエルナネスがシュートして追加点、そしてロスタイムにはドビュッシーがペナルティエリア内でマルセロにファウルし、PKを与える。このPKをフッキに代わって入ったルーカスが決める。フランスは0-3とブラジルに敗れ、南米ツアーは連敗という結果に終わったのである。(この項、終わり)

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