第1675回 オランダと親善試合(4) 先発メンバーに名を連ねたアントワン・グリエスマン
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■追加招集されたジョシュア・ギラボギ
フランスにとってもオランダにとっても今年最初となる試合、あと100日に迫ったワールドカップに向けたメンバー選考の場として重要な機会となった。フランス代表は試合の前々日の3月3日からクレールフォンテーヌで合宿に入るが、週末のリーグ戦でリールに所属するアントニオ・リオ・マブーバが負傷したため、合宿には参加せず、ディディエ・デシャン監督はジョシュア・ギラボギを代替メンバーとして招集した。
ギラボギは本連載第1672回で紹介したエリアキム・マンガラなどとともに、昨年6月の南米遠征の際に代表に初招集され、ウルグアイ戦、ブラジル戦に出場した。この南米遠征は連敗となったが、8月の親善試合のベルギー戦にもメンバーに入ったが、出場するには至らなかった。代表チームは9月以降はワールドカップ予選の最終局面を迎え、本連載でも紹介してきたとおり、それまでのゴール欠乏症から脱却し、上り調子となり、ブラジル行きの本大会のチケットをつかむことになるが、秋以降、ギラボギは代表から声がかかることはなかった。南米遠征デビューした四人組のうちマンガラは今回カムバックしたが、ギラボギはマンガラに続いての復帰となった。ギラボギは昨夏、サンテチエンヌからスペインのアトレチコ・マドリッドに移籍したが、マドリッドでは出場機会に恵まれず、今年1月31日にレンタルという形でサンテチエンヌに戻ってきた。サンテチエンヌは今季好調で、このところ4位をキープしており、ヨーロッパリーグ出場圏内にいる。ギラボギは負傷していたため、2月22日のバスティア戦での交代出場が初出場と出遅れ、初めての先発出場はメンバー発表後に行われたモナコ戦となった。この試合は2位のモナコを破り、ギラボギにとってはうれしい里帰りとなった。
■注目が高まり、チケットは完売
さて、昨年秋のシーズンにはワールドカップ出場権を獲得するために若手選手を起用する余裕のなかったデシャン監督であるが、このオランダ戦での先発と控えのメンバーは注目である。
スタッド・ド・フランスは満員の観衆となる。3か月半前の昨年11月のウクライナ戦ですら試合当日でもチケットが5000枚も売れ残っていたが、今回のオランダ戦は2月初めの段階ですでに7万5000枚が売れており、2月中にチケットは完売した。
■ファン注目の先発メンバー
ファン注目の先発メンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、DFは右サイドにマチュー・ドビュッシー、中央はラファエル・バランとエリアキム・マンガラ、左サイドはパトリス・エブラという4人である。MFは3人であるが中央の守備的な位置にヨアン・カバイエ、前方にポール・ポグバとブレーズ・マツイディが配置する。FWは右ウイングにマチュー・バルブエナ、中央にカリム・ベンゼマ、左ウイングにアントワン・グリエスマンという布陣である。
■左サイドのFWにはアントワン・グリエスマンが先発
このメンバーで注目するべき点はいくつかある。まず代表初招集のグリエスマンがいきなりの先発出場である。前々回の本連載で紹介した通りグリエスマンは昨年12月末までフランス代表での出場停止処分を受けていたわけであり、最初のチャンスで代表入りし、先発の座を勝ち取ったわけである。左サイドのフランク・リベリーが手術明けという事情があったにせよ、その可能性への期待は高い。
一昨年のデシャン監督就任以来、すべての試合に出場してきたバルブエナがこの日も先発する。ただし、ポジションはこれまでのトップ下ではなく、右サイドとして起用された。この日は4-2-3-1システムではなく4-1-2-3になったため、トップ下のポジションがなくなったわけである。
一方、守備陣に関しては右サイドバックはバカリ・サーニャではなくドビュッシーを起用し、中央のストッパーにはローラン・コシエルニーではなくマンガラを起用した。
このようにグリエスマンが代表にデビュー、昨年の南米遠征デビュー組からはマンガラが先発した試合は、8万観衆の見守る中でキックオフされた。(続く)