第1664回 ハンドボール欧州選手権 フランス3回目の優勝(2) 今大会最多得点でデンマークを下す
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ロンドンオリンピック決勝の再現となるスウェーデン戦
これまで10回行われたハンドボールの欧州選手権で2回優勝しているフランス。過去の優勝は2006年、そして2010年といずれもワールドカップイヤーである。今年はワールドカップイヤーであることからファンの期待も高まる。
二次リーグの最終戦を残して4勝のフランスは準決勝進出を決める。グループリーグ最終戦の相手のスウェーデンはこの欧州選手権の初代の王者であり、これまでに最多の4回の優勝を誇るが、2002年を最後に欧州王座から遠ざかっており、今大会の二次リーグも2勝2敗で準決勝進出はならなかった。また、一昨年のロンドンオリンピックの決勝でも両国は対戦し、フランスが22-21と勝利している。
■スウェーデン相手に今大会初黒星
すでに4勝しているフランスは首位を確定しており、準決勝ではグループ1の2位チームと対戦するが、すでにグループ1も1位は開催国であり、前回優勝のデンマークが首位、2位は最終戦でマケドニアを下したスペインであり、フランスは準決勝でスペインとの対戦が決まっている。
このような状況がスウェーデン戦での選手のモチベーションに影響したのか、フランスはすでに敗退が決まったスウェーデン相手に対し、突き放すことができない。前半の終盤にフランスは2点連取し、16-14と2点リードして折り返し、後半も残り10分の50分までリードしていたが、ラスト10分にスウェーデンが次々とゴールを決め、28-30と今大会初めての黒星を喫する。
■世界王者スペインとの接戦を制し、決勝進出
負けられない戦いとなった準決勝は2日後の1月24日にメイン会場のヘアニングで行われる。第1試合はフランス-スペイン戦、そして第2試合は地元デンマークとクロアチアの対戦である。
フランスとスペインの直近の対戦はロンドンオリンピックの準々決勝である。フランスは23-22と1点差で逃げ切り、この後金メダルを獲得している。しかし、スペインは昨年行われた世界選手権では優勝している。フランスは過去10年間でハンドボールの主要大会(オリンピック、世界選手権、欧州選手権)で9回準決勝に進出しているが、準決勝での戦績は6勝3敗と強さを誇る。
さて、世界王者とフランスの試合は序盤は両チームとも得点を決めることができず、初めてネットが揺れたのは4分のことであった。フランスはその後は得点を重ね、12分には7-2と5点をリードする。しかし、スペインも追い上げ、前半終了間際の28分に12-12と追いつき、さらに前半の残り2分で得点を重ね、前半はスペインが14-12とリードする。後半も最初のゴールはスペインで、15-12と3点差をつけたが、これがスペインにとっての最大のリードとなった。フランスは36分に16-16と追いつき、37分に17-16と逆転する。そこからフランスはスペインにリードを許すことはなかった。スペインは4回同点に追いついたが、フランスは追いつかれたら突き放し、フランスがリードして試合を進めた。最終スコアはが30-27とフランスが勝利し、2大会ぶりの決勝進出を決めた。
■開催国デンマーク相手に大量得点で勝利
そして決勝の相手は前回優勝にして開催国のデンマークである。一次リーグから全勝の6連勝で連覇を狙う。満員の1万4000人の地元観衆の声援を受けて攻めるデンマーク、しかし、フランスは先制点、追加点を奪っただけではなく、序盤にGKのティエリー・オメイエが好セーブを連発する。これでフランスは好スタートを切り、デンマークとの点差を広げる。22分には17-7と2桁の得点差をつけ、地元デンマークを圧倒する。前半終了間際にはフランスのスペクタクルな得点もあり、23-16とフランスが7点リードで折り返す。
後半に入ってもフランスの勢いは衰えず、大量リードをキープし、ミカエル・ギグーはこの試合で10得点をあげる活躍をする。最終スコアは41-32、フランスのあげた41得点は今大会における1試合最多得点である。
最優秀選手はニコラ・カラバチックが選ばれ、フランスは2006年、2010年に続き、ワールドカップイヤーの年初に欧州を制したのである。(この項、終わり)