第1773回 チャンピオンズリーグ中盤戦(1) パリサンジェルマン、2節を残して決勝トーナメント進出決定
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■アポエル・ニコシアと中盤戦で対戦するパリサンジェルマン
前回までの本連載ではヨーロッパリーグの中盤戦までの様子を紹介したが、今回はチャンピオンズリーグの中盤戦の戦いを紹介しよう。チャンピオンズリーグの序盤戦の戦いについては本連載第1759回から第1761回で紹介した通り、グループFのパリサンジェルマン、グループHのモナコとも1勝1分と上々のスタートを切った。
そして中盤戦となる第3節と第4節は同じチームとの連戦となる。パリサンジェルマンはアポエル・ニコシア(キプロス)、モナコはベンフィカ(ポルトガル)との対戦となる。アポエル・ニコシアは第4シードで序盤戦は1分1敗、ベンフィカは第1シードで1勝1分とそれぞれシード順位に応じた成績で中盤戦を迎える。パリサンジェルマンにとってはここで連勝し、勝ち点を積み重ねて、決勝トーナメント進出を確定させ、第5節以降は余裕を持って戦いたいであろう。
■21年前とは姿を変えたアポエル・ニコシア
フランス勢2チームはグループリーグでは同日に試合をしないようにスケジュールされており、第3節は10月21日にパリサンジェルマンが登場、アポエル・ニコシアとのアウエーゲームである。両チームはこれまでに対戦したことがある。21年前の1993-94シーズンのカップウィナーズカップ、この1回戦で対戦し、パリサンジェルマンはアウエーで1-0、ホームで2-0と連勝している。
しかし、20年の歴史を越え、アポエル・ニコシアはその姿を変えた。記憶に新しいのは2011-12シーズンのチャンピオンズリーグである。リヨンとアポエル・ニコシアが準々決勝で対戦したが、リヨンでの第1戦はリヨンの1-0の勝利、ニコシアでの第2戦は90分を終えたところでアポエル・ニコシアが1-0でリード、延長戦となっても決着がつかず、PK戦の末、アポエル・ニコシアはキプロス史上初めての準決勝進出を果たしている。また、昨季はヨーロッパリーグのグループリーグでボルドーと対戦し、ホーム、アウエーとも2-1でホームチームが勝利と互角の戦いである。
■終了3分前のエディンソン・カバーニが決勝点
決して侮れないアポエル・ニコシア相手にパリサンジェルマンは苦戦する。地元ファンの大声援を受けたアポエル・ニコシアは攻勢に出る。7分にビッグチャンスをつかむがダビド・ルイスがゴールライン上でクリアする。地力に勝るパリサンジェルは次第にペースをつかみ、試合の主導権を握るが、なかなか得点を奪うことができない。後半開始早々にパリサンジェルマンは得点チャンスをつかむが、アポエル・ニコシアのGKウルコ・パルドが好セーブ。さらにパリサンジェルマンはダビド・ルイスが56分にゴールライン上でアクロバットなクリアを見せる。両チーム無得点が続いたが、終了3分前の87分にパリサンジェルマンはエディンソン・カバーニが相手のDF陣をかわしてシュート、ゴールネットを揺らし、パリサンジェルマンは21年前と同じスコアでアウエーゲームを乗り切ったのである。
■開始56秒のゴールで決勝トーナメント進出
第2戦は11月5日にパルク・デ・プランスで行われた。ニコシアでの試合では終盤までゴールが奪えなかったパリサンジェルマンであるが、この日は開始56秒という欧州カップでのチーム史上最速のゴールをカバーニが決める。この1点で試合は決まる。その後は両チームとも攻撃に出ることはなく、守備的な試合運びとなるが、パリサンジェルマンが第3節に続いて1-0というスコアで勝利し、勝ち点を10とする。
グループFのもう1試合はバルセロナ(スペイン)がアヤックス・アムステルダム(オランダ)を2-0と下して勝ち点9、終盤戦を残してパリサンジェルマンとバルセロナという予想通りの2チームが決勝トーナメント進出を決めたのである。(続く)