第1732回 回顧・ワールドカップブラジル大会(3) 決勝トーナメントを戦ったフランスのクラブの選手
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ブラジルの主将チアゴ・シウバ
前回の本連載でモナコに所属するハメス・ロドリゲスが得点王に輝き、準優勝チームのアルゼンチンには同じくモナコのセルヒオ・ロメロとパリサンジェルマンのエセキエル・ラベッシが所属していたことを紹介した。
上位進出チームに関しては3位のオランダにフランスのクラブに所属していた選手はいなかったが、開催国であり、優勝を狙いながら4位に終わったブラジルには主将のチアゴ・シウバとマクスウェルの2人がいる。チアゴ・シウバはドイツ戦以外の6試合に出場し、欠場した準決勝のドイツ戦はブラジルが1-7と大敗したが、チアゴ・シウバの欠場は後々まで語り継がれることとなるであろう。
準々決勝敗退チームについては、優勝したドイツに敗れたフランスは前回の本連載で紹介した通り8人がフランスのクラブに所属している。
■ベルギーの19歳、リールのディボク・オリジ
準優勝のアルゼンチンに敗れたベルギーは、若手はフランスリーグで活躍し、他のビッグクラブに移籍するというパスが一般的になり、リールに所属するディボク・オリジただ1人でであった。わずか19歳のオリジは、ワールドカップ開幕直前の5月に代表にデビューしたばかりであるが、本大会の活躍でさっそく他のクラブが食指を延ばし、イングランドのリバプールへの移籍が決まった。
ブラジルに敗れたコロンビアにはハメス・ロドリゲス以外に2人のフランスのクラブ所属選手がいた。1人はニースのGKのダビッド・オスピナであり、もう1人はトゥールーズの守備的MFのアベル・アギラールである。全5試合に出場し、日本戦だけは終盤でベテランのファリド・モンドラゴンにポジションを譲っている。アギラールは3試合に出場、2アシストを記録している。
オランダに敗れたコスタリカはフランスのクラブに所属する選手はいなかったが、欧州のトップリーグに所属する選手も数少なく、今大会最大の驚きのチームであったと言えるであろう。
■2部降格のアジャクシオのギジェルモ・オチョア
決勝トーナメント1回戦敗退チームを見ると、最高の活躍をしたのがメキシコのGKギジェルモ・オチョアであろう。2006年に日本で行われたクラブワールドカップでは北中米カリブ海代表としてメキシコのクラブ・アメリカのゴールを守ったことから日本の皆様もよくご存じの選手である。2011年に1部に復帰を果たしたアジャクシオに移籍し、それ以来3シーズンアジャクシオのゴールを守り続けてきた。しかし、本連載の読者の皆様であればよくご存じのとおり、アジャクシオは最下位に沈み、2部降格が決まる。契約満了ということもあり、スペインのマラガへと移籍することになった。
またコロンビアに敗れたウルグアイにはエディンソン・カバーニがいた。カバーニはパリサンジェルマンの選手、4試合すべてにフル出場し、敗れたコスタリカ戦では1点をあげている。
フランスが戦ったナイジェリアには本連載第1724回で紹介した通りリールのGKのビンセント・エニェアマがいるだけではなく、左サイドDFのウワ・エチエジレは今年の初めにモナコに移籍してきた。
ベルギーと死闘を演じた米国にもフランスリーグの選手がいる。アレハンドロ・ベドヤはナントに所属している。大学卒業後欧州のクラブを渡り歩き、1部復帰を決めたばかりのナントに昨夏に移籍してきた。ナントでは5得点をあげて、米国人としての歴代最多得点記録を作り、今大会も全試合に出場している。
■3人の選手がフランスのクラブに所属するアルジェリア
そして同じくドイツと死闘を演じたアルジェリアは多くの選手がフランス出身であるが、フランスのクラブに所属する選手は3人しかいない。ストッパーのカール・メジャニはグループリーグ3試合に出場、イングランドのリバプールにも所属したことがあるが現在はバランシエンヌの選手である。右サイドDFアイサ・マンディはスタッド・ド・ランスに所属し3試合に出場、MFのメハディ・モスタファはアジャクシオに所属し、2試合に出場したのである。(続く)