第1832回 イングランド勢を下したパリサンジェルマンとモナコ(3) モナコもアウエーゴールの差で8強入り

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■逆転勝ちのパリサンジェルマン、逃げ切りを図るモナコ

 前回の本連載ではパリサンジェルマンがイングランドのチェルシー相手にアウエーの第2戦で2回のピンチに瀕しながらも、最後は延長後半の主将のチアゴ・シウバのゴールで2-2に追いつき、アウエーゴール2倍ルールでチェルシーを下して8強に残ったことを紹介した。延長戦のアウエーゴールで勝負が決したのはチャンピオンズリーグの歴史で初めてである。
 パリサンジェルマンはホームの第1戦は圧倒的優位に攻めながらも1-1と引き分けており、いわば逆転勝利と言えるであろう。今回紹介するモナコは第1戦も第2戦もパリサンジェルマンの翌週に試合を行ったが、第1戦は本連載第1823回で紹介した通り、アウエーでイングランドのアーセナルに3-1と勝利している。これまでにチャンピオンズリーグならびに前身のチャンピオンズカップのノックアウトステージでアウエーの第1戦を3-1で勝利したチームが敗退したことはない。モナコは余裕を持って第2戦に挑むことができるが、もちろん油断は禁物である。

■国内リーグ戦で虎視眈々と優勝を狙うモナコ

 モナコはリーグカップは2月初めの準決勝で敗れ、フランスカップは3月初めの準々決勝で敗れ、残されたタイトルは国内リーグとこのチャンピオンズリーグだけである。国内リーグに関しては昨年12月以来負けたのは2月8日のギャンガン戦だけであり、持ち前の堅守をベースに勝ち点を積み重ねてきた。アーセナルとの第2戦の直前に行われたバスティア戦も3-0と勝利し、リーグカップ準決勝でPK負けした相手を一蹴した。順位は4位のままであるが、上位3チームとの勝ち点差を縮めており、この段階でモナコは消化試合が1試合少ないが、首位リヨンとは勝ち点8差、3位マルセイユとの勝ち点差は4であり、上位3強に食い込み、逆転優勝することも無理ではない。そのような状況においてこのチャンピオンズリーグのホームでの試合に余裕を持って戦うことができることは大きなアドバンテージである。

■圧倒的に攻めるアーセナル、オリビエ・ジルーが先制点

 さて、1万8000人の観衆で埋まったルイ2世競技場、モナコはリーグ戦とほぼ同じメンバーで臨む。アーセナル戦前後のリーグ戦の相手がバスティア、スタッド・ド・ランスと下位チームであることも幸いした。2点を追うアーセナルは積極的に攻めたてる。一方2点の余裕のあるモナコは守勢一方となるが持ち前の堅守に自信を持つ。そして先制点を奪ったのは攻めに攻め続けたアーセナルであった。フランス代表のオリビエ・ジルーが36分に自らのシュートのこぼれ球を押し込んで先制点をあげる。準々決勝進出のためにはあと2点欲しいアーセナルであるが、前半はこの1点だけに終わる。

■追いつかれたモナコ、アウエーゴールの差で準々決勝進出

 後半も水色と紺のユニフォームのアーセナルが攻めるが、モナコの守備陣が得点を許さない。かつてはこのルイ2世競技場で指揮を執ったアルセーヌ・ベンゲル監督は守備的な選手に代えて攻撃的な選手を投入する。この選手交代が功を奏し、途中出場のアーロン・ラムジーが2点目を入れる。これで通算得点は並び、アウエーゴールの差になる。このままモナコが逃げ切るか、アーセナルが3点目を入れるか、ファンにとっては目の離せない展開となった。89分にアーセナルは得点機をつかむもゴールならず、そしてロスタイムは5分と表示されたが、赤と白のモナコが守りきる。
 前週のパリサンジェルマンに続き、モナコもアウエーゴールの差での準々決勝進出となったのである。(続く)

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