第1597回 ワールドカップ予選でグルジア、ベラルーシと対戦(1) 3年ぶりに戻ってきたアンドレ・ピエール・ジニャック

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■4試合勝利から見放されて迎える9月の連戦

 8月の親善試合のベルギー戦は、引き分けであり、フランスは4連敗を免れたが、3月22日のグルジア戦以来、勝利と得点から見放されたまま、秋を迎えることになった。スペイン、ウルグアイ、ブラジル、ベルギーといずれも強敵ではあるが、1分3敗、そして無得点で9月を迎えるとはだれも思わなかったであろう。

■首位スペインと勝ち点1差、グルジア、ベラルーシと連戦

 さて、9月の連戦はワールドカップ予選である。フランスの所属しているグループIの状況をここで再確認しよう。予選は各チームとも8試合戦うが、ここまでの試合消化数はベラルーシが6試合、それ以外の4か国は5試合である。首位は3勝2分で勝ち点11のスペイン、2位はフランスで3勝1分1敗で勝ち点10、3位はフィンランドで1勝3分1敗、4位はグルジアで1勝1分3敗で勝ち点4(得失点差-4)、5位は唯一消化試合数の多いベラルーシで1勝1分4敗(得失点差-6)となっている。首位のチームのみに本大会出場権が与えられ、2位はプレーオフ出場となる。
フランスは首位のスペインと勝ち点で1しか差がないが、すでにフランスとスペインは直接対決が2試合とも終わっており、フランスの残り試合は9月6日はグルジアと、10日にベラルーシといずれもアウエーでの対戦、10月15日にフィンランドとのホームゲームが待っている。フランスは残る下位のチーム相手に取りこぼすことなく、ひたすらスペインの取りこぼしを待つしかない。追うフランスにとって、取りこぼしというのはアウエーゲームでも引き分けは負けに等しいと言える。したがって、この4試合勝ちから見放され、得点からも見放されているフランスはグルジアとベラルーシに連勝しなくてはならない。そのような状況下でディディエ・デシャン監督は8月29日に25人の遠征メンバーを発表した。

■グルジア、ベラルーシ戦に臨む25人のメンバー

 GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、ミカエル・ランドローの3人、DFはマチュー・ドビュッシー、エリック・アビダル、エリアキム・マンガラ、アディル・ラミ、ガエル・クリシー、パトリス・エブラ、バカリ・サーニャ、ローラン・コシエルニーの8人、MFはジョシュア・ギラボギ、ジョフレイ・コンドグビア、ブレーズ・マツイディ、ポール・ポグバ、エチエンヌ・カプー、ムーサ・シソッコ、クレマン・グルニエの7人、FWはフランク・リベリー、マチュー・バルブエナ、ディミトリ・ペイエ、カリム・ベンゼマ、オリビエ・ジルー、サミール・ナスリ、アンドレ・ピエール・ジニャックの7人となる。

■課題の攻撃陣にアンドレ・ピエール・ジニャックがカムバック

 23人を招集したベルギー戦と比較するとGK、DF陣は同じメンバーで、MFはリオ・マブーバが抜け、マツイディとポグバが加わり、FWにはジニャックが加わった。4試合連続無得点という攻撃面の課題を抱えているフランスにとって攻撃陣のテコ入れは必須であり、マルセイユのジニャックが加わった。
ジニャックは2010年の南アフリカでのワールドカップに出場したのを最後にフランス代表から外れており、今回3年ぶりの代表復帰となった。メンバー発表の時点でフランスリーグは第3節まで行われており、3連勝したマルセイユが首位であったが、ジニャックは第1節のギャンガン戦、第2節のエビアン戦、第3節のバランシエンヌ戦と3試合連続して得点をあげ、マルセイユの快進撃の原動力となっている。地元ファンの間では1980年代から1990年代にマルセイユに所属し、5連覇の原動力となったジャン・ピエール・パパンの再来という評価も高い。ジニャックが代表に初めて招集されたのは2009年4月のことであるが、このシーズン、すなわち2008-09シーズンはリーグで得点王に輝いている。国内リーグで好調な大型FWにデシャン監督は期待し、代表に復帰させたのである。(続く)

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