第1728回 ドイツに惜敗、準々決勝で敗退(4) フランスの過去のワールドカップの準々決勝

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■直近の試合は昨年2月、ドイツが快勝

 準々決勝でドイツと対戦することになったフランス、ドイツは1990年代から2000年代初めにかけての低迷期を潜り抜け、若い才能がヨアヒム・レーブ監督の下でパス中心のサッカーを展開し、今大会でも優勝候補の呼び声が高い。1982年大会、1986年大会と準決勝で対戦したが、1982年大会はPK負け、1986年大会は0-2と敗れているが、その後はフランスがドイツを圧倒しているが、直近の対戦は本連載第1510回から第1513回で紹介した通り、2013年2月6日にスタッド・ド・フランスで行われた親善試合であり、マチュー・バルブエナのゴールでフランスが先制したが、ドイツはボールを支配し、パスワークもさえ、トーマス・ミュラーのゴールで追いつき、サミ・ケディラが勝ち越し点を奪い、2-1とドイツが勝利する。
 1年5か月前の試合を見る限りはドイツの力量が上回っていると言えるが、フランスにとって心強い実績がある。それはワールドカップにおけるフランスの準々決勝の戦いぶりである。

■ワールドカップ史上最も美しい試合と言われる1986年のブラジル戦

 これまでフランスがワールドカップで準々決勝を戦ったことは5回ある。最初の1938年大会はフランスで行われ、15か国が出場して完全にトーナメント方式で行われた。フランスは1回戦でベルギーを下し、準々決勝でイタリアに敗れる。
 2回目の準々決勝は1958年大会である。フランスはグループリーグで2勝1敗となり首位で通過、決勝トーナメントの主戦が準々決勝となる。準々決勝では北アイルランドと対戦し、4-0と大勝する。
 ドイツに準決勝で敗れた1982年大会は1次リーグの後に2次リーグがあり、2次リーグで首位の4チームが準決勝に進出する大会方式であったために準々決勝はなかった。フランスは次の1986年大会が実に28年ぶりの準々決勝となる。決勝トーナメント1回戦で前回大会の覇者イタリアを破ったフランスはポーランドを4-0と一蹴したブラジルとグアダラハラで対戦する。ワールドカップ史上最も美しいと言われる試合、両チーム前半に1点ずつあげたあとは無得点が続き、延長戦でも得点はなく、この大会初めてのPK戦となる。セビリアの西ドイツ-フランス戦に続くワールドカップ史上2回目のPK戦となったこの試合、フランスはブラジルをPK戦で4-3と下す。ちなみに同日の夕方に行われたメキシコ-西ドイツ戦もPK戦となり、西ドイツが勝利している。

■スタッド・ド・フランスでイタリアにPK勝ちした1998年大会

 そして優勝した1998年大会の準々決勝も素晴らしい試合であった。スタッド・ド・フランスでのイタリア戦、この試合も1986年のブラジル戦の再来ではないかという素晴らしないよう之120分間の戦いとなった。結局延長戦を終えても両チーム得点はなく、PK戦になりフランスが4-3と勝利する。

■ティエリー・アンリのゴールでブラジルを破った2006年大会

 準優勝した2006年大会、フランスは前評判は高くはなく、グループリーグでは苦戦し2位通過となる。ところが決勝トーナメントに入って調子を上げ、その中で最高の試合が準々決勝であった。決勝トーナメント1回戦でスペインに3-1と勝利し、7月1日にブラジルとフランクフルトで対戦する。準々決勝最後の試合となったブラジル戦でフランスはブラジルを圧倒する。スコアこそティエリー・アンリのゴールによる1-0とロースコアではあったが、またも前回覇者を破る。
 このようにグループリーグが行われるようになった第二次世界大戦後、フランスは4回、準々決勝を戦い、いずれも勝ちぬいている。そして、4-0と大勝した北アイルランド戦を除く、1986年大会以降の3回の準々決勝はいずれもロースコアの戦いでありながら試合内容も素晴らしく、それぞれ体系のベストゲームの1つにあげられるような好試合を演じている。
 今大会は欧州勢はスペイン、イタリア、イングランドがグループリーグで姿を消し、決勝トーナメントでは初めての欧州勢対決である。ロースコアながら好ゲーム、そしてフランスが勝利、となるのであろうか。(続く)

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