第1852回 終盤を迎えたリーグ戦 (4) ズラタン・イブラヒモビッチがハットリック、パリサンジェルマン暫定首位に

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ボルドーに競り負けたパリサンジェルマン、今季3敗目で首位獲りに失敗

 フランスリーグ第29節は3月13日から15日にかけて行われた。注目は最終日の15日に行われる3試合のうち、17時キックオフのボルドー-パリサンジェルマン戦と、21時から行われるマルセイユ-リヨン戦である。
 この時点で首位リヨンと2位パリサンジェルマンの勝ち点の差は1、したがってパリサンジェルマンがボルドー戦に勝利すれば、その段階で暫定首位となり、21時から試合を行うマルセイユとリヨンにプレッシャーを与えることができる。ボルドーのシャバン・デルマス競技場での試合、監督としてのキャリアをボルドーでスタートさせたパリサンジェルマンのローラン・ブラン監督はこの試合がパリサンジェルマンの監督として100試合目の采配となる。
 試合はボルドーが優勢に進め、シュートを次々と放つ。先制点は18分、ボルドーのルドビック・サネがチアゴ・シウバにヘディングで競り勝ってゴールを決める。後半に入りパリサンジェルマンはエースのズラタン・イブラヒモビッチのゴールで追いつく。ボルドーは70分にワビ・カズリのゴールで勝ち越すが、パリサンジェルマンは85分にイブラヒモビッチがPKを決めて追いつく。しかしボルドーは88分にディエゴ・ローランが決勝点をあげて3-2と勝利する。首位に手をかけたパリサンジェルマンにとっては痛い今季3敗目となった。さらにパリサンジェルマンは試合途中にダビド・ルイス、ヨアン・カバイエを負傷退場で失い、今後に向けて不安材料となった。

■欧州選手権向けの改装が終了、史上最多観客が集まったベロドローム

 さて、ライバルで上位のパリサンジェルマンが勝ち点を積み上げることができず、ボルテージが上がったのが3位のマルセイユである。首位リヨンと勝ち点4差、2位パリサンジェルマンと勝ち点3差のマルセイユは首位リヨンとのホームでの直接対決は優勝のための数少ないチャンスである。また、来年の欧州選手権に向けてベロドローム競技場の改修も終了、これまではスタンドの一部の入場を規制していたが、このリヨン戦に集まった観客は62,832人、これまでの記録の昨年12月21日のリール戦の62,408人を上回った。

■ゴールラインテクノロジーの判定はノーゴール、マルセイユもドローに終わる

 試合は大観衆の声援を受けたマルセイユが終始押し気味に進めるが、なかなかゴールを決めることができない。終盤の83分、マルセイユは左サイドのCKのチャンスを得る。ディミトリ・ペイエの蹴ったボールに前線に上がっていたストッパーのロッド・ファンニがヘディングで合わせる。このヘディングをリヨンのGKアントニー・ロペスはキャッチするものの体ごとゴールラインの中に倒れる。ここでゴールラインテクノロジーを参考に判定が下され、ノーゴールとなる。
 結局マルセイユもパリサンジェルマンにつきあう形で首位獲得に失敗、リヨンがこの第29節も首位防衛に成功した。

■ズラタン・イブラヒモビッチのハットトリックで暫定首位となったパリサンジェルマン

 ところが、続く3月20日から始まった第30節でついに首位の座が交代する。パリサンジェルマンが3月20日に登場、パルク・デ・プランスにロリアンを迎える。パリサンジェルマンはこの試合に勝てば暫定とはいえ首位に立つ。この日も45,705人という超満員の観衆がパルク・デ・プランスに集まる。
 試合は立ち上がりからパリサンジェルマンのものとなった。4分にチアゴ・シウバからのパスを受けたイブラヒモビッチはロリアンのGKルコントと1対1になる。ここでルコントがイブラヒモビッチに対してファウル、自らが倒されて得たPKをイブラヒモビッチが決めてパリサンジェルは試合開始早々に先制する。その後もパリサンジェルマンが試合を支配するが、ロリアンは67分にジョルダン・アユーが同点ゴール。ここからまたイブラヒモビッチ劇場が始まり、82分にはPKを得て、イブラヒモビッチが決め、勝ち越し点。さらにロスタイムにはマルコ・ベラッティからのパスを正確に決めて、この日もハットトリック達成。満員の観衆の集まる金曜日の夜、パリサンジェルマンは首位に立ったのである。(続く)

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