第1770回 ヨーロッパリーグ、フランス勢の戦い (1) ポルトガル、ロシアとのUEFAインデックス争い
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■特徴があったかつての欧州三大カップ
かつて、クラブレベルでの戦いは各国のリーグチャンピオンが争うチャンピオンズカップ、各国のカップ戦勝者が集うカップウィナーズカップ、そしてリーグ優勝チーム以外の上位チームで争われるUEFAカップという欧州三大カップが存在した。
文字通りチャンピオンだけが出場できるチャンピオンズカップ、意外性のあるカップ戦の究極の勝者を決めるカップウィナーズカップ、そしてレベルの高い国からは複数チームが出場し、チャンピオンズカップ以上にレベルが高いチームが多数出場するUEFAカップとそれぞれが特徴のあるタイトルであった。
■チャンピオンズリーグの下部のタイトルとなったヨーロッパリーグ
しかし、これらのタイトルがチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグに再編され、大会形式もホームアンドアウエーのノックアウトシステムからグループリーグを経て決勝トーナメントへと変わり、1国から複数チームが出場できるようになり、レベルの高い試合をより多く楽しむことができるようになった。その一方でヨーロッパリーグはチャンピオンズリーグの下位のタイトルという位置づけになってしまったことは否定できない。
したがって、ファンの関心の中心はチャンピオンズリーグになり、ヨーロッパリーグは注目を集めることも少なくなった。確かにフランスから今季チャンピオンズリーグのグループリーグに出場しているのはパリサンジェルマンとモナコ、いずれも大型補強でスター選手を多数抱えるチームである。一方、ヨーロッパリーグのグループリーグに出場しているチームはリール、ギャンガン、サンテチエンヌの3チームであり、全国的な人気を誇るチームではない。
■UEFAインデックス争いをするポルトガル、フランス、ロシア
しかし、今季はフランスではチャンピオンズリーグだけではなく、ヨーロッパリーグも注目を集めている。その理由は本連載でもしばしば紹介している通り、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグでの戦績を指数化したUEFAインデックスにより、これらの大会への各国リーグからの出場チーム数、出場する段階が決定し、これまで長い間欧州で5番目の位置にあったフランスリーグはポルトガルに抜かれ、6位に転落し、7位のロシアが猛追しているのである。
チャンピオンズリーグにおけるフランスのクラブとポルトガル、ロシアのクラブとの対戦については、第1759回などでモナコがポルト(ポルトガル)、ゼニト・サンクトペテルブルク(ロシア)と対戦することを紹介したが、今回からヨーロッパリーグにおけるフランス、ポルトガル、ロシアのクラブについて紹介しよう。
■シード順では優位なフランスのリール、サンテチエンヌ、ギャンガン
先述のとおり、フランスからヨーロッパリーグのグループリーグに参戦しているのは昨季リーグ3位でチャンピオンズリーグのプレーオフでポルトに敗れて転戦してきたリール、昨季リーグ4位のサンテチエンヌ、そしてフランスカップで優勝したギャンガンである。なお、昨季リーグ6位のリヨンはプレーオフで敗れている。
ヨーロッパリーグの組み合わせ抽選は8月29日にモナコで行われた。48チームを4チームずつの12のグループに分ける。各クラブごとに過去のチャンピオンズリーグ、ヨーロッパカップでの戦績を元にシード付けが行われ、フランス勢はチャンピオンズリーグに出場経験のあるリールが第1シードに入ったが、欧州での実績の乏しいサンテチエンヌとギャンガンは第3シードにとどまった。
一方、ポルトガルからはリーグ4位のエストリルとポルトガルカップとリーグカップの準優勝チームでプレーオフを勝ち上がってきたリオ・アベがいずれも第3シードになった。また、ロシアからはヨーロッパリーグのグループリーグに直接参戦することはできず、4チームが予備戦、プレーオフに出場し、昨季リーグ4位のディナモ・モスクワとリーグ5位のクラスノダールが勝ち抜き、いずれも第4シードとなった。
シード順ではフランス勢がポルトガル勢、ロシア勢をリードしているが、さてどのような展開になるのであろうか。(続く)