第1580回 タヒチ、コンフェデレーションズカップに出場(4) 2012年オセアニアネーションズカップで優勝
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■タヒチとオセアニアネーションズカップ
タヒチはこれまでに紹介した通り、FIFAとオセアニアサッカー連盟に加盟し、これらの主催大会であるワールドカップ予選やオセアニアネーションズカップに出場している。
オセアニアネーションズカップは豪州、ニュージーランドが二強であったが、2008年大会から豪州が抜け、豪州はアジアカップを争うことになった。その結果、ニュージーランドの一強になり、2008年大会はニュージーランドが優勝し、2010年のワールドカップ出場をかけてアジア予選で5位のバーレーンとのプレーオフを戦い、ワールドカップに出場している。タヒチの戦績であるが、2008年大会は1次リーグでフィジー、ニューカレドニアに次ぐ3位で敗退している。
■2012年オセアニアネーションズカップと2014年ワールドカップ予選
ワールドカップ予選については、タヒチは1994年の米国大会予選から2014年のブラジル大会予選まで6大会連続で挑戦している。1994年以降5大会連続で予選で敗退したタヒチにとって2014年ブラジル大会予選は6回目の挑戦である。この2014年ワールドカップの予選は2012年オセアニアネーションズカップと合わせて行われた。
タヒチは2次予選からの参戦となる。2次予選は2012年6月にソロモン諸島でセントラル方式で開催された。タヒチはサモア、ニューカレドニア、バヌアツに3連勝し、3次予選に進出した。
ここでオセアニア特有のスケジュールとなる。3次予選はタヒチ、ニューカレドニア、ニュージーランド、ソロモン諸島の4か国でホームアンドアウエー方式で2012年9月から2013年3月にかけてのインターナショナルマッチデーに行われる。それとは別に、ソロモン諸島で行われた2次予選に引き続き、この4チームによってオセアニアネーションズカップの決勝トーナメントが行われ、その優勝チームが2013年のコンフェデレーションズカップに出場するのである。
■ニューカレドニアを下し、タヒチがオセアニア王者に
準決勝で番狂わせが起こった。世界ランキング164位(当時)のニューカレドニアが同94位のニュージーランドを2-0と下す。もう1つの準決勝は世界ランキング182位のタヒチが同181位のソロモン諸島を下し、決勝はフランスの海外領のタヒチとニューカレドニアの対戦となったのである。6月10日の決勝はタヒチのスティービー・ション・ウーが10分に奪った得点をタヒチは守りきり、オセアニアネーションズカップで優勝、コンフェデレーションズカップに初出場となったのである。
一方、ワールドカップ予選はソロモン諸島にホームで勝利した以外は全敗、1勝5敗という成績でワールドカップ出場は夢と消えた。
しかし、タヒチは同じブラジルで開催されるコンフェデレーションズカップへの出場権を得て、初めてオセアニア以外のチームと公式試合を戦うことになったのである。
■タヒチの基礎を作ったワールドカップ優勝メンバーのリオネル・シャルボニエ
このチームの基礎を作ったのは2007年から2009年まで代表監督を務めたリオネル・シャルボニエである。かつてオセールのGKとして活躍し、1998年ワールドカップにはファビアン・バルテス、ベルナール・ラマに次ぐ第3GKとなり、試合出場はなかったものの優勝メンバーとなった。(この大会でGKはバルテスが7試合すべてにフル出場した)その他の試合も含めて代表出場は1試合だけだったが、引退後は指導者となり、タヒチを20歳以下のオセアニアネーションズカップで優勝させ、2009年にエジプトで開催されたU-20ワールドカップに出場したのである。この時のメンバーが順調に成長し、今回のオセアニアネーションズカップ優勝につながったのである。
しかしながら、タヒチの選手は全員がアマチュア、コンフェデレーションズカップでスペイン、ナイジェリア、ウルグアイと戦うには役者不足である。そこで声をかけたのが、アンダーエイジでのフランス代表歴はあるが、フル代表には選ばれていない33歳のマラマ・バイルアだったのである。(続く)