第1914回 欧州勢相手に順調に連勝(3) ワールドカップ初戦はイタリアと対戦

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■決勝トーナメント初戦でグループCの勝ち上がりチームと対戦するグループC

 いよいよラグビーワールドカップは9月18日に開幕した。開幕戦はラグビーの聖地トゥイッケナムでのイングランド-フィジー戦、固さを感じさせる試合であったが、開催国のイングランドがボーナスポイントの対象となる4トライを奪い、35-11で勝利した。
 プールDのフランスは前々回の本連載で紹介した通り、イタリア、ルーマニア、カナダ、アイルランドの順で対戦する。もちろんプールDで2位以内に入り、決勝トーナメントに進出することは最低限の目標であるが、プールCから決勝トーナメントに進出したチームは決勝トーナメントの初戦でグループCから勝ち上がってきたチームと対戦する。首位で通過した場合は2位通過したチームと対戦、2位で通過した場合は首位チームと対戦する。

■グループCの有力チーム、ニュージーランドとアルゼンチン

 グループCの有力チームはニュージーランドとアルゼンチン、ニュージーランドの首位突破が濃厚であり、準々決勝の段階でのニュージーランドとの対戦は避けたいところである。そして前回大会の決勝だけではなくフランスとニュージーランドはこれまでに名勝負を重ねてきており、ファンにとっても前回のファイナルの再現は準々決勝よりも決勝で見たいところである。そしてフランスもニュージーランドもこれまでにワールドカップで43戦しており、これは最多の数字である。両チームが今大会でどのようにこの数字を伸ばしていくかも興味深いところである。
 また2位通過が予想されるアルゼンチンであるが、フランスにとっては大の苦手であり、地元開催の2007年大会では開幕戦と3位決定戦で敗れるという苦い経験をしている。ラグビーワールドカップの歴史は決して長くはないが、同一大会で2度対戦したのはこの時だけであり、しかも開催国がいわゆる伝統国以外に敗れており、フランスにとっては忘れられない悪夢であろう。このフランス戦連勝で株をあげたアルゼンチンは、南半球の3か国対抗戦に加わり、ついに今年は初めて南アフリカを破るという快挙を成し遂げた。
 首位突破でも2位通過でも決勝トーナメント以降は楽な戦いは考えられず、予選プールでは全勝を目指すとともに、チーム力を上昇させたいところである。

■聖地トゥイッケナムに集まった2万人のフランス人

 初戦の相手のイタリアはグループCでは3番手と目される。6か国対抗のメンバーとなったイタリアであるが、既存の5か国との力量の差は明白である。8月にはスパーリングマッチでスコットランドと2戦しているがいずれも敗れている。しかし、2012年にフィリップ・サンタンドレ監督が就任してからはフランスと4回対戦し、2013年2月にはローマで23-18と勝利しており、フランスにとっても油断することのできない相手である。
 会場は前日に開幕戦を行ったばかりのトゥイッケナムである。大会最初の週末の試合ということでフランス国内でも関心が高く、フランス向けのパッケージツアーはすでに6か月前にソールドアウト、トゥイッケナムには2万人のフランス人が集まった。

■スコットランド戦とほぼ同じ先発メンバーで臨むイタリア戦

 さて、注目の先発フィフティーンである。第1列は左からエディ・ベン・アルー、ギレム・ギラド、ラバ・スリマニ、第2列はパスカル・パペとヨアン・マエストリ、第3列はフランカーにティエリー・デュソートワールとダミアン・シューリー、ナンバー8はルイ・ピカモールという陣容。そしてハーフ団はスクラムハーフにセバスチャン・ティルズボルド、スタンドオフにフレデリック・ミシャラク、バックスはセンターにアレクサンドル・デュムーランとマチュー・バスタロー、ウィングは左にノア・ナカイタシ、右にヨアン・ユジェ、フルバックはスコット・スペディングとなる。
 9月5日のスコットランド戦と比べると右のロックがアレクサンドル・フランカールからマエストリに、左のセンターがウェスレー・フォファナからデュムーランに代わっただけの陣容、スコットランドに苦戦したフランスはイタリア相手にどのような戦いをするのであろうか。(続く)

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