第1720回 エクアドルとドロー(2) 37年ぶりのマラカナンでの試合となるフランス
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■マラカナン競技場で4試合目となるフランス-エクアドル戦
4チームすべてに決勝トーナメント進出の可能性が残されたグループEの最終戦はフランス-エクアドル戦がリオデジャネイロ、スイス-ホンジュラス戦がマナウスで6月25日の17時にキックオフされる。ポルトアレグレ、サルバドールと試合をしてきたフランスはいよいよメイン会場のリオデジャネイロのマラカナン競技場に登場する。このマラカナン競技場ではここまでグループリーグ3試合が行われ、アルゼンチン-ボスニア・ヘルツェゴビナ戦、スペイン-チリ戦、ベルギー-ロシア戦に次いでフランス-エクアドル戦は4試合目となる。欧州勢同士のベルギー-ロシア戦以外は、欧州勢は南米勢に敗れており、フランスがその流れを断ち切ることができるかどうかは、グループEの順位争いの他に注目すべき点である。
■マラカナン競技場でブラジルと引き分けた1977年の南米遠征
さて、このマラカナン競技場、フランスは1度だけ試合をしたことがある。それが1977年の南米遠征、フランスは翌年に開催されるアルゼンチンワールドカップを控え、アルゼンチン、南米を転戦する。6月27日にブエノスアイレスでアルゼンチンと戦い0-0のドロー、そして6月30日にリオデジャネイロのマラカナン競技場でブラジルと対戦する。83,317人の観衆の集まったこの1戦、ブラジルは前半にエジーニョの得点で先制、後半に入っても51分にロベルト・降りベイラのゴールで2-0とリードを広げる。対するフランスはリードを広げられた直後の52分、ディディエ・シスのゴールで1点差に迫り、終盤の85分にはアルゼンチン戦のアンリ・ミッシェルに代わり、この日主将となったマリウス・トレゾールがオリビエ・ルイエーからのCKにジャンプ、誰よりも高い位置でのヘディングシュートは見事な同点ゴールとなる。この試合はブラジル国内でのブラジル戦としては初めてフランス協会の認めた試合である。(1930年のウルグアイでのワールドカップ終了後、フランスはブラジルを訪問し、親善試合を行い、2-3と敗れているが、この試合はフランス側は公式の試合と認めていない)1950年のワールドカップに出場していないフランスにとってはこのブラジルとの親善試合がサッカー王国ブラジルの聖地マラカナンで行った唯一の試合である。
■36年前のアルゼンチン大会とは対照的な結果に
その翌年に行われたアルゼンチンでのワールドカップはフランスはアルゼンチン、イタリアと1次リーグで連敗し、早々に敗退が決まる。しかし、それから36年、フランスは南米でのワールドカップの前年に南米遠征を行い、ウルグアイ、ブラジル相手に惨敗する。そして迎えた本大会でフランスはグループリーグの最初の2試合で連勝する。36年前とは全く逆の展開となり、グループリーグ最終戦を迎える。
相手のエクアドルとの過去の対戦成績は1試合、2008年の欧州選手権の直前にグルノーブルで親善試合を行い、フランスはバフェタンビ・ゴミスの2ゴールで勝利している。
■選手を大幅に代えてきたフランス
フランスは前回の本連載でも紹介した通り、ほぼグループリーグを首位で突破することは見えている。したがって、ディディエ・デシャン監督はメンバーを代えてきた。GKはウーゴ・ロリス、DFは右からバカリ・サーニャ、ローラン・コシエルニー、ママドゥ・サコー、ルカ・ディーニュ、MFは3人で中央の低めに位置にモルガン・シュナイデルラン、右にポール・ポグバ、左にブレーズ・マツイディ、FWは中央にカリム・ベンゼマ、右にムーサ・シソッコ、左にアントワン・グリエズマンという布陣である。
フランスは第1戦のホンジュラス戦と第2戦のスイス戦はほとんど同じメンバーで戦い、第2戦は第1戦で右のMFに入ったポール・ポグバの代わりにシソッコ、第1戦でCFだったベンゼマをグリエズマンに代えて左のFWに起用、中央にオリビエ・ジルーを入れるという小規模なメンバーチェンジであったが、この第3戦は大きくメンバーを代えてきたのである。(続く)