第1653回 1部勢安泰のフランスカップ(2) 1部勢が下部リーグ勢のチャレンジを退けた2日目
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■1部勢が3チームだけが勝ち進んだ初日
1部勢にとって鬼門と言われるフランスカップ初戦となるベスト32決定戦、初日には6チームが登場する予定であったが、サンテチエンヌは豪雨のため試合が延期、ロリアンはCFAのイズールに敗れ、1部勢でベスト32に残ったのはトゥールーズ、ソショー、レンヌの3チームだけであった。
ジャイアントキリングの嵐かと思われたが、2日目以降は落ち着いた結果になった。
■昼の試合でフランスカップのスペシャリストを下したギャンガン
2日目の1月5日の日曜日、1部勢で最初に姿を現したのはギャンガン、14時にナショナルリーグのブール・ペロナとの対戦である。3部に相当するナショナルリーグで現在4位、このクラスになるとプロになってもおかしくない選手がそろっている。しかも昨年は2部のモナコとオセールに勝利し、一昨年は1部のアジャクシオを下している。フランスカップのスペシャリストのジャイアントキリングを見ようと、この日も8,000人の観衆が集まった。この難敵相手にギャンガンは前半に2点を奪い、2-0と勝利する。このギャンガンがジャイアントキリングを阻止したことで流れは変わった。
■次々に挑戦を退けた1部勢
この日は1部勢が14チーム登場する予定であったが、パリサンジェルマンはブレストでの試合が大雨によるグラウンドコンディション不良のため延期となる。13チームのうち、1部勢同士の対戦は、バスティア-エビアン、ナント-ニース、マルセイユ-スタッド・ド・ランスの3カード、それ以外の7チームはすべて下位リーグのチームの挑戦を退けた。2部以下のチームに勝利してベスト32に進出したのは、アミアン(CFA)を下したリール、ラスーズシュール・サルテ(DH)に大勝したリヨン、ロデス(ナショナル)に勝ったモンペリエ、ラオン・レタップ(CFA)に一時期は追いつかれながら試合終盤に勝ち越し点を奪ったボルドー、7部に相当するDSEのカンペルレに先制点を奪われながら逆転勝ちしたアジャクシオ、バンヌ(ナショナル)に競り勝ったモナコである。
下部リーグのクラブとの対戦と言っても2部勢はこのベスト32決定戦に5チームしか残っておらず、1部勢と2部勢の対戦はグラウンドコンディション不良のため延期となったパリサンジェルマンとブレストの1試合だけであることも幸いし、下部リーグのチームと対戦した1部勢は順当に勝ち進んだのである。
■オセールを脅かした8部のマルク・アン・バルール
しかし、この順当勝ちの中にも多くのドラマがあった。そして1部勢の出ていない試合にも多くのファンが注目した。フランスカップの魅力は下部のリーグのチームが勝ち進み、上位のリーグのチームと対戦することである。今回のベスト32決定戦には7部相当以下のクラブが3チーム出場している。
8部に相当するPHから唯一残っているのがベルギー国境近くのチーム、マルク・アン・バルールである。2回戦から登場し、すでに7つの相手を倒している。1部勢は6回、2部勢は8回勝てばフランスカップで優勝するわけであり、7回勝つということがクラブにとっていかに困難なものかお分かりであろう。このマルク・アン・バルールが迎えるのは2部のオセールである。2部に陥落してしまったオセールであるが、オセールが一躍有名になったのはこのフランスカップである。ここでオセールが負けるようだと、オセールは逆の意味で有名になってしまい、第二のオセールを誕生させてしまうかもしれない。マルク・アン・バルールは第1GKと第2GKが負傷等で出場できないため、39歳のGKコーチが登録、実に6年ぶりの実戦となる。オセールは開始の8分間で3得点を奪う。勝負あったかと思われたが、マルク・アン・バルールは前半のうちに2点返し、1点差で折り返す。後半はオセールが力の差を見せ、3ゴールをあげ6-2というスコアでプロの面目を保ったのである。(続く)