第1668回 決勝トーナメント第1戦で明暗分かれたパリサンジェルマンとリヨン
■グループリーグを突破した2チームがリーグカップ決勝に進出
今年のリーグカップについては本連載第1659回から1662回で紹介した通り、1月下旬の準決勝に勝利したパリサンジェルマンとリヨンが決勝に進出した。このカードが夢の対決と言われるのは、両チームが人気と実力を兼ね備えたチームであることに加え、前年の12月に終了したチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグのグループリーグでそれぞれフランス勢として唯一決勝トーナメントに残ったチームであることが大きいであろう。
リーグカップの決勝は4月19日、チャンピオンズリーグもヨーロッパリーグもこの決勝の直後に準決勝第1戦が行われる。パリサンジェルマン、リヨンともグループリーグを好成績で勝ち抜いたことからリーグカップの決勝は欧州でのセミファイナリストとしてスタッド・ド・フランスに入場したいところである。
そのためにはパリサンジェルマンはチャンピオンズリーグのベスト8決定戦と準々決勝を勝ち抜き、リヨンはさらにベスト16決定戦から勝ち進まなくてはならない。
■グループリーグ最終節で2位に滑り込んだレバークーゼン
パリサンジェルマンはグループリーグを首位で通過したため、決勝トーナメントの1回戦に相当するベスト8決定戦はグループリーグで2位のチームと対戦する。さらにホームアンドアウエー方式で第2戦を本拠地で行うことができる。パリサンジェルマンの1回戦の相手はドイツのレバークーゼンである。かつて日本の風間八宏、韓国の車範恨が所属していたことから日本の皆様にとっては親しみの深いチームであろう。常にブンデスリーガでは上位に定着しているクラブであるが、国内外でのタイトルに恵まれておらず、リーグ優勝はなく、ドイツカップ優勝が1回、UEFAカップ優勝が1回あるだけである。今季のチャンピオンズリーグは第5節でマンチェスター・ユナイテッドに0-5と大敗し、3位に落ちたが、最終節でスペインのレアル・ソシエダに勝利、最終節を落としたウクライナのシャフタール・ドネツクを逆転し、2位に滑り込んだ。
チャンピオンズリーグの決勝トーナメントには2004-05シーズン以来9年ぶりの進出となる。この時は1回戦でイングランドのリバプールに連敗しており、決勝トーナメントで勝ち抜いたのは決勝に進出した2001-02シーズンが最後である。
■パリサンジェルマン、アウエーでゴールラッシュ
一方のパリサンジェルマン、本連載で紹介してきたとおり、グループリーグでは圧倒的な強さを見せ、昨年に続くチャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出である。
2月18日、レバークーゼンの本拠地バイアレナでの試合、白いユニフォームのパリサンジェルマンは序盤から圧倒する。3分にブレーズ・マツイディのゴール、チームにとってチャンピオンズリーグ100ゴール目となるメモリアルゴールはその後のゴールラッシュを生んだ。その後も試合を支配し、39分と42分には立て続けにズラタン・イブラヒモビッチがゴール、3-0とリードして折り返す。後半も元気のないレバークーゼンを圧倒し、得点こそ終了間際のヨアン・カバイエの1点だけだったが、アウエーの第1戦を4-0という記録的な大勝で3月に行われる第2戦を迎えることになったのである。
■リヨン、試合から遠ざかっているチョルモレッツ・オデッサとスコアレスドロー
一方のリヨンもグループリーグを首位突破でシード扱い、1回戦はウクライナのチョルモレッツ・オデッサ、1990年代には日本の商社がスポンサーになっていたこともあり、日本の皆様良くご存じのチームであろう。ウクライナカップの準優勝チームとして予備戦2回戦から参戦し、予備戦2回戦、3回戦、プレーオフと勝ち上がり、グループリーグに進出。グループリーグではディナモ・ザグレブ(クロアチア)、PSVアイントホーヘン(オランダ)という実績のあるチームを押さえ、ブルガリアのルドゴレツ・ラズグラドとともに決勝トーナメントに進出したのである。
勢いのあるチームとはいえ、昨年の12月から公式戦から離れているチョルモレッツ・オデッサ、リヨンが優位と思われたが、リヨンは守勢で得点をあげることができず、スコアレスドローで決勝トーナメント第1戦を終えたのである。(この項、終わり)