第1873回 ベルギー、アルバニアに連敗(6) アルバニアに初黒星、2年ぶりの連敗となる

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■アルバニア第3の都市エルバサンでの戦い

 3月のブラジル、デンマークとの連戦では欧州選手権のグループIの国ではないブラジルに対し3失点をして敗れたが、チームはすぐに立ち直り、続くグループIのデンマーク戦では快勝した。今回もグループI以外の相手であるベルギーに対し、4失点して敗れたが、終盤の2得点もあり、グループIのアルバニアには解消するだろうという楽観論が支配した。
 アルバニア第3の都市エルバサンで試合は行われる。通常は首都のティラナで試合を行うが、フランスにとっては初めてのティラナ以外での試合となる。会場のエルバサン・アリーナは1万3000人の観客で満員となる。フランスは上下白のユニフォームでストッキングは白と紺の縞である。

■ボールを支配するが有効な攻撃とならないフランス

 しかし、フランスはアルバニア戦、思わぬ苦戦をする。ベルギー戦から先発メンバーを7人入れ替えて臨んだこの試合、フランスはボールを支配するが、前線に思うようにボールがつながらない。1トップのオリビエ・ジルーよりもGKのウーゴ・ロリスの方がボールタッチ数が多いという始末である。

■課題のセットプレーでまたも失点

 アルバニアはサイドから攻撃を仕掛け、ゴール前にクロスが飛び込んでくる。26分、29分と立て続けにアルバニアはビッグチャンスが訪れるが、これらはフランスの守備の甘さが原因である。このピンチをしのいだフランスであるが、先制点を奪われてしまう。42分、アルバニアが攻め込み、ジルーがファウルを犯してしまう。アルバニアにFKが与えられたが、ゴールから20メートルの位置である。フランスは壁をつくる。アルバニアのキッカーは、エルギス・カセ、直接ゴールを狙う。ボールはフランスの壁の上を通り、右にセーブしたロリスも及ばず、ゴールネットを揺らす。フランスは課題のセットプレーで先制点を奪われてしまう。今年に入って早くも8失点目、昨年1年間の総失点の7を早くも上回ってしまった。一方、攻撃に関しても、フランスはボールを支配しながらも有効な攻撃とはならず、前半に枠内に飛んだシュートはジルーの1本だけという低調な45分間となった。
 後半に入る段階で、ディディエ・デシャン監督は1トップのジルーとトップ下のディミトリ・ペイエをベンチに下げ、ナビル・フェキルとポール・ポグバを投入する。さらに60分過ぎにはアントワン・グリエズマンとマキシム・ゴナロンがベンチに下がり、ポール・ジョルジュ・ヌタップとマチュー・バルブエナが登場する。ヌタップはデビュー戦のベルギー戦も途中出場であったが、2試合連続してリードされた局面での出場とは予想しなかったであろう。しかし、フランスはアルバニアにあわや追加点という場面を迎え、一向にペースは変わらない。

■攻守ともに精彩を欠き、2年ぶりの連敗

 フランスはその後もチャンスらしいチャンスをつくることなく、無得点で敗れてしまう。フランスが無得点だったのは昨年のワールドカップ準々決勝のドイツ戦以来のことである。攻守とも精彩を欠いたフランスは、ベルギー戦に続いて連敗、フランスが連敗を喫したのは2年前の6月の南米遠征でウルグアイとブラジルに敗れて以来2年ぶりのことである。攻撃の軸であるカリム・ベンゼマの不在はあったものの、ファンにとっては納得のいかない連敗である。
 また、これでフランス代表は今季の試合がすべて終了したわけであるが、5勝2分3敗という結果になった。デシャン監督は就任して3季を終えたわけであるが、通算成績は19勝8分10敗、全試合数に対する勝利試合の割合は50パーセントを辛うじて越えたところであり、これは1990年代以降の監督としては最低の成績である。欧州選手権まであと1年、チームの立て直しが急務である。(この項、終わり)

このページのTOPへ