第1607回 チャンピオンズリーグ開幕(1) プレーオフで敗れたリヨン
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■予備戦3回戦から参戦することになったフランスリーグ3位チーム
このところ、本連載ではワールドカップ本大会を目指すフランス代表について紹介してきたが、ワールドカップが4年に1回のイベントであるのに対し、毎年行われる国際大会がクラブレベルのチャンピオンズリーグである。
チャンピオンズリーグに関してはフランスから3チームが出場するが、フランスのクラブのUEFAインデックスが下がり、ポルトガルに抜かれたため、3番手のチームは昨年まではプレーオフから出場できたが、今年からはその1つ前の予備戦3回戦からの出場となった。昨季のフランスリーグの1位のパリサンジェルマンと2位のマルセイユは9月中旬に始まる本戦のグループリーグからの参戦となるが、プレーオフは8月下旬、さらに予備戦3回戦は7月末と8月初めに行われる。
昨季3位に入ったのはリヨン、欧州最高峰を目指すチャンピオンズリーグに出場できることはたいへん名誉のあることであるが、リーグ戦が始まる前に国際試合を戦わなくてはならないというのはつらい日程である。
■リーグ戦開幕前に予備戦3回戦で連勝したリヨン
リヨンの国内リーグ戦は8月10日に開幕するが、7月に親善試合を行った後、7月30日と8月6日にスイスのグラスホッパー・チューリッヒと予備戦3回戦を行う。リヨンのシーズン前の最後の練習試合の相手はスペインのレアル・マドリッド、このビッグクラブ相手の練習試合とあって7月24日、本拠地ジェルランは満員のファンで埋まった。リヨンは2点をリードしていたが、終盤に2点を献上、ドローとなる。
その6日後、同じジェルラン競技場でフランスの他のチームに先んじて公式戦がキックオフされる。会場はほぼ八分の入りで、ファンの関心の高さをうかがわせる。グラスホッパー・チューリッヒは昨季のスイスリーグでは2位のチーム、アウエーゲームではあったが積極的に攻めてきた。前半は両チーム無得点であったが後半に入って63分、リヨンはFKのチャンスを得てクレマン・グルニエの蹴ったボールを前方に位置していたセルビア代表のミラン・ビセバッツがヘディングでシュート、リヨンは今季初めての試合を1-0というスコアで逃げ切り、チューリッヒでの第2戦につないだのである。
第2戦はその1週間後の8月6日、ホームのグラスホッパー・チューリッヒは組織的な守備でチャンスをうかがう。両チームとも得点のないまま、時計の針は動き、残り10分。ここでグラスホッパー・チューリッヒが得点をあげれば延長戦、逆にリヨンが得点をあげれば決定的となる。ハーフウェイライン付近でリヨンは敵ボールを奪い、前方にロングフィード、これをグルニエがシュート、グラスホッパー・チューリッヒのGKも触ったものの、ゴールイン。リヨンはリーグ戦開幕前の公式戦で連勝し、リーグ開幕を迎えることになったのである。
■レアル・ソシエダをチャンピオンズリーグに導いたフィリップ・モンタニエ
この勢いをリヨンはリーグ戦に持ち込み、第1節ニース戦、第2節ソショー戦と連勝して好スタートを切る。そしてプレーオフでスペインのレアル・ソシエダと対戦することになった。このクラブは昨季まではフランス人のフィリップ・モンタニエが監督を務め、初年度は12位、2年目は4位に躍進し、チャンピオンズリーグにプレーオフから参戦という戦績を残したが、モンタニエは契約満了ということでスペインを去り、今季はレンヌの監督になっている。
■リヨンの開幕ダッシュを止めたスペインのレアル・ソシエダ
手ごわい相手との第1戦はホームゲーム。しかし、リヨンは今季初の黒星を喫する。17分にはフランス人のアントワン・グリエズマンに先制点を許し、後半の立ち上がりの50分にも失点、さらに75分には今季初の得点を決めたビセバッツが2回目の警告で退場となる。リヨンは0-2と敗れ、この敗戦が精神的なショックとなったのか、4日後に行われたリーグ戦第3節ではスタッド・ランスに0-1と敗れる。
立て直したいアウエーの第2戦であったが、終盤に2点を奪われて0-2と完敗。リヨンはヨーロッパリーグとまわることになったが、3日後に行われたリーグ戦の第4節でもエビアンに敗れ、8月最後の12日間でリヨンは4連敗となったのである。(続く)