第1674回 オランダと親善試合(3) 予選圧勝後、足踏みの続くオランダ
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■予選で圧勝したオランダ
フランスにとっては予選突破後、ワールドカップのメンバー決定まで唯一の試合となったオランダ戦である。一方、対戦相手のオランダも今年初めての試合となるが、ワールドカップ予選突破以降の道のりはフランスとかなり異なる。オランダは今回のワールドカップも予選をはやばやと突破しており、予選突破決定後からこのフランス戦までに4試合戦っている。オランダはワールドカップ予選ではグループDの第1シード国、第2シードのトルコ、第3シードのハンガリー、第4シードのルーマニアが2位争いをする一方で、開幕から6連勝、7戦目のエストニア戦は引き分けたが、昨年9月10日に行われた8戦目のアンドラ戦に勝利し、2試合を残して3大会連続10回目の本大会出場を決めている。
本大会への出場が決定したオランダは10月に予選を2試合戦っている。相手はハンガリー(10月11日、アムステルダム)、トルコ(10月15日、イスタンブール)といずれもプレーオフ進出の可能性のある2位争いをするチームであったが、オランダはハンガリーに8-1と大勝、アウエーのトルコ戦も2-0と連勝している。
■11月の親善試合は日本、コロンビアと連続してドロー
9勝1分、35得点5失点と圧倒的な成績を残した予選の後、11月には親善試合を2試合行う。11月16日にはベルギーのゲンクで日本と対戦、19日にはアムステルダムでコロンビアと対戦する。しかしながら、日本とは2-2、コロンビアとは0-0と2試合連続のドローとなる。 日本は早々にワールドカップ出場を決めており、世界ランキングこそ低いが、本大会までの準備が行き届いたチームであり、優勝候補に推す専門家も少なくない。またコロンビアもワールドカップ出場は4大会ぶりであるが、世界ランキングはこの時点で4位、オランダの8位を上回っている。
■オランダのターゲットは6月13日のスペイン戦
このように、優勝候補や世界ランキング上位国相手に2試合ドローということが世界ランキングにも影響し、オランダの世界ランキングは10位と久しぶりに二桁に落ちた。また、オランダは本大会ではグループB、このグループには前回決勝戦で敗れたスペインがおり、オランダとスペインは6月13日のグループリーグの初戦で対戦する。今大会のグループリーグでの屈指の好カードである。ボール保持率で勝負するフランスはスペインと似ており、仮想スペイン相手にオランダは手ごたえをつかみたいところである。
■ウェスレイ・スナイデルの再来と期待のかかるダフィ・クラーセン
オランダのルイ・ファン・ハール監督はあらかじめ33人の予備メンバーを2月中旬に発表し、その中から10人を落とし、2月28日に23人のメンバーを発表した。かつてはオランダ代表というとアヤックス・アムステルダム、PSVアイントホーヘン、フェイエノールトという国内の三強からのメンバーがほとんどであったが、現在は半数は国外のクラブに所属している。若手選手は国内のクラブで中堅以上は国外のクラブというのはフランスと同様、欧州の代表チームに共通する構図である。
昨年11月の2試合連続引き分けという小休止から、6月13日のサルバドールでのスペイン戦というターゲットにレベルアップするためにも若手や新人に期待したいところである。今回初招集となったメンバーのうち目玉と言える選手がアヤックス・アムステルダムの21歳、ダフィ・クラーセンである。11歳でアヤックス・アムステルダムの下部組織に加入、18歳でトップチーム入りした。年代別の代表チームでも活躍し、昨年10月には初めて21歳以下代表に招集される。それから半年もたたない段階でフル代表に招集される。地元ファンの間ではアヤックス・アムステルダム出身でレアル・マドリッド(スペイン)、インテル・ミラノ(イタリア)で活躍したウェスレイ・スナイデルの再来と期待されての代表入りである。(続く)