第1895回 欧州選手権に備えるバスケットボール(1) 8月に10試合行うバスケットボール代表
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■優勝国にオリンピックの出場権が与えられるバスケットボール欧州選手権
前回の本連載ではサッカーのフランスリーグ開幕について紹介したが、多くの団体球技のリーグが夏から秋にかけて開幕する。そして、秋に大きな国際大会のあるスポーツもある。それが今回から紹介する男子バスケットボールとラグビーである。男子バスケットボールは9月に欧州選手権があり、ラグビーは9月から10月にかけてイングランドでワールドカップが控えている。
バスケットボールの欧州選手権はオリンピック、ワールドカップと並ぶ三大大会であるが、今回は優勝国に来年のリオデジャネイロオリンピックの出場権が与えられる。女子の欧州選手権については本連載の第1887回と第1888回で紹介した通り、フランスは決勝でセルビアに惜敗し、来年の世界最終予選に望みを託すことになった。
その女子の悔しさを晴らすべく、男子フランス代表は入念な準備を行って9月を迎える。欧州選手権は9月5日から20日まで開催されるが、フランスリーグは欧州選手権の終了した10月3日に開幕する。サッカーのチャンピオンズリーグに相当するユーロリーグもフランスからはリモージュとストラスブールが出場するが、10月15日に開幕する。そして8月は代表チームが集中的に合宿と試合を重ねることになる。
フランスの男子バスケットボールについては2年前の欧州選手権で優勝、昨年行われたワールドカップについて本連載第1753回から第1758回で取り上げている通り、フランスは準決勝でセルビアに敗れ、3位決定戦でリトアニアに勝利しており、欧州のチームの中では2番目の成績を残している。
■16の選手を12人に絞り込む8月の10試合
もちろん、欧州の有力国はいずれも今回の欧州選手権では優勝を狙っている。したがってこの8月は各国とも多くの親善試合を行う。フランスは8月1日のフィンランド戦を皮切りに8月中に10試合行う。バンサン・コレ監督率いる代表チームは7月下旬から合宿を行ってきた。合宿中にポーで行われた公開練習には4,000人ものファンが集まり、関心が高いところがうかがわれる。この合宿の段階で16人の選手がメンバーとなっているが、本大会の登録は12人である。この8月の親善試合の中で選手をふるいにかけていく。16人の中には8月初めに行われるNBAのアフリカゲームに参加しているニコラ・バタム、ボリス・ディアウのような選手もおり、フィンランド戦後に合流することになる。
■NBAの主力を欠き、フィンランドにまさかの敗戦
8月1日にフィンランドのタンペレでフランス代表の熱く長い8月が始まった。バタム、ディアウ、ナンド・デコロがメンバーから外れているがトニー・パーカーは健在である。前回の欧州選手権で優勝したフランスに対し、フィンランドは9位に終わっている。シリーズの初戦としてはくみし易い相手と予断したわけではないだろうが、試合開始直後からフィンランドの一方的な試合となる。第1ピリオドはフランスのディフェンスが壊滅状態で、次々と失点を重ね、14-36と大きくリードを許してしまう。第2ピリオド以降はフランスが立ち直ったが、いかんせん第1ピリオドの借金を返済することはできず、67-76とまさかの黒星で強化シリーズの初戦を落としてしまった。フィンランドがフランスに勝利したのは6年ぶりのことである。
■主力が合流し、強豪セルビアに勝利
黒星スタートのフランスの第2戦は7日にナンシーで行われるセルビア戦である。昨年のワールドカップ準決勝で敗れたセルビアはフランスにとって大きな壁である。スターターはNBAのアフリカゲームから戻ってきたバタムとディアウ、フィンランド戦ではメンバー外だったデコロ、ルディ・ゴベール、パーカーという5人でパーカー以外のメンバーは入れ替わった。フィンランド戦とは見違えるような動きでセルビアを圧倒する。各ピリオドとも僅差であったがフランスがリードし、78-65というスコアでセルビアを下し、主力のそろったフランスは前回王者らしい戦いをナンシーの6,000人のファンの前で見せたのである。(続く)