第1775回 アルバニア、スウェーデンと連戦 (1) 負傷者続出の守備陣、レイバン・クルザワが初招集
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■守備陣に負傷者が続出した中でのメンバー発表
ワールドカップ以降、スペイン、セルビア、ポルトガル、アルメニアと対戦し、3勝1分と好調な成績を残しているフランス、今年最後の試合を11月に行う。14日にレンヌでアルバニア、18日にマルセイユでスウェーデンと対戦する。9月、10月、11月と2試合ずつ試合を行うが、シーズンが深まるにつれ、問題となるのが負傷者である。今回はパトリス・エブラ、マチュー・ドビュッシー、ジェレミー・マチュー、ローラン・コシエルニー、ママドゥ・サコーと守備陣に負傷者が集中した。
このように多数の負傷者を抱える中でディディエ・デシャン監督は23人のメンバーを発表した。
■ブノワ・トレムリナス、ロイック・ペランが代表入り
GKはスティーブ・マンダンダ、ウーゴ・ロリス、ステファン・ルフィエ、DFはルカ・ディーニュ、クリストフ・ジャレ、エリアキム・マンガラ、バカリ・サーニャ、ラファエル・バラン、マプ・ヤンガ・エムビア、ブノワ・トレムリナス、ロイック・ペラン、MFはヨアン・カバイエ、ブレーズ・マツイディ、ポール・ポグバ、モルガン・シュナイデルラン、ムーサ・シソッコ、ジョシュア・ギラボギ、FWはカリム・ベンゼマ、アンドレ・ピエール・ジニャック、アントワン・グリエズマン、ディミトリ・ペイエ、マチュー・バルブエナ、ラカゼットというメンバーである。
■左サイドDFとして待望されるレイバン・クルザワ
10月のポルトガル、アルメニアとの連戦と比較すると負傷で離脱した選手も含めるとエブラ、コシエルニー、マチュー、レミ・カベラ、ロイック・レミーが外れ、トレムリナス、ペラン、ギラボギ、ラカゼットが加わっている。このメンバー発表で論点となったのが左サイドのDFである。負傷で戦列を離れたエブラは左サイドであるが、この左サイドを守ることができるのはディーニュ、トレムリナスあたりだが、モナコのレイバン・クルザワの評価が高い。
22歳のクルザワはモナコに所属、モナコというと大型補強で他のチームから多くの選手を引っ張ってきているが、クルザワはモナコの下部組織の出身、15歳の時から今までモナコ一筋である。褐色の肌をしたクルザワの父はグアドループ出身であるが、ポーランド出身のシングルマザーの下で生まれ育った。クルザワは母の名字であり、クルザワはアンダーエイジのフランス代表で活躍していたが、3年前にはポーランド代表入りを打診されている。
■ゴール後の敬礼のポーズが話題になった21歳以下の欧州選手権予選のプレーオフ
そのクルザワが有名になったのは先月のことである。21歳以下の欧州選手権が来年6月にチェコで開催されるが、その予選が10月まで行われた。この予選は10グループに分かれて行われたが、各グループの首位10チームと2位チームの中で成績の良かった4チームのあわせて14チームがホームアンドアウエー方式でプレーオフを行い、これに勝ち抜いた7チームが本大会に出場する。
フランスはグループ10の首位であり、グループ7の首位のスウェーデンと対戦した。第1戦は10月10日、フランスのホームゲーム、ルマンで行われた試合で2-0とフランスが勝利する。第2戦は14日にスウェーデンのハルムスタッドで行われ、スウェーデンが終盤まで3-0とリード、このままいくとスウェーデンが本大会出場となる。残りわずかとなった87分、クルザワがゴールを決め、2試合通算得点は3-3で並ぶが、アウエーゴールでフランスが勝ち抜くことになる。ゴールを決めたクルザワはスウェーデン選手1人1人に敬礼をして回る。この敬礼はイエローカードとなったが、それだけでは済まなかった。怒りをボールにぶつけたスウェーデンはその直後の88分に得点をあげてフランスを葬る。スウェーデン選手はゴール後も試合後も敬礼のポーズをとり続けた。
この行為だけが理由ではないが、ファンの待望論のある中でデシャン監督はクルザワを招集しなかった。しかし、トレムリナスが負傷で離脱、クルザワが初めて代表に選ばれた。
さらに、マツイディ、ペラン、マンガラも負傷、代わってマキシム・ゴナロン、クルト・ズマが呼ばれたのである。(続く)