第1871回 ベルギー、アルバニアに連敗(4) セットプレーで失点を重ねるフランス
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■昨年11月はホームでアルバニアと引き分けたフランス
本拠地スタッド・ド・フランスで3月のブラジル戦に続き、ベルギー戦も大量失点で敗れたフランス、昨年のワールドカップで若手が台頭し、来年の地元開催の欧州選手権に向けた上げ潮ムードが一気に後退してしまった。ベルギー戦の翌週の週末にはアウエーでのアルバニア戦が控えており、ブラジル戦の次に行ったデンマーク戦で快勝したように、このアルバニア戦で勝利し、シーズンオフを迎えたいところである。
アルバニアはグループIに所属しており、フランスとは親善試合を2回行う。フランスのホームでの親善試合は昨年11月に行っており、本連載の第1777回ではレンヌで行った試合の模様を紹介したとおり、先制を許すという苦しい展開となったが、終盤にアントワン・グリエズマンの得点で引き分けに持ち込んでいる。
■もはや第5シードではないアルバニア
昨年11月の連載でも紹介した通り、アルバニアのシード順は最下位の第5シードである。しかし、ここまで2勝1分1敗の勝ち点7であり、勝ち点9の首位ポルトガルを、デンマークと同勝ち点で追うという展開である。しかもアルバニアの1敗は昨年10月14日のアウエーのセルビア戦であるが、この試合は0-0で迎えた前半41分、競技場内をドローンが飛行し、そのドローンがアルバニアの民族主義を表す旗を吊り下げており、これをセルビアの選手が引きずり下ろしたことから、まず両チームの選手同士がもみあいとなり、スタンドから多くのセルビア人観客がピッチに入り込み、試合ができる状況ではなくなり、主審は没収試合を宣告し、UEFAの判断によってセルビアの3-0の勝利となった。もし、この試合が没収試合とならず、アウエーでのドローとなっていれば、首位ポルトガルと勝ち点1差の単独2位になっている。
■セットプレーでの失点が多いディディエ・デシャン時代のフランス
したがって、ここまでの戦績はフランスの4勝1分であるが、フランスにとってはそう簡単な相手ではないといえる。ベルギー戦の問題は4失点を喫したことにある。
フランスの守備の弱点はセットプレーである。セットプレーからの失点が非常に多く、ディディエ・デシャン監督就任後の19失点のうち13失点がセットプレーによるものであり、流れの中からの失点は4失点、それ以外にPKが2失点である。思えば昨夏のワールドカップブラジル大会、フランスは準々決勝でドイツに敗れるが、この時の失点もセットプレーからであった。15分にトニ・クロースからのFKをゴール前でマッツ・フンメルスがラファエル・バランに競り勝つ。1点を奪ったドイツは守りを固め、フランスは全くチャンスをつかむことなく、残り時間を費やしてしまい、ブラジルを去る。世界の多くのファンは、勝負に徹したドイツがフランスを封じ込んだというイメージを持たれたかもしれないが、フランスにとっては、苦手のセットプレーで失点を許してしまった段階で、試合は終わってしまったのである。
■セットプレー対策の練習を行ったフランス
一方、フランスがセットプレーから直接ゴールをあげたことは2007年10月13日のフェロー諸島戦のジェローム・ロタンまでさかのぼらなくてはならない。
フランスがセットプレーに弱い理由としては大型選手の不在があげられる。190センチを超える選手は今回の代表メンバーには192センチのオリビエ・ジルーと191センチのバランの2人だけである。しかし、ワールドカップでバランに競り勝ったフンメルスもバランと同じ191センチであり、身長の高さだけが原因ではないであろう。
昨年11月のレンヌでの試合もアルバニアに先制点を許したが、この時もセットプレーであり、アルバニアもフランスの弱点がセットプレーであるということを認識しているはずである。アルバニア入りしてからはセットプレーからの守備について特別に時間を取ってポジショニングの確認を兼ねた練習をしたが、その成果はどうなったであろうか。(続く)