第1838回 ブラジル、デンマークと連戦(5) 相性の悪いデンマークとサンテチエンヌで対戦
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ほぼレギュラーメンバーの守備陣での3失点となったブラジル戦
3月26日にスタッド・ド・フランスでのブラジルとの親善試合、3失点をして逆転負けを喫したフランスの課題は守備陣である。ディディエ・デシャン監督が就任して以来、守備陣はほぼ固まっている。4バックシステムであり、右サイドはマチュー・ドビュッシー、ストッパーはママドゥ・サコーとラファエル・バラン、左サイドはパトリス・エブラが指定席である。ブラジル戦ではドビュッシーではなく、バカリ・サーニャが出場したが、このほぼ定例メンバーでの3失点は想定していなかったシナリオであろう。
■デンマークに相性の悪いフランス
フランスはデンマークとは意外と相性が悪く、これまでの対戦成績は6勝1分5敗と辛うじて勝ち越している。ただし、近年のここ一番の戦いでフランスはデンマークに敗れているケースがある。2002年ワールドカップのグループリーグの最終戦、フランスは2-0で勝利すれば決勝トーナメント進出であったが、釜山での戦いでフランスが逆に1-2と敗れている。また、1992年の欧州選手権のグループリーグ最終戦でもフランスはデンマークと対戦し、優勝候補筆頭と目されたフランスはユーゴスラビアに代わって急きょ出場したデンマークに1-2と敗れ、グループリーグ敗退となっている。過去30年間のワールドカップ、欧州選手権でフランスがグループリーグで敗退したのはこれらの2回に加え、2008年欧州選手権と2010年ワールドカップを加えた4回であるが、いずれも最終戦の結果によっては決勝トーナメント進出が可能であった。そのような4回の悔しい敗戦のうち2回がこのデンマーク相手の戦いであった。
また、本連載でブラジル戦をとりあげた際に、両チームの監督であるデシャンとドゥンガの現役時代の対戦について紹介したが、デシャン監督は現役時代にデンマークと3回対戦し、2000年欧州選手権のグループリーグで勝利しただけで、1992年の欧州選手権グループリーグ、1996年の親善試合と連敗しており、1回しか勝利していない。
■メンバーを大幅に変えたディディエ・デシャン監督
インターナショナルマッチデーの期間には2試合行うのが通例であるが、デシャン監督は通常7人程度のメンバーを入れ替えている。3月29日にサンテチエンヌで行われるデンマーク戦、ブラジル戦の敗戦から立ち直りたいところである。
戦いの舞台はスタッド・ド・フランスからサンテチエンヌのジェフロワ・ギシャールへと移る。デシャン監督がピッチに送り出した先発メンバーはブラジル戦と同様の4-2-3-1システムであったが、メンバーは大幅に入れ替わった。GKはステファン・ルフィエ、DFは右からクリストフ・ジャレ、バラン、ローラン・コシエルニー、ブノワ・トレムリナス、DFは守備的な位置にモルガン・シュナイデルランとジョフレイ・コンドグビア、攻撃的な位置は右にアレクサンドル・ラカゼット、中央にディミトリ・ペイエ、左にアントワン・グリエズマン、そして1トップはオリビエ・ジルーである。
■最年少21歳のラファエル・バランの腕にキャプテンマーク
ブラジル戦にも先発したのはバラン、シュナイデルラン、グリエズマンの3人だけである。そして、21歳で最年少のバランの左腕にキャプテンマークがまかれることになった。
今回のメンバーで唯一の代表初選出となるナビル・ファキルはブラジル戦の終盤に出場したが、出場時間もわずか16分と短く、このデンマーク戦も途中出場となるであろうが、真価が問われることになるであろう。
さて、急勾配のスタンドが名物となっているジェフロワ・ギシャール競技場であるが、1984年の欧州選手権、1998年のワールドカップ、2003年のコンフェデレーションズカップの舞台になり、多くの国際試合が行われてきた。日本代表もコンフェデレーションズカップで2試合行っていることから日本の皆様もよくご存じのスタジアムであろう。(続く)