第1858回 ラグビーの欧州カップ、トゥーロン3連覇(2) 準々決勝で明暗が分かれたクレルモンとラシンメトロ92
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■イングランド勢とフランス勢が主流となる欧州カップ
ラグビーの欧州カップの出場チームは20チームであるが、サッカーのチャンピオンズリーグのように多くの国から参加しているわけではなく、実際に参加しているのは6か国だけである。さらに国別の出場国数にも偏りがあり、イングランド7チーム、フランス6チーム、アイルランド3チーム、ウェールズ2チーム、スコットランド1チーム、イタリア1チームであり、イングランド勢とフランス勢はそれぞれ3分の1を占める。これは世界中の有力選手がこの2つのリーグに集中していることを意味している。イングランドがフランスよりも出場チームが1つ多いが、これは両国のリーグの上位6チームまでが欧州カップに出場し、両リーグの7位同士がプレーオフを行い、イングランドのロンドンWASPSがフランスのスタッド・フランセを破ったからである。
■ラシンメトロ92、トゥーロン、クレルモンが決勝トーナメント進出
20チームが4チームずつの5つのプールに分かれ、10月中旬から1月下旬にかけて予選プールを行う。これはホームアンドアウエー形式で行い、通常の勝ち点(勝ち=4、引き分け=2、負け=0)に加え、ボーナスポイント(4トライ以上=1、7点差以内の負け=1)が存在する。
決勝トーナメントに進出するのは8チームであるが、この決定方法は予選プールで首位になった5チームと2位の中で成績の良かった3チームが選ばれる。
決勝トーナメントに進出した8チームはフランスからはラシンメトロ92、トゥーロン、クレルモンの3チーム、イングランドからバース、ノーサンプトン、ロンドンWASPS、サラセンズの4チーム、そしてアイルランドからレンスターの1チームである。
■予選プールの成績上位3チームはフランス勢
1月から3月の欧州は6か国対抗のシーズンであり、国際試合は代表の試合だけになり、6か国対抗が終わると欧州カップの決勝トーナメントが始まる。決勝トーナメントに残った8チームは予選プールでの成績(勝ち点、得失点差)によって組み合わせが決まる。この予選プールでの成績はフランス勢3チームが上位3つを独占しており、これが今季の欧州カップでのフランス勢の活躍の理由となっている。
予選プールでの成績が最も良かったラシンメトロ92(5勝1分、勝ち点22、得失点差+99)は予選プールでの成績が最も悪いサラセンズと対戦、予選プールでの成績が2番目のトゥーロンは7番目のロンドンWASPSと対戦、3番目のクレルモンは5番目のノーサンプトンと対戦することになる。また、ホームアンドアウエー方式ではなく1回戦方式で行われるが、4番目までのチームはホームで戦うことになる。
■クレルモンは快勝、ラシンメトロ92はノートライに抑えるが、惜敗
決勝トーナメントの初戦となる準々決勝は4月4日と5日に行われ、フランス勢は4月4日にクレルモンが登場した。クレルモンは予選プールの初戦はアウエーでサラセンズに23-30と敗れたが、そこから立て直して4連勝、予選プール最終戦はサラセンズとのホームゲームとなったが、18-6と勝利して、首位の座を確定した。
クレルモンはノーサンプトンと対戦したが、前半だけで3トライを奪い、27-0と大差をつける。後半もノーサンプトンの反撃を1トライのみに押さえ、結局37-5という大差で準決勝に進出する。
翌日の4月5日、ラシンメトロ92とサラセンズが対戦するが、この勝者がクレルモンと準決勝で対戦する。舞台はラシンメトロ92の本拠地のコロンブのイブ・ド・マノワール競技場、かつてのフランスのサッカー、ラグビーの聖地である。サラセンズが序盤にペナルティゴールで先行するが、ラシンメトロ92はマキシム・マシュノーのトライで逆転する。しかしサラセンズは前半終了間際にペナルティ逆転する。ラシンメトロはマシュノーがペナルティゴールを2つ決めて11-9と逆転したが、サラセンズは試合終了間際にペナルティゴールを決め、予選プールから唯一無敗だったラシンメトロ92はノートライに抑えながら敗退したのである。(続く)