第1694回 リーグカップ、パリサンジェルマン優勝(1) 敗戦のショックの中で前哨戦を制したリヨン

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州カップ準々決勝で敗退したパリサンジェルマンとリヨン

 フランスからチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに出場し、最後まで勝ち残っていたパリサンジェルマンとリヨンがともに準々決勝で敗れたことを紹介してきたが、この両チームは本連載の第1659回から第1662回で紹介した通り、今季のリーグカップの決勝に進出した。リーグカップの決勝戦は4月20日、欧州の舞台でのセミファイナリストとしてスタッド・ド・フランスのピッチの上に立ちたかったであろうが、両チームとも直前に敗退してしまっている。
 パリサンジェルマンは4月8日、リヨンは4月10日にそれぞれ敗退し、残るタイトルは国内リーグとこのリーグカップだけとなった。リーグ戦ではパリサンジェルマンが独走状態で優勝目前であるが、リーグチャンピオンだけではファンは満足できないであろう。一方、リヨンは5位で、このままの順位ではリーグ戦の順位で来季のヨーロッパリーグ出場ができない。

■準々決勝敗退直後にリーグ戦で対戦した両チーム

 この両チームはチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの準々決勝で敗退した直後にリーグ戦で対戦している。リーグ戦の第33節、4月13日にリヨンでの試合である。残り6試合となった段階でパリサンジェルマンは2位のモナコに勝ち点13の差をつけており、この第33節の結果によっては早々と優勝を決めることもある。一方のリヨンは4位のサンテチエンヌとの勝ち点の差は4、この差を縮めることができるか、リーグ終盤の注目の一戦である。
 実際にはリヨン-パリサンジェルマン戦の前日に行われたレンヌ-モナコ戦でモナコが1-0と勝利し、勝ち点の差を10に縮めたことから、この第33節でのパリサンジェルマンの優勝はなくなったが、スタッド・ド・ランス-サンテチエンヌ戦は引き分けに終わり、リヨンのライバルは勝ち点1を上積みするにとどまり、リヨンにとってはライバルの背中が近くなった。

■負傷者を抱えた中で行われた注目の一戦

 ジェルラン競技場には3万8000人以上の観客が集まった。チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの第2戦は両チームとのアウエーで終えており、フランス国内に戻ってきて気持ちを切り替えることができるかが勝敗の分かれ目となろう。そしてこの両チームは欧州カップで決勝トーナメントに進出しただけではなく、リーグ戦の後期だけの成績をみてもパリサンジェルマンが1位、リヨンが2位とリーグ戦の終盤に行われる上位陣同士の対戦であるにとどまらず、1週間後のスタッド・ド・フランスでのリーグカップ決勝の行方を占う意味でも重要な試合である。
 パリサンジェルマン、リヨンとも欧州の強豪相手の試合で苦労した通り、負傷者を抱えた中での試合となった。パリサンジェルマンはズラタン・イブラヒモビッチが欠場、対するリヨンはがえるゲイダ・フォファナ、ヨアン・グルクフ、クレマン・グルニエなどが負傷のため出場できない。

■決定力不足のパリサンジェルマン、ミドルシュートの名手の一撃で勝利したリヨン

 試合はパリサンジェルマンが終始優勢に展開する。特にボール保持率ではアウエーのパリサンジェルマンが7割以上の数字をマークし、リヨンを圧倒する。しかし、イブラヒモビッチの欠場が痛かった。イブラヒモビッチの代わりにトップに入ったのはエディンソン・カバーニ、ウルグアイ代表として活躍するカバーニであるが、ゴールネットを揺らすことができず、大ブレーキとなる。結局パリサンジェルマンはリヨンを上回る11本のシュートを放ちながら無得点に終わる。リーグの得点ランキング2位のカバーニは今年になってからアウエーゲームではいまだに無得点である。
 一方のリヨンであるが、31分にジョルダン・フェリーがエセキエル・ラベッシからボールを奪い、25メートルのミドルシュート、この長距離弾が決まる。フェリーは今季ペナルティエリア外から3得点目、今季のフランスリーグでフェリーを上回るのはアンドレ・ピエール・ジニャックだけである。ミドルシュートの名手のゴールによってリヨンはライバルサンテチエンヌとの勝ち点差を2とするとともに、1週間後のリーグカップ決勝の前哨戦で大きな勝利をあげたのである。(続く)

このページのTOPへ