第1585回 U-20ワールドカップで初優勝(4) スペインに敗れたが、決勝トーナメント進出
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■オリンピック招致で盛り上がるイスタンブール
今回が19回目の開催となるU-20ワールドカップ、開催国はトルコ、メインスタジアムはイスタンブールのトルコ・テレコム・アリーナである。イスタンブールというと2020年のオリンピック開催を日本の東京、スペインのマドリッドと激しく争っている。9月の決定前にこのU-20ワールドカップを成功させ、イスラム圏初のオリンピック開催に向けて国内の関心も高まってきた。
■強豪国がそろったグループA
出場国は24か国、4チームずつの6つのグループリーグに分かれて戦った後、16チームが決勝トーナメントに出場する。出場国は欧州が開催国のトルコを含み7チーム、南米、北中米およびカリブ海、アフリカ、アジアがそれぞれ4チーム、オセアニアが1チームである。サッカーの普及という目的が大きいため、欧州や南米以外の地域のウエイトが大きくなっている。
組み合わせ抽選であるが、各大陸の首位チームが第1シードとなり、それ以外の18チームが第2シード以下に分けられた。第2シードはアジアとアフリカ、第3シードは北中米およびカリブ海、第4シードは欧州である。
そしてグループAのフランスは強敵と対戦することになった。第1シードの各大陸のチャンピオンのうち、昨年のU-19欧州選手権でも苦汁を飲まされたスペインと対戦することになってしまったのである。スペイン戦はグループリーグの最終戦であり、それまでにガーナ、米国と対戦するが、両国とも予選に当たるU-20大陸別選手権で準優勝している。
■ガーナに勝利、米国には終盤に追いつかれる
フランスは開幕戦に登場、メイン会場のイスタンブールのトルコ・テレコム・アリーナで、2013年のU-20アフリカ選手権で準優勝したガーナと対戦する。ガーナも不思議なことにこのU-20ワールドカップの出場経験は少なく今回が6回目の出場、しかし、過去5回の出場ではすべて決勝トーナメントに残り、優勝1回、準優勝2回、準決勝進出1回、準々決勝進出1回と輝かしい成績を残している。
フランスは前半から優位に試合を進めるが、ゴールチャンスを外し、両チーム無得点のままハーフタイムを迎える。
その均衡を破ったのがスペインのセルビアで活躍するジョフレイ・コンドグビアである。65分にロングスローからボールを受け、ノーマークとなったところでゴールを決める。さらにその3分後、今度はコンドグビアがゴールのお膳立てをする。ヤヤ・サノゴが追加点をあげ、2-0とリードする。さらに79分にもジャン・クリストフ・バーエベックがゴールを決めて3-0と大量リードを奪う。ガーナは終盤に1点を返すが、フランスが3-1と勝利し、グループリーグ突破に向けて大きな1勝をあげたのである。
第2戦で対戦する米国はU-20CONCACAF選手権の準優勝チームである。フランスはこの試合で勝利すればスペイン戦を待たずして決勝トーナメント進出を決めることができる。前半は両チームとも決定的なチャンスがあったが、双方のGKが好セーブを見せ、両チーム無得点でハーフタイムを迎える。
後半に入り、先手を取ったのはフランス、47分にPKを得て、その後が決めて1点リード、この1点を守り切れば決勝トーナメント進出が決まるところであったが、米国は途中出場のダニエル・キューバスが85分に同点弾、1-1のドローに終わったのである。
■スペインに完敗したが、グループ2位に滑り込む
さて、最終戦の相手のスペインは米国、ガーナに連勝し、すでに決勝トーナメント進出を決めている。最終戦は同時刻に米国(勝ち点1)-ガーナ(勝ち点0)戦もキックオフされる。勝ち点4のフランスは引き分け以上であれば決勝トーナメント進出を自力で決めることができるが敗れると他の試合の結果による。昨年のU-19欧州選手権準決勝の際はPK戦での決着となったが、この試合はスペインがボールを一方的に支配した。そして23分にスペインが先制、後半に入って56分にも追加点、スペインが2点リードで試合を進め、フランスは後半ロスタイムにチボー・ビオンが1点を返すにとどまった。
フランスは1-2で敗れたが、ガーナが米国に勝利したため、グループ2位となり、決勝トーナメント進出を決めたのである。(続く)