第1692回 リヨン敗退、フランス勢姿を消す(2) ホーム、アウエーとも連敗したリヨン
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■相手国のチームとの相性のいい両チーム
前回の本連載で、リヨンはイタリアのユベントスと欧州カップでは初めての対戦と紹介したが、リヨンはイタリア勢に、そしてユベントスはフランス勢に対し欧州カップでは相性がいい。
リヨンについては記憶に新しいところでは2009-10のチャンピオンズリーグのグループリーグでフィオレンチナと対戦し、アウエーで0-1、ホームで1-0と五分の戦績で、グループリーグの首位はフィオレンチナに譲ったが、2位で突破している。これまでのイタリア勢との戦績は7勝4分5敗、アウエーでも4勝1分3敗と勝ち越している。一方のユベントスであるが、1985年のチャンピオンズカップ準決勝のボルドー戦、1993年のUEFAカップ準決勝のパリサンジェルマン戦、1996年のチャンピオンズリーグ準決勝のナント戦、1998年チャンピオンズリーグ準決勝のモナコ戦とことごとくフランス勢の決勝進出を阻み、ここまでフランス勢との対戦成績は11勝4分5敗と大きく勝ち越している。
■多数の負傷者を抱える両チーム
ユベントスは前回紹介した通りリーグ戦では首位に立っているが、直前に行われたナポリ戦では0-2と敗れている。これは多数の負傷者を抱えていたことも一因である。一方のリヨンも多数の負傷者を抱えている中での対戦となる。
■試合終了直前のスパートで1点を奪ったユベントス
満員のジェルラン競技場、黄色いユニフォームのユベントスが濃紺のユニフォームのリヨンのゴールを立ち上がりから攻める。しかし、ユベントスの序盤の猛攻をしのいだリヨンは次第にリズムをつかむ。リヨンのストッパーとしてこの日大活躍のバカリ・コネは果敢に前線にあがり、攻撃でも貢献する。前半は互角の展開で両チームスコアレスでハーフタイムを迎える。後半に入ってリヨンもチャンスをつかむが、ユベントスの守備陣も県子であり、このままスコアレスドローかと思われた。しかし、ユベントスはラストスパートをかける。そして85分、ユベントスはCKからストッパーのレオナルド・ボヌッチがシュート、リヨンもサミュエル・ウムティティ、マキシム・ゴナロンがプレスをかけるが及ばず、この試合唯一のゴールとなる。リヨンはスコアレスドローを逃し、1点のビハインドを負って第2戦に臨むことになった。
■リヨン、痛恨のオウンゴールで連敗
第2戦は4月10日、すなわちパリサンジェルマンがチェルシー(イングランド)に敗れた2日後にトリノで行われた。白黒の縦じまのユベントスに対し、リヨンは赤いユニフォーム、スタンドにはフランス代表のディディエ・デシャン監督の姿も見える。ユベントスのポール・ポグバ、リヨンのゴナロン、アレクサンドル・ラカゼット、ジミー・ブリアンのプレーを見るのが目的だが、デシャン監督自身ユベントスには選手として、さらには監督として在籍したことがある。
リヨンでの第1戦と打って変わり、開始早々に試合が動いた。4分にアンドレアス・ピルロのFKが直接ゴールに吸い込まれ、4万人の地元ファンで埋まったスタンドは歓喜に包まれる。しかし、逆転を目指すリヨンも果敢に攻め、18分にはムブエンバのロングパスをブリアンがヘディングでシュート、ゴールポストに当たりながらゴールイン、リヨンはこれで同点に追いつくとともに、ブリアンはワールドカップメンバー入りに向けてデシャン監督の前でのデモンストレーションとなった。このままのスコアではユベントスが準決勝に進出するが、リヨンが1点取れば、リヨンがセミファイナリストとなる。
その後もリヨンは勝ち越しのチャンスをつかむがユベントスの名GKジャンルイジ・ブッフォンに阻まれる。逆に、ユベントスは60分にテベスのシュートが入るがオフサイドの判定、さらに68分、カウンターアタックからクラウディオ・マルキージオがシュートを放ち、このシュートがウムティティにあたり、無情のオウンゴールとなる。
リヨンはアウエーの第2戦も1-2と連敗、フランス勢は欧州の4強に残ることができなかったのである。(この項、終わり)