第1615回 プレーオフ見据えた10月の連戦(6) プレーオフでのシード獲得の可能性
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ベラルーシに勝利したスペイン、フランスと勝ち点3差
豪州との親善試合で快勝、4日後のフィンランド戦、そして11月のプレーオフに向けて大きな弾みがつく一戦となった。さて、フランスが豪州と戦った10月11日、グループIではスペインがホームでベラルーシと対戦し、2-1と勝利する。スペインは他のチームより消化試合数が1つ少なかったが、このベラルーシ戦で勝ち点3を上積みし、勝ち点で並んでいたフランスに差をつける。この段階での成績を紹介するとスペインは5勝2分で勝ち点17、得失点差は+9であり、フランスは4勝2分1敗で勝ち点14、得失点差は+6である。15日に両チームとも最終戦を迎え、スペインはグルジア、フランスはフィンランドをそれぞれホームに迎えて戦い、スペインがグルジアに敗れ、フランスがフィンランドに勝利すると勝ち点で並び、総得失点差の勝負となる。スペインとフランスの得失点差の差は3点であり、スペインが敗れ、フランスが勝利すれば、フランスが首位突破の可能性は十分にあるが、スペインの相手のグルジアはすでに予選落ちが確定しており、ホームゲームでスペインが敗れることはないであろう。
■プレーオフ出場可能性のあるフランスのライバル
現段階でプレーオフに出場が決まったチームはクロアチア(グループA)、スウェーデン(グループC)の2チームである。それ以外にプレーオフに出場する可能性のあるチームはグループBはブルガリア、デンマーク、グループDはトルコ、ルーマニア、ハンガリー、グループEはアイスランド、スロベニア、グループFはロシア、ポルトガル、グループGはボスニア・ヘルツェゴビナ、ギリシャ、グループHはイングランド、ウクライナ、モンテネグロである。(グループBはチェコとアルメニアも2位になる可能性があるが、プレーオフ進出は不可能である)これらの国がフランスがプレーオフに回った場合ライバルとなる。
■FIFAランキングではシード獲得の厳しいフランス
どの国のファンもプレーオフは避けたいと思い、グループ首位となって本大会出場を果たしたいが、フランスのファンはこの奇跡に対する思いが特に強い。それは今回のプレーオフの際のシード決定方法である。4チームがシードされ、第1戦をアウエー、第2戦をホームで戦うことができる。第2戦をホームで戦うことは大きなアドバンテージである。プレーオフの際のシードはこれまで、予選での勝ち点あるいはFIFAランキングで決められたが、今回はこの時点でのFIFAランキングで決められることになった。
すでにプレーオフが決まった2か国を見ると、最下位チームとの対戦を除く勝ち点はクロアチアは11、スウェーデンは14である。フランスも14であり、この3チームはいずれも最終戦で最下位チーム以外との対戦が待っており、勝ち点を積み上げることができる。現時点での2位チームを比較するならば、勝ち点でフランスは上位4チームに入ることができるであろう。
一方、FIFAランキングに関しては9月12日の段階でフランスは25位である。すでにプレーオフ進出を確定したクロアチアは10位、スウェーデンは22位であり、フランスの上にすでに2チームが存在する。また他のグループを見渡せば、グループFはロシア(15位)あるいはポルトガル(11位)、グループGはボスニア・ヘルツェゴビナ(18位)あるいはギリシャ(12位)であり、上位4つに入ることは難しい。フランスは今回のワールドカップ予選で5チームのグループIに入ったことから、他のグループに入った国よりもタイトルマッチの数が少ないことからランキングが低いと抗議したが、ルールが変わることはない。しかしながら、ルールが自国に有利であるかどうかを常に意識して動くというのは外交大国の伝統であろう。
■最終節での奇跡を期待するフランスのファン
フランスにとっては最終節での2つの奇跡を期待している。まずは、グループIの最終節でスペインが敗れ、フランスがフィンランドに勝利すること。スペインとフランスの得失点差の差が3点であることから、スペインがまさかの取りこぼしをすれば可能性はある。そしてもう1つはプレーオフに出場するチームがFIFAランキングを落とすことである。そうすればフランスがFIFAランキングで上位4チームに入る可能性がある。いずれにせよ、フランスはフィンランドに快勝することが望まれているのである。(続く)