第1915回 欧州勢相手に順調に連勝(4) ワールドカップ初戦、イタリアに勝利
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■明暗が分かれた伝統国のアイルランドと南アフリカ
ワールドカップ初戦を聖地トゥイッケナムで迎えるフランス、赤のセカンドジャージーで青のイタリアと対戦する。夜の試合となったが、この日の昼間にプールDで最大のライバルと目されるアイルランドがカナダを50-7と下している。7トライをあげたアイルランドは勝利の勝ち点4に加えて4トライ以上をあげたチームに与えられるボーナスポイントも獲得しており、勝ち点5を稼いでいる。そして夕方の試合ではフランスがワールドカップで勝利したことのない数少ない強国である南アフリカに対し日本が勝利している。
フランスもイタリアに対して、アイルランドのように圧倒するか、あるいは南アフリカのように足元をすくわれるか、初戦ということもありファンは期待と不安の入り混じった気持ちでキックオフを迎えた。
■前半は反則を繰り返すイタリアに対しペナルティゴールで着実に加点
2万人のフランス人の大音量でのラ・マルセイエーズに続き、イタリアのキックオフで試合は始まる。4分には早くもフランスはペナルティゴールのチャンスを得るが、フレデリック・ミシャラクのショットはポストに当たり、外れてしまう。しかし、なおも攻勢に出るフランスは6分にイタリアのラック内での反則を誘う。イタリアのノット10メートルバックの反則も重なり、ミシャラクは今度は成功、フランスは手堅く3点を先取する。
反則を繰り返すイタリアに対しフランスはなおも攻め込み、10分にモールからノア・ナカイタシがコーナーにトライを決めたかに見えたが、主審はテレビマッチオフィシャルを要求し、その結果、トライは認められなかった。前日のイングランド-フィジー戦でフィジーのニコラ・マタワルに次いで今大会2回目のテレビマッチオフィシャルによるトライの却下である。21分にはミシャラクの蹴ったペナルティゴールがまたもポストに当たり、今度は手前に跳ね返る。このボールをきれいにキャッチすればフランスのトライチャンスであったが、ヨアン・ユジェが無念のノックオン。なかなかトライが奪えない。
イタリアもフランスからボールを奪う機会が多く、ターンオーバーしてしまったフランスはトライチャンスをつくれない。フランスの攻撃をイタリアが反則で止めるという構図になった前半、フランスはミシャラクとスコット・スぺディングの5つのペナルティゴールで得点を重ねる。対するイタリアは34分にペナルティゴールを1本決めただけで、フランスが15-3とリードして前半を終える。
■代表18試合目で初トライのラバ・スリマニ
イタリアの反則の多さに乗じて3点を積み重ねたフランスは後半最初の得点もペナルティゴール、42分にミシャラクが決めて18-3とし、そしてついに初トライをあげる。スぺディング、ナカイタシとバックス陣がつなぎ、ゴール前まで迫ったところで右プロップのラバ・スリマニがトライを決める。代表18試合目で初めてのトライ、ゴールも決まり、25-3と大差をつけた。
しかし、イタリアも反撃、52分にフランスは守備陣がジオバンバティスタ・ベンデッティに抜かれてトライを奪われ、ゴールも決まって25-10と追い上げられる。
■ベテランのニコラ・マスは代表81試合目で初トライ
そしてフランスにとってショッキングなことが起こったのはその直後の55分のことであった。ユジェが右ひざを負傷し、肩を担がれて退場する。フィリップ・サンタンドレ監督のチームになって3番目に出場数の多いバックスの切り札をフランスは失うことになった。
その後、スリマニに代わって入ったニコラ・マスが69分にトライをあげる。スリマニに続いてマスもこれが代表での初めてのトライである。実に81試合目にして初トライであった。
ゴールも決まり、最終スコアは32-10、大差はついたが、2トライにとどまり、ボーナスポイントを獲得することはできなかった。初戦としては悪くはなかった、というのがファンの評価であろう。(続く)