第1872回 ベルギー、アルバニアに連敗(5) 十分に勝機のあるアルバニア
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■パトリス・エブラは先発、ポール・ポグバはベンチスタート
ブラジル戦、ベルギー戦で大量失点を喫したフランス、ベルギー戦では4失点を許したが、フランスがホームで4失点したのは1982年のポーランド戦以来、実に33年ぶりのことである。また、前回の本連載で紹介した通り、これらの失点の多くがセットプレーからによるものである。
注目のフランスの先発メンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、DFは右からクリストフ・ジャレ、ラファエル・バラン、ママドゥ・サコ、パトリス・エブラ、中盤は守備的な位置に2人、右にマキシム・ゴナロン、左にジョフリー・コンドグビア、攻撃的な位置に3人、右からアレクサンドル・ラカゼット、ディミトリ・ペイエ、左にアントワン・グリエズマン、そして1トップはオリビエ・ジルーである。
スタッド・ド・フランスでのベルギー戦に引き続き先発メンバーとなったのは、GKのロリス、DFのバラン、攻撃陣のグリエズマンとジルーの4人である。チャンピオンズリーグ決勝のためベルギー戦に出場しなかったイタリアのユベントスに所属する2人についてはエブラは先発出場、ポール・ポグバはベンチスタートとなった。
■代表歴の浅いメンバーを中心に戦うアルバニア戦
昨秋のレンヌでの試合に先発した選手はGKのロリス、守備陣ではジャレとバラン、攻撃陣ではラカゼットの合計4人である。ベルギー戦では国内のクラブの選手はパリサンジェルマンのブレーズ・マツイディとヨアン・カバイエだけであったが、このアルバニア戦にはジャレ、ゴナロン、ラカゼットがリヨン、ペイエがマルセイユ、コンドグビアがモナコと5人の選手が国内チームに所属している。また、全体的に代表経験の少ない選手が多く、代表出場歴が50試合を越えるのはエブラ(65試合)とロリス(66試合)だけであり、ベルギー戦に比べれば若い選手を起用しようとするディディエ・デシャン監督の意図が伝わってくる。
■昨秋のフランス戦のドローがフロックではないアルバニア
一方のアルバニアであるが、FIFAランキングも51位までランクアップ、前回紹介した欧州選手権予選での戦績からもわかる通り、決して弱小国ではない。昨年の11月はフランスとのアウエーでの引き分けだけではなく、その直後の18日に行われたイタリアとアウエーのジェノバでの親善試合、0-1と接戦を演じている。アルバニアは来年の欧州選手権に出場するチャンスは十分にある。これまでワールドカップ、欧州選手権の本大会には縁のなかった小国が初めて出場することが夢ではない。そしてその本大会の舞台となるフランスのチームを招いての試合となる。そしてイタリア人のジョバンニ・デビアジ監督は2011年からこのチームを率いるが、「チーム状況は最高であり、昨秋のレンヌでのドローが決してフロックではない」と試合前日のインタビューで語っている。
アルバニアがこれだけレベルアップしたのはもちろん指揮官の手腕によるところも少なくないが、現在の主力の生まれ育った環境にもある。ベテラン主将で31歳のロリック・カナ以外の選手は20代である。彼らが生まれたころ、アルバニア人は大量に欧州各国に難民として散らばった。すなわち、難民として国外で生まれ育っている選手もいる。彼らがアルバニアの国情が改善されて故国に戻って来て代表選手となったわけであるが、若き日々に過ごしたイタリアやスイスなどのサッカーの環境が彼らの選手としてのキャリアを育んだことは大きな影響を与えているであろう。
■フランス相手に闘志を燃やすレンヌのエルミル・レニャニ
今回のアルバニア代表には1人だけフランスリーグに所属している選手がいる。レンヌのエルミル・レニャニである。レンヌでは出場機会に恵まれず、今季は途中出場で3試合に出場しただけである。この1年間だけを振り返れば所属チームでの出場試合数よりもアルバニア代表としての出場試合の方が多い。昨年11月にレンヌで行われた試合では地元ファンの前で活躍したにもかかわらず、レンヌのチームの首脳陣からの評価は変わらなかった。今回もまたフランス戦で活躍してレンヌの首脳陣を見返したいという意欲はあるだろう。(続く)