第1685回 フランスカップ準々決勝(3) 準決勝はギャンガン-モナコ戦とレンヌ-アンジェ戦
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ディミタール・ベルバトフ、ニース戦に次ぐゴール
ロシアのドミトリー・リボロフレフ氏のモナコ、アゼルバイジャン人のハフィス・ママドフ氏のRCランスと旧ソビエト連邦域内の富豪がオーナーのチームの対戦、今年のフランスカップの準々決勝で一番注目を集めるカードとなった。
1部復帰初年で2位につけている大型補強のモナコを象徴する選手がゲームキャプテンを務めたエリック・アビダルである。肝臓手術から立ち直ったアビダルはバルセロナから移籍し、モナコではストッパーを務めている。しかし、2月21日以降は試合に出場しておらず、試合勘を失っていることが懸念された。
しかし、それは全くの杞憂になった。モナコは次々とRCランスのゴールを攻め、17分にルーカス・オカンポスが先制ゴールをあげると、41分にディミタール・ベルバトフが追加点をあげる。ベルバトフはラダメル・ファルカオの負傷による戦線離脱を埋めるために、今年の冬の移籍期間の最終日である1月31日にイングランドのフラムからレンタル移籍してきた。このような大物選手の移籍が可能となるのも金銭的なバックアップあってのことである。ベルバトフはベスト8決定戦のニース戦では決勝点を奪っておりフランスカップ2試合連続のゴールである。
■6得点を奪ったモナコの記録的大勝
さらに後半に入ってもモナコの攻撃は止まらなかった。54分にエマニュエル・リビエール、58分にファビーニョ、67分位はオカンポス、85分にはジョフリー・コンドグビアがゴールを決めて6-0と大勝し、4年ぶりの準決勝進出となる。モナコが6点を奪ったのは実に2014年のチャンピオンズリーグの予備戦3回戦のノバ・ゴリカ(スロベニア)戦以来、実に10年ぶりのことである。
この注目を集め、ホームチームのゴールラッシュとなった試合の後、4月15日と16日に行われる準決勝の組み合わせが決まりモナコはアウエーでギャンガンと対戦することになった。
■リーグ戦16位のレンヌ、3位のリール
もう1つの準決勝は3月27日に行われるレンヌ-リール戦の勝者が2部のアンジェを迎え撃つことになる。ベスト4最後の椅子をかけてレンヌはリールを迎えるが、レンヌは16位、リールは3位とリーグ戦では相当の差がある。しかも、レンヌはホームゲームではあるが、今年に入ってからホームでは1勝しかしておらず、地の利を活かせていない。一方のリールは2月2日のリーグ戦でニースに敗れて以来負け知らす、リーグ戦では3勝4分、カップ戦はカーンにPK勝ちである。来季のチャンピオンズリーグのグループリーグに直接出場できる2位を目指してモナコを追っているリールは勢いのあるチームであり、中国人の投資家が関心を寄せているという情報も流れている。
■大観衆の声援に応えたレンヌ、今世紀5回目の準決勝進出
アウエーのリール優勢と思われた試合、レンヌの本拠地ルート・ド・ロリアン競技場には2万7000人の観客が集まる。これはレンヌが直前のリーグ戦でベロドロームでマルセイユを1-0と下したことが大きく影響している。ホームでは不振のレンヌであるが、今度こそホームで勝利してくれるはずだというファンの期待は大きく、それまでのリーグ戦でのホームゲームのほぼ2倍の観客の前での試合となった。
そのファンの期待にこたえるかのようにレンヌの選手は動きがよく、また組織的なプレーも多く、リールを圧倒する。レンヌは冬の移籍でトルコのシバスポールから獲得したポーランド代表のカミル・グロシキーが先制点をあげる。1点のリードであったが全く危なげない試合で、終了間際の90分にはロマン・アレサンドリーニが追加点をあげる。レンヌは久しぶりの本拠地での勝利で準決勝に進出し、アンジェを迎えることになる。レンヌは2年前も準決勝に進出しているが、今世紀に入って準決勝進出は2003年、2006年、2009年、2012年に続き、5回目、実は隠れたフランスカップのスペシャリストなのである。(この項、終わり)