第1925回 中盤を迎えたチャンピオンズリーグ(1) シード方法変更、第1シード入りしたパリサンジェルマン
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■クラブレベルの戦いも例年通り行われる欧州のスポーツシーン
8月夏以降の本連載は、主にバスケットボール、ラグビー、サッカーの代表チームの模様について紹介してきたが、新シーズンを迎え、各競技ともクラブレベルの国内外のタイトル争いが始まっている。
フランスがワールドカップの準々決勝でニュージーランドに大敗したラグビーも、フランスが大敗した週末には国内リーグであるTOP14が再開し、その翌週末、すなわちラグビーワールドカップの準決勝の行われた週末のリーグ戦にはフランスだけではなく多くの国の代表選手が出場している。
一方、国内試合の合間を縫って国際試合が行われるサッカーは、クラブレベルの国際試合であるチャンピオンズリーグが9月中旬から本戦が始まっている。
本連載では9月初めの第1903回から第1905回でプレーオフについて紹介し、モナコがプレーオフでスペインのバレンシアに敗れ、フランスリーグの3位チームは3年連続でプレーオフ敗退となった。この結果、昨季リーグ優勝のパリサンジェルマンと2位のリヨンの2チームだけが本戦に出場することになった。
■第1シードの決定方法が変わった今年のチャンピオンズリーグ
グループリーグの組み合わせ抽選会はプレーオフ直後の8月27日に行われたが、今年は変更点があった。本戦に出場する32チームは4チームずつ8つのグループに分けられ、その際に第1シードから第4シードまで8チームずつにシード分けされる。昨年までは、過去のチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグでの成績を基にUEFAインデックスが算出され、それに基づいてシード分けされていたが、今年は第1シードについてはUEFAリーグインデックスの上位7リーグの優勝チームと昨年度優勝の1チームを加えた8チームとなる。
■第1シード入りしたパリサンジェルマン
この結果、第1シードに入ったのは昨年度優勝のスペインのバルセロナ、以下UEFAリーグインデックス順に紹介すると、ドイツのバイエルン・ミュンヘン、イングランドのチェルシー、ポルトガルのベンフィカ、フランスのパリサンジェルマン、イタリアのユベントス、ロシアのゼニト・サンクトペテルブルク、オランダのPSVアイントホーヘンとなる。
1990年代にチャンピオンチーム以外が出場できるようになってからは、各国のチャンピオンチームであるかどうかということよりも、欧州のベストチームを集めて真のチャンピオンを決めようという趣旨が強くなってきた。その結果、ごく少数のリーグの強豪チームのタイトル争いになり、レベルは上がったものの、本来の目的であったチャンピオンの中のチャンピオンという要素は薄まってきたと言えるであろう。そういう未では今回の変更はチャンピオン志向への回帰であり、ゼニト・サンクトペテルブルク、PSVアイントホーヘンというチームが第1シード入りしたことは特筆されるべきことであろう。
■第1シードから外れたインデックス1位のレアル・マドリッド
一方、このメンバーを見てわかる通り、いくつかの主要クラブの名前が見当たらない。その代表がスペインのレアル・マドリッドである。一昨年のチャンピオンズリーグの優勝チームであり、コンスタントに準決勝以上に進出しており、UEFAクラブインデックスは最高の数値を記録している。しかしながら、昨季は国内リーグではバルセロナに次ぐ2位、そしてチャンピオンズリーグでも準決勝で敗れており、第1シード入りはならなかった。UEFAクラブインデックスで上回るチームを押さえて第1シード入りしたのはバルセロナだけであり、唯一の国内逆転状況である。
また、一昨年のチャンピオンズリーグ決勝でレアル・マドリッドに敗れた同じくスペインのアトレチコ・マドリッドもUEFAインデックスでは高い数字をマークしながらも、第2シードにとどまっている。また、ポルトガルリーグで2位のポルトもUEFAクラブランキングでは8位ながら、第2シードである。
UEFAクラブインデックスで10位のパリサンジェルマン、12位のユベントスが第1シード入りしたのである。(続く)