第1752回 欧州選手権目指しスタート(7) セルビアに追いつかれドロー

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■スペイン戦に出場しなかった選手が活躍

 スペイン戦の3日後の9月7日に行われたセルビア戦では、先発11人のうち7人がスペイン戦と入れ替わった。2試合連続で先発した主将のウーゴ・ロリス、若手のラファエル・バラン、ポール・ポグバ、サイド攻撃の起点となるムーサ・シソッコの4人はディディエ・デシャン監督の期待と信頼の表れであるが、それ以外の7人の入れ替わったメンバーもデモンストレーションの機会である。
 ベオグラードのレッドスタースタジアムでの試合、ピッチ状態は決してよくはなかったが、試合開始早々からフランスは積極的に攻めた。4分にはチャンスをつかむ。ルカ・ディーニュが攻め上がり、CKを得る。CKのキッカーはレミ・カベラ、この壁らからのキックに対し、代表出場3試合目の30歳のジェレミー・マチューがシュート、惜しくも枠を外れるが、スペイン戦に出場しなかった選手が見せ場を作った。

■先制点はポール・ポグバ

 フランスが13分に先制点をあげる。カベラの左サイドからのCK、ニアポストにいるシソッコのヘッドに合わせたが、シソッコはスルー、ボールは無人のゴール前を通過する。そしてファーポストに飛び出してきたのがポグバである。ノーマークのポグバが右足でネットを揺らす。
 フランスに先制点を奪われてセルビアは目が覚めた。その後セルビアは攻勢に出てフランスのゴールを襲うが、前半はノーゴールである。フランスは前半を1-0とリードして折り返すが、昨年来のフランスの強みとして、前半に得点を許さないということである。今年に入ってからの試合、前半に得点を許したのは、ワールドカップ準々決勝のドイツ戦だけである。

■終盤に追いつかれドロー、旧ユーゴスラビア勢に16戦無敗

 そしてエンドを変えて後半が始まった。親善試合であるが両チームともメンバー交代はなく、後半開始早々は逆にフランスのペースとなる。何度か好機をつかむが得点はならず、60分過ぎから両チームとも積極的に選手交代をする。試合は終盤に激しくなるとともに、セルビアがチャンスをつかむ。そしてセルビアは80分にゴール正面25メートルの位置でFKのチャンス、イバノビッチがヒールキックで左側にいたコラロフにパス、コラロフが右足でシュートし、ゴール左隅に突き刺さった。この同点ゴールでセルビアは勢いに乗り、88分にもCKから勝ち越し点のチャンスはあったが、得点はならず、結局試合は1-1のドロー、フランスにとっては旧ユーゴスラビア勢相手に16戦無敗となったが、デシャン監督としては9月の連戦で連勝しておきたかったであろう。

■過去の予選免除時の代表デビューの歴史

 この試合では攻撃陣を中心に4人の選手交代を行った。今回の連戦でピッチに立った選手の数はのべ19人、出場しなかったのはGKの2人とマンガラとリオ・マブーバの4人である。
 2年後の欧州選手権にフランスは開催国として予選免除となる。過去のフランスの予選免除は1998年ワールドカップ(開催国)、2002年ワールドカップ(前回優勝)がある。1994年に就任したエメ・ジャッケ監督が1994年に就任、ベスト4と好成績を残した1996年の欧州選手権明けの最初の試合は8月31日にパルク・デ・プランスで行われたメキシコとの親善試合である。この試合には途中交代出場であるが、ロベール・ピレスとフローラン・モーリスが代表にデビューしている。また、この試合からデシャンは主将に固定され、1998年のワールドカップ優勝へとつながっている。
 このワールドカップ優勝後にロジェ・ルメールが監督になり、2000年の欧州選手権は見事に優勝し、2年前のワールドカップとの二冠を達成した初のチームとなった。ルメールは2002年のワールドカップに向けて続投したが、この2000年の欧州選手権明けの試合は例外的なものであった。8月16日にマルセイユで世界選抜と対戦、デシャンの代表からの引退試合となっている。この試合では7人の交代選手が出場したが、先発も含めて代表にデビューした選手はいない。ルメール体制で初の代表デビューは3試合目のカメルーン戦でGKのリシャール・デュトゥエル、フィールドプレーヤーでは4試合目の南アフリカ戦のフィリップ・クリスタンバルまで待たなくてはならない。
 さて、デシャン監督はいつ新戦力をデビューさせるのであろうか。(この項、終わり)

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