第1771回 ヨーロッパリーグ、フランス勢の戦い (2) 第1節で白星のないフランス勢

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランス勢3チームの組み合わせ結果

 8月29日にモナコで行われたヨーロッパリーグの抽選の結果は以下の通りである。フランス勢で最も高い第1シードに入ったリールはグループH、第2シードはドイツのヴォルフスブルク、第3シードのイングランドのエバートン、第4シードはロシアのクラスノダール、ブンデスリーガ、プレミアリーグとレベルの高いリーグのチームとの戦いが待っており、さらにライバルのロシア勢との対戦も忘れてはならない。第3シードのギャンガンはグループK、第1シードのイタリアのフィオレンティーナ、第2シードのギリシャのPAOK、第4シードのベラルーシのディナモ・ミンスクと対戦する。同じく第3シードのサンテチエンヌはグループF、第1シードのイタリアのインテル・ミラノ、第2シードのウクライナのドニプロ、第4シードのアゼルバイジャンのカラバフと対戦する。
 この抽選にはシード国だけではなく様々な配慮がなされ、政治的に緊張関係にあるロシアとウクライナのチームが対戦しないようになっているほか、ロシアとウクライナは寒冷地であるため、12月に行われる最終節ではホームゲームを行わないようになっている。

■苦難を乗り越えたカラバフはサンテチエンヌとドロー

 第1節は9月18日、欧州各地で行われ、フランス勢は18時にサンテチエンヌがアゼルバイジャンのバクーでカラバフと対戦する。アゼルバイジャンリーグは旧ソ連の崩壊後に発足し、カラバフはその2年目にチャンピオンになったが、その後、長らく鳴りを潜め、ようやく昨季20年ぶりの優勝を果たし、チャンピオンズリーグのプレーオフで敗れヨーロッパリーグに転戦してきた。チームの停滞の理由はソ連崩壊前から続くナゴルノ・カラバフ戦争の存在である。アゼルバイジャンとアルメニアの領土紛争は長期化し、現在はナゴルノ・カラバフ地方はアルメニアの占領下にある。したがってカラバフは首都バクーで試合を行っている。ファンの期待も大きく会場は3万人の満員の観衆で埋まった。国内ではアウエーゲームでも緑のサポーターがついてくるサンテチエンヌであるが、この試合は完全なアウエー。力量差を考えれば勝たなくてはならない相手であったが、スコアレスドロー、カラバフは初出場となるヨーロッパリーグの初戦で勝ち点1を獲得した。

■強敵フィオレンティーナにアウエーで完敗したギャンガン

 ギャンガンはアウエーでフィオレンティーナとの対戦。最もタフな試合が第1節に組まれてしまった。ギャンガンとの力の差は明らかであり、0-3とギャンガンはいいところなく敗れ去る。

■フランスリーグ首位のリール、ロシア勢相手にホームで失意のドロー

 そしてリールは第1節が一番勝たなくてはならない相手とのホームゲームとなった。昨季ロシアリーグで5位となったクラスノダールは欧州カップ初出場である。予備戦2回戦から参戦し、予備戦2回戦、3回戦とホーム、アウエーとも大勝して勝ち上がってきた。そしてプレーオフの相手はスペインのレアル・ソシエダである。第1戦はレアル・ソシエダのホームゲームで1-0でレアル・ソシエダが勝利したが第2戦はクラスノダールが3-0と大勝、クラスノダールはクラブ史上初めて欧州カップの本戦に出場したのである。
 クラスノダールをリールは本拠地に迎える。迎え撃つリールは国内リーグでは3勝2分で首位を快走。一方クラスノダールはロシアリーグでは7位にとどまっている。リールの国内での状況、そして2万5000人のファンが集まったピエール・モーロワ競技場でのホームゲームであることを考えれば、下馬評はリールが圧倒的に有利であった。しかし、先制点を奪ったのはクラスノダール、35分にリールの集中力が切れた一瞬を突き先制点。リールは1点を追う展開で後半を迎える。なかなか同点に追いつけなかったリールであるが、63分にデンマーク代表のシモン・キアルが25メートルのFKを直接決める。だが、勝ち越し点を奪うことができず、結局フランス勢は第1節で白星をあげることはできなかったのである。(続く)

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