第1814回 2015年アフリカ選手権(8) 4強はコンゴ民主共和国、赤道ギニア、ガーナ、コートジボワール
このたびパリ並びにパリ近郊で起こった銃撃事件の犠牲者の方々のご冥福を祈るとともに、サッカー界での人種差別についてしばしば取り上げている本連載に対する読者の皆様からのご支援に感謝いたします。
■コンゴダービーを制したコンゴ民主共和国
前々回の本連載では決勝トーナメントの準々決勝の組み合わせを紹介したが、接戦続きのグループリーグから一転して決勝トーナメントに入った準々決勝では差のつく試合が連続した。
準々決勝最初の試合は月31日にバタで行われはコンゴ共和国(グループA1位)-コンゴ民主共和国(グループB2位)というコンゴダービー、前半は両チーム無得点で折り返したが、後半に入り、ゴールが量産される。先制点はクロード・ルロワ率いるコンゴ共和国、55分に均衡を破ると、62分にも追加点をあげ、残り30分で2点リード、準決勝へのチケットを手にしたかに見えたが、ここから大逆転が始まる。65分に1点返し、75分には同点に追いつく。そして勢いは止まらず85分に勝ち越し点をあげ、ロスタイムに入った91分にダメ押し点をあげて、4-2と大逆転勝利を収める。終了前の35分間での4得点という爆発的な得点力はグループリーグではどのチームも見せなかったものであった。監督として27年ぶりの優勝を狙ったルロワの野望は準々決勝で消えたのである。
■開催国の赤道ギニア、初の準決勝進出
この派手な点の奪い合いの試合の後、第2試合には地元の赤道ギニアが登場する。グループAで2位となった赤道ギニアはグループBで首位のチュニジアと対戦する。この試合も前半は両チーム無得点で後半に入る。後半の70分、均衡を破ったのはチュニジアである。アーメド・アカイチのゴールでリード、このままリードを保てるかと思ったが、地元の大観衆の声援が奇跡を呼び込んだ。ロスタイムに入った92分、ハビエル・バルボアが同点ゴール、このスペイン生まれの選手のゴールで試合は今大会初の延長戦へ突入する。延長戦で決勝点をあげたのはまたもやバルボア、赤道ギニアはこのリードを守りきり、同国としては初めての準決勝進出を決めたのである。なお、この試合、敗れたチュニジアは審判の判定を不服として選手、スタッフが審判に詰め寄るというシーンが見られた。
■ギニアを一蹴したガーナ
そして一夜明けて、日曜日の2月1日、準々決勝2試合はマラボで行われる。決勝トーナメントはバタとマラボの2会場だけで開催され、これは前々回の共同開催時、2012年の女子のアフリカ選手権と同様である。マラボでの第1試合はグループCの首位のガーナとグループDの2位のギニアとの戦いである。この試合はワールドカップにも出場したガーナがギニアとの力の差を見せつけた。ガーナは開始早々の4分に先手を取る。アンドレ・アユーからのパスを受けたクリスチャン・アツのシュートがネットを揺らす。前半終了間際の44分には新人のクエシ・アッピアが追加点、さらに後半に入ってもアツがこの日2点目のゴールで3-0とギニアを一蹴した。
■フランス人監督対決を制したコートジボワールのエルベ・ルナール
ここまで3試合でフランス人監督が2人登場し、コンゴ共和国のルロワ、ギニアのミッシェル・デュスイエと2人とも敗退した。しかし、準々決勝最後のグループDの首位のコートジボワールとグループCの2位のアルジェリアの対戦はフランス人監督同士の争いとなった。コートジボワールのエルベ・ルナールとアルジェリアのクリスチャン・グルクフ、アフリカの馴染んだルナール、アフリカに渡って間もないグルクフ、そしてこの両チームはいずれも昨年のワールドカップに出場、決勝トーナメントに進んだアルジェリア、あと一歩のところで逃したコートジボワール、注目の一戦となった。
この試合で先制したのはコートジボワールである。26分にウィルフィールド・ボニーのゴールで先行する。後半に入って51分位アルジェリアはエルアルビ・スーダニのゴールで追いつく。ところが68分にコートジボワールはボニーが68分に勝ち越し点、さらにロスタイムにはジェルビーニョが追加点を入れて3-1と勝利する。フランス人監督対決を制したのはアフリカでのキャリアに勝るルナール率いるコートジボワールだったのである。(続く)