第1777回 アルバニア、スウェーデンと連戦 (3) アントワン・グリエズマン、ウーゴ・ロリスの活躍でドロー

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■これまでとは違うアルバニア

 これまでフランスとは欧州選手権の予選でしか対戦したことがなく、4戦4敗のアルバニア。そのスコアも0-1、0-5、1-2、0-3と1得点で11失点、実力の違いは明白であり、これまでは抽選結果によって対戦する国際大会での予選でしか対戦したことはなかった。今回初めて親善試合での対戦となるが、これはアルバニアがグループIに入ったためであり、実質的にこのマッチメイキングは従来の予選での対戦と変わりはない。
 しかし、現在のアルバニアはこれまでのアルバニアとは違うことを覚悟した方がいいであろう。5チームからなるグループIで最下位の第5シードであるが、第1戦ではアウエーで第1シードのポルトガルを破り、第2戦では第3シードのデンマークとホームで引き分け、そして第3戦は第2シードのセルビアにアウエーで0-3と敗れているが、1勝1分1敗という成績はこれまでのアルバニアからは考えられない好成績である。

■いまだに続くパリ症候群、地方の試合では負けないフランス代表

 パリ以外での試合となるフランス、1990年ごろはパリ症候群と言われ、フランスの凡プレーに対し痛烈なブーイングがパリでの試合では浴びせられることから、フランス代表の選手が「パリでは試合をしたくない」とコメントしたこともあった。ワールドカップで地方のスタジアムの利用を促進する意味もあり、そのころから地方での試合も増えたが、パリ以外での成績はよく、フランスがパリ以外で敗れたのは2010年6月のワールドカップ直前のレユニオンでの中国戦が最後である。いまだに続くパリ症候群、通常は赤と黒で埋まるレンヌのルート・ド・ロリアン競技場は10年ぶりに青一色となった。

■またもセットプレーで失点、先制を許す

 フランスの先発メンバーはGKは負傷から戻ってきた主将のウーゴ・ロリス、DF陣は右からクリストフ・ジャレ、ラファエル・バラン、マプ・ヤンガ・エムビア、ルカ・ディーニュと経験の少ない選手が並ぶ。MFはダイヤモンド型で中盤の底はヨアン・カバイエ、右にムーサ・シソッコ、左にポール・ポグバ、トップ下にマチュー・バルブエナ、FWは2トップで右にアレクサンドル・ラカゼット、左にカリム・ベンゼマという陣容である。攻撃陣は今回はベンゼマとラカゼットを組ませ、フランスリーグ得点ランキングトップのラカゼットのテストである。
 一方のアルバニア、中心選手はストッパーで主将のロリク・サナである。現在はイタリアのラツィオに所属しているがかつてパリサンジェルマンとマルセイユの両方に所属したという異例の経歴を持つ。試合前の選手紹介では名誉のブーイングである。アルバニアのキックオフで試合が始まり、一進一退といった感じの展開となる。両チームともそれなりに好機をつかみ、得点チャンスもあったが守備陣の健闘でゴールを許さない。ところが、試合は思わぬ展開となる。40分にアルバニアはCKのチャンスを得る。このCKからの攻撃、もう1人のストッパー、メルギム・マフライがファーポストに上がってきており、ノーマーク。マフライは難なくヘディングを決める。フランスは今年に入って7失点しているが、そのうち6失点がセットプレーによるものであり、改善が望まれる。

■途中出場のアントワン・グリエズマンのゴールで引き分けに持ち込む

 フランスが1点追う形で後半が始まる。フランスは昨年6月の南米遠征のブラジル戦以来、親善試合では10戦負けなしである。後半開始時には選手交代はなかったが、59分にカバイエに代えてアントワン・グリエズマンを投入する。その直後にフランスはピンチを迎えるがしのぎ、さらに69分にもフランスは決定的なピンチを迎えたが、ロリスが防ぐ。69分にはフランスリーグ得点ランキングでラカゼットと並ぶアンドレ・ピエール・ジニャック、70分には期待のデビューとなるレイバン・クルザワを投入しながらも、今までと違うアルバニアに手を焼いたフランスであったが、73分にグリエズマンが右サイドのパス交換から前進し、ゴールを決める。
 ロリスの好守とグリエズマンの個人技によってフランスは辛うじて引き分けに持ち込んだのである。(続く)

このページのTOPへ