第1880回 女子も準々決勝でドイツに敗れる(7) 終盤PKで追いつかれ、PK戦でドイツに敗れる
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■直近の戦いはフランスがアウエーで勝利
前回のワールドカップのグループリーグ最終戦での対戦はフランスもドイツもすでに決勝進出トーナメント進出を決めていたことに加え、フランスはGKのベランジェール・サポウィックスがレッドカードで退場するというアクシデントもあったため、試合結果から両国の力量を判断することは必ずしも正しくないであろう。
両国の力関係を判断するにはその後の親善試合の方が適切であろう。2012年以降毎年1回、両国は親善試合で対戦している。2012年は1-1,2013年も3-3とドローが続き、両国の力が拮抗していることをうかがわせる。そして昨年10月25日、フランスはドイツのオッフェンバッハで親善試合を行う。この時点でドイツは18試合連続無敗と無類の強さを誇る。しかしこの無敵のドイツをフランスは圧倒し、2-0というスコアで勝利する。ドイツ戦の勝利は3勝目であったがアウエーでの勝利はこれが初めてであった。
代表チームだけではなく、クラブチームでも両国は欧州のトップレベルであり、今年の女子チャンピオンズリーグではドイツのフランクフルトとパリサンジェルマンが対戦し、フランクフルトが2-1と勝利している。
■ドイツとの欧州対決に臨む11人の先発選手
このように欧州を代表する2強が6月26日、モントリオールでの準々決勝で対戦する。GKサラ・ブハディ、DFは右からジェシカ・ウアラ、ローラ・ジョルジュ、ウェンディ・ルナール、アメル・マジリ、MFは右からエロディ・トミ、アマンディーヌ・アンリ、カミーユ・アビリー、ルイーザ・ネシブ、FWはマリー・ロール・デリーとユジェーニ・ルソメのコンビである。右サイドのDFのロール・ブローが試合前日の練習で負傷したため、マジリを起用した以外は韓国戦と同じ布陣である。
一方のドイツはここまでの4試合で19得点と攻撃力を誇る。アンジャ・ミタグとセリア・サシッチの2トップがそれぞれ5得点をマークしており、この2人をフランスの誇るストッパーのジョルジュとルナールが止めることができるかが試合前に注目された。
■ドイツ相手にゲームを支配したフランス、ルイーザ・ネシブの今大会初得点で先制
キックオフ直後からフランスがリズムに乗って攻め続け、攻めるフランス、守るドイツとどちらが世界ランキング1位かわからない展開となった。前半はフランスが攻め続け、ドイツのゴールを何度も襲うが、ドイツのGKナディーヌ・アンジェレーの好守もあり、フランスは得点をあげることができないまま、ハーフタイムを迎えた。
思わぬ苦戦にドイツのシルビア・ニード監督はエースのミタグをハーフタイムで交代させるという荒療治にでる。しかし、この大胆な選手交代にもかかわらず、後半最初の得点チャンスはフランス、トミからデリーへのクロスはドイツの守備陣がぎりぎりのところで防ぐ。好機を重ねてきたフランスが先制点を奪うのは64分、ネシブが右足で放ったシュートはドイツの守備陣の足に当たり、GKのアンジェレーも及ばず、ゴールネットが揺れた。意外なことにネシブにとって今大会初ゴールが大一番での先制点となった。
■ドイツがPKで追いつき、死闘の末のPK戦での決着
このゴールで試合のリズムが変わり、試合が激しくなり、攻めるドイツ、守るフランスという構図になる。そしてフランスにとって痛恨となるマジリがペナルティエリア内でハンドを犯す。このPKをサシッチが決めてドイツは同点に追いつく。
ここから試合は死闘となり、延長戦にもつれ込む。ドイツは追いついた段階で3人の選手交代を終え、フランスはあと2人交代の可能性を持ったまま、延長戦に入ったところでルソメに代えてガエタン・ティネを投入、延長後半にデリーに代えてケイラ・アムラウイを投入する。しかし、両チームとも得点をあげることができず、試合は今大会初のPK戦となる。
先蹴のドイツは5人全員が成功、後蹴のフランスはティネ、アビリー、ネシブ、ルナールと4人目までは成功させたが、5人目のラボジェが失敗、フランスはゲームを支配しながら、PKで追いかれ、PK戦で敗れる。昨年の男子のワールドカップ同様、試合内容は高い評価を受けながらも準々決勝でドイツに敗れたのである。(この項、終わり)