第1593回 辛うじて敗戦を免れたベルギー戦(4) 4試合連続無得点でスコアレスドロー

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ほとんどの選手はビッグクラブに所属

 ブリュッセルのボードワン国王競技場でキックオフされたベルギーとフランスの親善試合、ベルギーは赤を基調にして黒と黄色のアクセントの入った国旗の色をベースにしたユニフォーム、一方のフランスは薄い水色のユニフォームである。前回の本連載で紹介したとおり、ベルギーのメンバーは若手中心ではあるが、欧州のビッグクラブに所属する選手ばかりである。先発メンバー11人のうちチャンピオンズリーグの本戦に出場する選手は8人、一方のフランスの先発メンバーでチャンピオンズリーグの本大会に出場するのは7人であり、ほぼ互角と言えるだろう。

■32年ぶりのホームでの勝利を目指すベルギー

 さてフランスにとっては今までで一番対戦の多いベルギーであるが、今世紀になってからの対戦は3回だけであり、2002年5月、2004年2月、2011年11月といずれも親善試合で対戦し、対戦成績は1勝1分1敗と互角である。興味深いのは勝敗が付いた2試合はいずれもホームチームが負けており、2002年5月18日にスタッド・ド・フランスで行われた試合はベルギーが2-1で勝ち、2004年2月18日に今回と同じブリュッセルのボードワン国王競技場で行われた試合はフランスが2-0と勝利している。そして直近の試合である2011年11月15日のスタッド・ド・フランスでの試合はスコアレスドローとなっている。
 ベルギーにとってホームでのフランス戦勝利は今から32年前の1981年9月9日のワールドカップ・スペイン大会予選が最後である。今回の両チームのメンバーでこの時に生まれていたのはベルギーのダニエル・ファンブイテンとフランスのエリック・アビダルだけである。今回の対戦でベルギーはフランス相手にホームで久しぶりの勝利が期待できる。またベルギーのマルク・ビルモッツ監督は2002年5月にベルギーが勝利した試合で得点をあげている。

■シュート数でフランスを上回ったベルギー

 試合はフランスがボールを支配しながらも攻めきれず、逆にベルギーは効果的な攻撃が多くしばしばフランスのゴールを襲った。フランスで健闘したのは守備陣である。なんといってもファンを驚かせたのは肝臓移植の手術のため1年半のブランクから戻ってきたエリック・アビダルである。全くブランクを感じさせることのない献身的な動きでフランスのピンチを救った。そしてGKのウーゴ・ロリスもしばしば好セーブを見せ、ベルギーに得点を許さなかった。決定的なチャンスはベルギーの方が多く、特に47分のロメロ・ルカクのシュートを防いだロリスは称賛に値する。そして若いコンビとなった守備的MFの2人も健闘した。ジョシュア・ギラボギは攻撃の起点となり、実に58本のパスを成功させ、この日が代表にデビューとなったジョフレイ・コンドグビアも合格点と言えるであろう。
 しかし、課題は攻撃陣である。ゴールから遠ざかっているカリム・ベンゼマは11分にシュートを放ったが、ベルギーのGKチボー・クルトワの好守備にあい、得点ならず。その後もクルトワのファインプレーが続くが、シュート数はベルギーの13本を下回る8本、これでは無得点もやむなしであろう。
 結局はスコアレスドローとなったが、フランスは敗戦を免れた、という表現が正しいであろう。

■100年の歴史で3回目の4試合連続無得点

 フランスは過去3年間で欧州の代表チームと親善試合を12試合行っているが、この間の戦績は8勝3分1敗と欧州勢相手の親善試合では不思議と好成績を残し、今回もその恩恵をあずかったと言えるだろう。
 連敗記録を3で止めることができたが、勝利したわけではない。またこの試合も無得点に終わり、これで無得点記録は389分となった。これまでのフランス代表の歴史で4試合連続無得点というのは過去に2回しかない。まず1924年から1925年にかけての4試合、そして1986年のワールドカップメキシコ大会後の4試合である。さらに悩めるエース、ベンゼマに至ってはついに無得点記録が1155分に伸びてしまったのである。(この項、終わり)

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