第1769回 リーグ戦で快走するマルセイユ (2) ベロドロームの観客動員記録更新、トゥールーズに勝利

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■本拠地の改修のためビッグゲームをスタッド・ド・フランスで行うRCランス

 10月のフランス代表の親善試合のアルメニア戦で代表5年ぶりのゴールを奪ったアンドレ・ピエール・ジニャックは2アシストも記録し、フランスの全得点にからむ活躍をした。フランスリーグを含む各国リーグはこの10月のインターナショナルマッチデーの前後は小休止、フランスリーグは10月17日から第10節が再開した。
 前回の本連載でも紹介したとおり、第9節を終えた時点でマルセイユが勝ち点22で2位のボルドーに勝ち点5差をつけて首位に立っている。この第17節、金曜日の17日に行われた試合がRCランスとパリサンジェルマンの試合である。1990年代後半から2000年代にかけて上位の常連だったRCランスであるが、近年は2部降格など低迷し、今期もここまで2勝2分5敗で降格圏内の18位である。一方のパリサンジェルマン、ここまで負けはないものの3勝6分、勝ち点15で3位である。過去2年間の成績、そして懇意も大型補強をしたこと、さらにチャンピオンズリーグでの好スタートを考えるならばファンにとっては満足のいかない成績である。
 RCランスの本拠地のフェリックス・ボラール競技場は2016年に開催される欧州選手権の会場となっており、そのための改修工事を現在行っており、収容人員が一時的に減っている・そのため、RCランスはこのパリサンジェルマン戦、12月のリール戦、来年3月のマルセイユ戦の3試合はスタッド・ド・フランスでホームゲームを開催することにした。

■7万観衆の前で逆転勝ちしたパリサンジェルマン

 金曜日の夜。スタッド・ド・フランスには7万人を超す観衆が集まった。RCランスのホームゲームとはいえ、パリ近郊のサンドニでの試合、多くのパリサンジェルマンのファンが集まった。しかし、ファンお目当てのズラタン・イブラヒモビッチ、ダビド・ルイス、チアゴ・シウバ、ルカ・ディーニュ、マルキーニョスなどは欠場している。試合はRCランスがアダモ・クリバリーのゴールで10分に先制し、ホームチームらしさを見せるが、選手層の厚いパリサンジェルマンは28分にヨアン・カバイエのゴールで追いつき、34分にはマクスウェルのゴールで逆転、さらに52分にはRCランスの選手がジャン・フィリップ・グバマンがペナルティエリア内でファウル、2枚目のイエローカードで退場となる。そしてこのPKをエディンソン・カバーニが決めて、パリサンジェルマンは3-1とリードを広げて勝利、暫定2位となり、日曜日に試合のあるマルセイユとの勝ち点差を4に詰めたのである。

■トゥールーズのエースストライカー、ウィサム・ベン・イェデル

 そしてマルセイユはベロドロームにトゥールーズを迎える。4勝2分3敗で8位のトゥールーズであるが、注目の選手がいる。FWのウィサム・ベン・イェデルである。9試合に出場し、ここまで6得点。9得点のジニャック、7得点のアレクサンドル・ラカゼット(リヨン)に次いで得点ランキング第3位である。昨季は16得点、その前は15得点とコンスタントに得点を重ねている。2季前からの通算得点は37点、これをしのぐ数字は欧州の主要リーグではジニャックの38得点しかおらず、彼らに続くのがレアル・マドリッド(スペイン)のカリム・ベンゼマである。

■新記録となる61,846人の観衆の前でアンドレ・ピエール・ジニャックが今季10点目

 好調なストライカーを擁するチームの対戦ということもあってベロドロームには61,846人の観衆が集まった。これは2004年5月6日のUEFAカップ準決勝のニューカッスル(イングランド戦)の58,897人を上回るベロドロームの入場者数の新記録となった。
 マルセイユは地元ファンの期待に応える。20分にニコラ・ヌクルが先制点、そして35分にはジニャックが今季10ゴール目となる追加点をあげる。ボール支配率はほぼ互角であったが、マルセイユは地元ファンの大声援もあり、果敢にゴールを狙う。このゴールに対する意識の差がそのままスコアに表れ、2-0と勝利したマルセイユは2位との勝ち点差を7に広げる。
 なお、この第10節の全10試合の観客動員数は301,510人となって歴代最多を記録する。今季は1月にアフリカ選手権があり、マルセイユからは多数の選手が出場するため、それまでの間に2位以下と差を広げておきたい。そしてこの第10節で2位に浮上したのはパリサンジェルマン、楽しみな展開となってきた。(この項、終わり)

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