第1602回 ワールドカップ予選でグルジア、ベラルーシと対戦(6) 1トップはオリビエ・ジルー

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■予選敗退の決まったベラルーシ、2位以内を確定したいフランス

 ワールドカップ予選グループIは各チームが6試合ずつ消化し、残り2試合となった。この時点で首位スペインは勝ち点14、2位フランスは勝ち点11、そして3位フィンランドは勝ち点6、5位グルジアが勝ち点5、最下位ベラルーシは勝ち点4となっている。数字の上で言うならば、首位突破の可能性があるのはスペインとフランス、プレーオフ出場の可能性があるのは4位のグルジアまでであり、ベラルーシは今回のワールドカップ出場がならなかった。
 そして2位争いであるが、フランスがベラルーシ戦で勝利すれば2位以内が確定する。またこのベラルーシ-フランス戦がキックオフされる2時間前にグルジア-フィンランド戦が行われ、フィンランドが引き分け以下であれば、フランスの2位以内が決まる。
 スペインの首位突破が濃厚なことから、フランスとしてはこのベラルーシ戦で2位以内を決め、10月の親善試合、最後の予選の試合となるフィンランド戦を経て11月15日と19日に行われるプレーオフに臨みたいところである。

■攻撃陣の人選に悩むディディエ・デシャン監督

 ディディエ・デシャン監督はこの日の先発メンバー、特にトップの選手の起用は悩んだ。まず、グルジア戦で試した2トップはやはり機能せず、それ以外にトップ下のゲームメーカー不在という課題もあり、4-2-3-1システムに回帰することは必至であろう。そしてその際に、1トップはこれまで通りカリム・ベンゼマを起用し続けるのか、それともここまで1217分間無得点のベンゼマを見切ってオリビエ・ジルー、あるいは今回代表に復帰したアンドレ・ピエール・ジニャックを起用するのか。そして左サイドの攻撃的MF、欧州最優秀選手になりながらも代表チームでのパフォーマンスの思わしくないフランク・リベリーを使うのか、それとも昨年の欧州選手権の暴言事件以来、今夏復帰したサミール・ナスリを使うのか、少しまであればまったく悩む必要性のない選手起用にデシャン監督は悩むことになった。

■オリビエ・ジルーの1トップ、グルジア戦と4人を入れ替え

 そしてデシャン監督の下した判断は1トップはジルー、左サイドの攻撃的MFはリベリーであった。これ以外の攻撃陣は中央の攻撃的MFはマチュー・バルブエナ、右サイドはディミトリ・ペイエである。守備的MFは左にブレーズ・マツイディ、右にポール・ポグバ、DFラインは左からガエル・クリシー、エリック・アビダル、ローラン・コシエルニー、バカリ・サーニャ、そしてGKはウーゴ・ロリスである。この布陣を直前のグルジア戦と比較すると、左サイドDFがパトリス・エブラからクリシーに代わり、守備的MFはムーサ・シソッコとジョシュア・ギラボギからマツイディとポグバに入れ替わっている。攻撃的MFのバルブエナは右から中央に代わり、右にはベンゼマに代わって入ってきたペイエが位置している。

■最後の勝利のグルジア戦でコンビを組んだブレーズ・マツイディとポール・ポグバ

 主将はロリス、そして攻撃の中心となるトップ下のバルブエナは昨年夏にデシャン監督が就任して以来、ただ1人14試合連続出場となり、バルブエナとのコンビプレーという点でリベリーの起用となったと言えるであろう。またリベリーは昨年9月11日に行われたホームでのベラルーシ戦では全3得点に絡む活躍をしており、その相性の良さも買われての起用である。
 また、2人が入れ替わった守備的MFはベテランの域に達したマツイディ、そしてU-20ワールドカップで活躍したポグバとなったが、マツイディは6月9日の南米遠征のブラジル戦、ポグバは3月26日のスペイン戦以来と2人とも久しぶりの出場となる。ポグバはデビュー戦となる3月22日のグルジア戦とその4日後のスペイン戦に出場して以来フル代表での試合はないが、出場した2試合では驚異的なボールタッチの数を記録し、U-20ワールドカップでの成長した姿を半年ぶりのフル代表戦で見せてもらいたいものである。そしてフランスはグルジア戦以来勝利から見放されているが、この試合の守備的MFはポグバとマツイディだったのである。(続く)

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