第1691回 リヨン敗退、フランス勢姿を消す(1) リヨン、準々決勝でユベントスと対戦
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■準決勝まではチャンピオンズリーグの後に行われるヨーロッパリーグ
前回までの本連載では4月初めに行われたテニスのデビスカップとサッカーのチャンピオンズリーグの準々決勝で、前者はフランスがドイツに逆転勝ち、後者はパリサンジェルマンがチェルシー(イングランド)に逆転負け、と明暗が分かれた逆転劇が続いた。
パリサンジェルマンは欧州の舞台から去ってしまったが、フランスから欧州の舞台でもう1チーム戦っているのがリヨンである。パリサンジェルマンとリヨンは4月26日にスタッド・ド・フランスで行われるリーグカップの決勝で対戦することになっているが、チャンピオンズリーグに参戦していたパリサンジェルマンはこの決勝を前に敗れてしまった。ヨーロッパリーグの準々決勝に進出したリヨンは欧州のセミファイナリストとしてスタッド・ド・フランスのピッチに立てるであろうか。
チャンピオンズリーグの準々決勝は第1戦、第2戦とも2日間にわたって行われるが、ヨーロッパリーグの準々決勝はチャンピオンズリーグの準々決勝の終わった翌日に4試合行われる。リヨンの第1戦はパリサンジェルマンより1日遅い4月4日、第2戦は2日遅い4月10日に行われる。チャンピオンズリーグの決勝はヨーロッパリーグの決勝よりも10日遅く行われるが、準々決勝、準決勝は逆にヨーロッパリーグの方がチャンピオンズリーグよりも遅く行われる。
■優勝目前のユベントス、優勝の消えたリヨン
そのリヨンの準々決勝の相手はイタリアのユベントスである。イタリアを代表する名門クラブは今季はセリエAで首位を走っており、リーグ3連覇が目前である。一方のリヨンはリーグ戦では第31節が終わった時点で5位、首位のパリサンジェルマンとは勝ち点で28もの差があるだけではなく、来季のチャンピオンズリーグの予備戦出場権のあるリーグ戦3位のリールとは勝ち点9差、ヨーロッパリーグに出場できるリーグ4位のサンテチエンヌとは勝ち点6差、リーグ戦の残り試合が7試合であることを考えると、リーグ戦の成績で来季の欧州カップに出場することは簡単なことではない。リーグ戦での勢いはユベントスに分がある。
■今季ヨーロッパリーグのホームゲームでは無敗のリヨン
リヨンもパリサンジェルマン同様、第1戦をホームで迎える。ライバルのパリサンジェルマンがイングランドの難敵チェルシーに3-1と勝利し、精神的なプレッシャーの中での試合となる。しかし、リヨンは今季のヨーロッパリーグのホームゲームでは無敗であり、第1戦のホームゲームで確実に勝利して第2戦を迎えたいところである。
■リヨンからユベントスに移籍したネストール・コンバン、マルセイユとリヨンで対戦したユベントス
両チームは公式戦での対戦経験がないが、親善試合では1965年にリヨンで戦っている。この親善試合はフランス代表のネストール・コンバンが前年にリヨンからユベントスに移籍した縁で行われ、コンバンは古巣から2点を奪い、ユベントスが2-1で勝利した。
さらに不思議なことにユベントスはリヨンのジェルラン競技場で欧州カップを戦ったことがある。1972-73シーズンのチャンピオンズカップ、チャンピオンズリーグの前身のチャンピオンズカップは各国のリーグチャンピオン1チームだけが出場できる大会で、イタリアの代表はユベントス、フランスの代表はマルセイユであった。ユベントスはマルセイユと1回戦(ベスト16決定戦)で対戦する。第1戦はマルセイユのホームゲームであったが、マルセイユは前年のチャンピオンズカップの2回戦のアヤックス・アムステルダム戦でファンが問題を起こしたため、マルセイユ以外でのホームゲームとなる。
1972年9月13日にリヨンで行われたマルセイユ-ユベントス戦はマルセイユのジョセフ・ボネルが名GKディノ・ゾフから1点を奪い、1-0と勝利する。それ以来41季ぶりのユベントスはリヨンで試合を行うことになったのである。(続く)