第142回 欧州チャンピオンズリーグ、フランス勢全滅(3) リヨン、あと一歩で足踏み
■フランス勢で一番期待されるリヨン
今季フランスから欧州チャンピオンズリーグに出場した3チームの中で最も期待されたのがリヨンである。まず、昨年度のリーグ覇者であり、戦力的に充実していることに加え、同じグループに所属するライバルとの力関係である。リヨンの所属するグループDにはインテルミラノ、ローゼンボリ、アヤックスがいる。インテルミラノは昨シーズンこそリーグ3位にとどまったが、今季はロナウドを放出し、大量の大型補強を行い、リヨンにとっては難しい相手である。しかし、アヤックスは1995年に欧州チャンピオンズリーグを制覇し、インターコンチネンタルカップに出場しているが、それ以降は国内外のタイトルとは数少なくなる。昨季のリーグ優勝は4季ぶりのことであり、リヨンに勝機は十分にある。そして。ローゼンボリはノルウェーのナンバーワンチームで、欧州チャンピオンズリーグの常連となり、7年連続で本選出場、しかし、ベスト8進出はわずか1回であり、リヨンが勝ち点を計算できる相手である。
■アヤックスに敗戦、ローゼンボリに大勝
さて、リヨンの初戦は「勝機の十分にある相手」アヤックスとアウエーでの対戦である。大型FWのスウェーデン代表のズラタン・イブラヒモビッチが11分、34分に連続ゴール。両チームあわせてイエローカードが6枚飛び交うという荒れたゲームとなった。リヨンは終了間際の84分にソニー・アンデルソンが1点返し、前回紹介したランスと同じ得点経過、同じスコアで初戦を落とす。アウエーの強豪相手に1-2の敗戦ならば及第点、という見方もあるが、この1点差の敗戦が最後の最後まで響いてくる。
続く第2戦はホームでのローゼンボリ戦、ローゼンボリは第1節ではインテルミラノをホームに迎え、2-2のドローに持ち込んでいる。両チームとも格上の相手に勝利こそできなかったが、それなりの成績を残し、第2戦を迎える。この試合、リヨンの攻撃陣が爆発する。まず、6分に第134回の本連載で紹介した国際試合男のエリック・カリエールが先制点。その後もアンデルソン、トニー・ベレルなどがゴールラッシュ、終わってみれば5-0という記録的スコアでリヨンが初勝利、2位に浮上したのである。
■インテルミラノにアウエーで勝利、ホームで引き分け、あと1勝
第3節は最大の強敵、首位インテルミラノとアウエーでの対戦。僅差の負けならば及第点、という試合でリヨンはオセール、ランスよりも一足先に金星を挙げる。(オセールのアーセナル戦勝利は第4節、ランスの戦ACミラン勝利は第5節)アウエーの戦いでありながらリヨンがインテルミラノを圧倒し、21分にシドニー・ゴブー、60分にアンデルソンとゴールを決め、インテルミラノの反撃をファビオ・カンナバロの1点におさえて、見事な勝利。折り返し点でトップに立ったのである。
そして大金星の20日後にインテルミラノをジェルラン競技場に迎える。この試合もアンデルソンが21分に先制点、幸先良いスタートとなるが、31分にクラウディオ・カカパのオウンゴールにより、インテルミラノが同点に追いつく。44分にはカリエールが勝ち越し点を決め、リードして前半終了。リヨンに連敗を喫することは許されないインテルミラノは後半に入り役者が活躍する。56分と66分にエルナン・クレスポが連続ゴールを決め、逆転する。ところがホームで負けられないリヨンも75分にアンデルソンが同点ゴールを決めて、勝ち点1を上積みし、首位をキープしたのである。
■1人少ないアヤックスの守備を崩せず、最終節にもつれこむ
そして10月30日の第5節は開幕戦で苦汁を飲んだアヤックスとリヨンでの対戦。勝ち点7のリヨンと勝ち点5のアヤックス。リヨンは勝てば、最終節を残して2次リーグ進出を確定する。ところが、開始早々の7分にアヤックスに先取点を奪われる。リヨンは反撃に出るが、アヤックスの組織力、アヤックスGKの好守に阻まれ、同点に追いつけない。またアヤックスの守りも厳しく、アヤックスは退場1人、警告6人と言う始末であり、62分以降は1人少ない10人でリヨンの攻撃を耐え忍ぶ。逆にロスタイムには決定的な2点目を奪われ、開幕戦に引き続き、連敗を喫す。ミラノではインテルミラノが3-0とローゼンボリに快勝する。
最終節を残し、1位インテルミラノ(勝ち点8、得失点差+3)、2位アヤックス(勝ち点8、得失点差+2)、3位リヨン(勝ち点7、得失点差+3)、4位ローゼンボリ(勝ち点3、得失点差-8)となり、ローゼンボリを除く3チームが最終節で2つのチケットを争うことになったのである。(続く)