第1743回 ヨーロッパカップ本戦への道(2) リール、プレーオフでポルトに連敗
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■上位国のリーグ2位以下のチームとプレーオフで対戦するモナコ
チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの予備戦3回戦に出場したリールとリヨンがともに勝ち抜き、8月下旬にあるプレーオフに進出することになった。フランス勢はこのほかにヨーロッパリーグのプレーオフに昨季リーグ4位のサンテチエンヌが登場する。
プレーオフは第1戦が8月19日と20日、第2戦が8月27日と28日に行われた。プレーオフは上位国のリーグとそれ以下の国リーグからのチームに分け、上位国のリーグの2位以下のチーム同士、下位国のリーグの優勝チーム同士が戦うことになっている。したがって、リールの相手はある程度のレベルのリーグのクラブとなり、アーセナル(イングランド)、バイエル・レバークーゼン(ドイツ)、アトレチコ・ビルバオ(スペイン)、ナポリ(イタリア)、スタンダード・リエージュ(ベルギー)などが対戦相手の候補であるが、抽選の結果、ポルトガルリーグで昨季3位のポルトと対戦することになった。
■UEFAインデックス5位のポルトガルリーグ3位のポルト
欧州チャンピオンになったこともあるポルト、訪日したこともあることから日本の皆様はよくご存じのチームであるが、フランスのサッカー界にとってポルトガルのクラブチームと戦うことは特別な意味がある。それはチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの国別に割り当てられた出場チーム数、各チームが参戦するステージなどを決定するUEFAインデックスはチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグでの各国のクラブの成績を指標化したものである。現在フランスは6位、そのフランスを抜いて5位に上がったのがポルトガルである。UEFAインデックス5位であるポルトガルでリーグ3位となったポルトはこのプレーオフからの参戦、6位フランスのリーグ3位のリールは前回の本連載で紹介した通り、予備戦3回戦からの参戦である。リールがポルトに勝つことはフランスサッカー界にとって極めて重要なことである。
■フランス勢に強いポルト、プレーオフに強いリール
さて、この両チーム、過去の戦績を見ると非常に興味深いことがわかる。ポルトはこれまで欧州カップでフランスのクラブと25試合戦い、その戦績は実に12勝7分6敗と好成績を残している。さらにノックアウト方式ではこれまで6回フランス勢と戦っているが、そのうち5回はフランスのクラブを下している。唯一、フランスのクラブがポルトを退けたのは今から40年以上前の1971-72シーズンのナントまでさかのぼらなくてはならない。
一方、リールはチャンピオンズリーグのプレーオフで抜群の戦績を残している。1994年にチャンピオンズリーグが現在の方式になってから、フランスリーグの2位あるいは3位のチームはプレーオフあるいはそれ以前の予備戦を経て本戦であるグループリーグに参戦する。リールはこれまでに3回プレーオフに出場し、2001-02シーズンはパルマ(イタリア)、2006-07シーズンはラボトニツキ・スコピエ(マケドニア)、2012-13シーズンはFCコペンハーゲン(デンマーク)を退け、いずれもグループリーグに出場している。
■ワールドカップに出場した選手の活躍でポルトが連勝
第1戦はリールのピエール・モーロワ競技場で8月20日に行われた。両チームの1トップはワールドカップに出場した選手、
リールのソロモン・カルーはコートジボワール、ポルトのジャクソン・マルティネスはコロンビア、2人とも日本戦に出場しており、日本のファンの方はよくご存じであろう。この2人の差が試合の明暗を分けた。ポルトがゲームを支配し、リールも押されながらシュートを放つが得点には至らず、結局61分のメキシコ代表、エクトル・エレーラの得点でポルトが1-0と先勝した。
第2戦は8月26日にポルトで行われたが、この試合の主役はポルトのアルジェリア代表選手であった。パリ生まれでフランスのアンダーエイジの代表歴もあるヤシン・ブラヒミは昨年アルジェリアのフル代表に入り、今回のワールドカップでも韓国戦でゴールをあげている。49分にブラヒミが先制点、さらに後半に入ってジャクソン・マルティネスが追加点、ポルトは2-0と連勝、リールはプレーオフで初めて敗退、フランスからチャンピオンズリーグのグループリーグ出場は、パリサンジェルマンとモナコ、昨年と同数の2チームとなったのである。(続く)